途中までは生温いおままごとのような戦いが繰り広げられていたが、終盤になるときちんと期待に応えてくれる。設定的にも展開的にも先が気になる面白い作品に仕上がっていたかなと。次作も是非プレイしてみたい。
「心に欠陥を抱えた魔法少女達の、これは戦いと成長の物語」
作品としては所謂、魔法少女モノであり、望む望まずに限らず魔法の力が発現した少女達が、魔法使いを育成する施設「教導学園アイリス」にて戦いに巻き込まれていく。少し珍しいのが主人公の母もまた魔法少女だった点で、はじめから魔法少女に対してネガティブな印象を持ちながらも、魔法少女として成長していく事になるというのがなんとも皮肉めいていて面白い。
また、本作には欠陥概念という設定があり、全ての魔法少女は心に何かしらの欠陥を持ち、それをキーに魔法が発現するという。これもまた独特な設定であり、その欠陥がそのままキャラクターの性格、生き方に繋がっているのが面白い。学園最強の魔力を有するつむぎの欠陥概念なんかはとてもわかりやすい。
序盤~中盤かけては皐月が魔法と学園に慣れていくまでに描かれており、戦う場面はあれど命を奪い合うようなことにはならない。律の母親絡みでつぐみと戦闘になったりもするわけだが、わりとあっさり和解するなどやや拍子抜けの決着となる。いきなり最強とのぶつかり合いが始まったと思えば、笑顔で和解していて、この時点では作品対する不満もあったりした。やるならば本気でぶつかってくれと、そう思ったからである。
そして、本作はすぐにそんな不満をかき消してくれた。物語は終盤に突入し、突如として出現したヘイゼルとの戦いが始まると、それまで生温さはなくなり、命のやりとりがスタートした。平気で生徒の腕を潰すし、師の一歩手前まで追い込む。一気に緊迫感のある戦いが始まって、作品を見る目もガラッと変わった。短い時間の中で様々な戦いが繰り広げられるため、一つ一つの戦いに集中しづらい、もっと言えば詰め込み過ぎな気もしたが、メインとも言えるヘイゼルとの戦いは中々読んでいて面白かった。
何が面白かったって、それはもう主人公の覚醒に尽きる。今までまるで戦力にならなかった彼女が、仲間の命を奪われそうになったことで強大な力を手に入れる。しかもその根源は怒りときた。まさに少年漫画のような展開で、自分としてはとても興奮した。泉さんのことは作中でも一二を争うほどに気に入ったので、まさに彼女と同じ思い。調子に乗っている巨乳女に一泡吹かせてやれと、心の中で強く願った。
ただまあ、そんな暴走をつむぎちゃんが見過ごすはずはないわけで...個人的にはもう少し暴れさせてから止めてほしかったなと。せめてヘイゼルの片腕を捥ぎ取るくらいはやってほしかった。しかもようやっと面白くなってきたという所で第一章は終了というのがまた...早く続きを読ませてくれ。
物語中盤辺りまでやった時点では残念な作品寄りといった感じだったが、その先に怒涛の展開が待ち受けており、本作に対する評価もガラッと変わった。これから先はヘイゼル達との戦いを軸に描かれていくのだろうが、まだまだ後ろは見えてこない。彼女達は何のために戦うのか、また魔法少女という存在についても気になることばかりである。総じて続きが気になる。次作も楽しみに待っています。