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asteryukariさんの恋する乙女と守護の楯 Re:boot The “SHIELD-9”の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
恋する乙女と守護の楯 Re:boot The “SHIELD-9”
ブランド
戯画
得点
78
参照数
3542

一言コメント

タイトル画面を見て、自然とロードボタンをクリックしてしまった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

パッケージを空けた瞬間、懐かしさが広がってきた。そんな状態でOPを迎えたわけだからまあ泣きそうになっちゃって。Ritaさん歌い方がだいぶ変わったなぁ、でもどっちでも素敵だなぁなんて信者みたいな事を考えながらぼーっと聴き耽っていた。

ある程度読み進めてふと思った。絵がめちゃめちゃ綺麗になっている。元々の絵も好きだったけど、どちらが好きかと言ったら断然こちらだ。瀬之本先生の絵の成長っぷりに加え、塗りの技術が確実に進歩していることを感じさせてくれた。髪の塗りなんかは顕著で、暗めの髪をした有里なんかはその可愛さにより一層磨きがかかっていた。

そう、有里ちゃんがもう可愛くて可愛くて仕方ない。昔は雪乃様一筋みたいな感じだったのに気付けば有里を目で追う頻度の方が増えていた。可愛い新規絵なんかも用意してくれちゃってさ、慌てる時の有里ちゃんの可愛さと言ったら…最高だ。

物語自体はまあ同じで所々選択肢が異なっていたり、サブヒロインの√が大幅に加筆されていたり。「スマホ」や「SNS」なんてワードを使うようになっていたのは時代の変化なのかなと。

サブヒロインという立場上、何となくえっちして終わりだった有里と設子。有里の方はサブっぽさが残っていて、面白いという程でもなかったが設子は別だ。きちんと活躍の場が用意されていて、加えて女の子としての愛らしさなんかも存分に描かれている。設子好きの人は勿論、今までそんなに意識したことがなかった私でも良いなと感じる場面が多かった。

暗殺者から主人公と同じ楯となり、やがてはアイギスの双楯と呼ばれるように。「どんな敵からも人を守り抜く二つの楯」という異名は、凪紗を倒した実績が説得力になっていた。まあその凪紗が本当に強く見えたかどうかは別として。

主人公達の前に立ちはだかる敵に対して感じたのはやはり小物だなと。笹塚はまあキャラに寄せている感じだからいいのだが。彼らは毎回、狂気とその能力の高さは見せてくれるがなんだかんだ勝ててしまう。なんだかんだ一番強かったのは設子なんじゃないかなと。まあそんな彼女を口説き落としてしまう主人公が結局最強なのだけれど。

そして、雪乃様は相変わらず美しくて、お嬢様の冠が相応しい女性だった。ただ厳しいように見えて実は大切な所作や考えを教えていることも。決してわがままお嬢様ではないことがわかる。泣き虫お嬢様ではあるけれど…そこがまた可愛いのだ。また、彼女の教えを守っている描写が薔薇の聖母で見られるため、あちらも少し読み返したくなった。



最初に感じたのはやはり懐かしさであったが、読み進めていくうちに新しい発見やキャラの魅力に気付くことが出来た。これは非常に嬉しい事であり、全ての√をやり終えた後にやっぱりやって良かったなあと幸せな気持ちに。

もうこれがAXLの残した最後の輝きになってしまうかもしれないけれど、私はいつまでも新作を待ち続けたい。頼むよ…。