豊富に用意された日常の描写から、彼女達といる空間は本当に幸せなのだなというのがありありと伝わってきた。無駄を省き萌えに特化した作品だったなと思う。
「ちんちんかもかも」由来のこのタイトルを初めて見た時、ビビッときた。これは絶対に何かあるなと。まあ蓋を開けてみれば全然そんなことはなくて、むしろ清々しいまでの萌え萌えな作品だった。なえなえ先生の絵が好きなのもあって中々楽しめる作品だったのではないかなと思う。
主人公は教師で、離れて暮らす兄と自由を求めて妹たちが実家から主人公の家に引っ越してくるという話だった。この兄を求めてという部分は口実ではなく本当にその通りで、どちらのヒロインも兄の事が大好きな妹ちゃんだった。そして自由を求めてというのも本当で、左綾なんかは顕著だったなと。
右綾と左綾。その名前の適当に一瞬たじろいでしまったが、読後に改めて考えてみるとそれなりに納得できる。どちらか片方じゃだめ、両方揃ってはじめて幸せは生まれるのだと。変に捻って幸せを損なうよりはこちらの方がよっぽど良い。話に面白さこそないものの、彼女達と暮らす空間がいかに幸せであるか、また姉妹の仲の良さというものも堪能できて、読んでいて実に気持ちが良かった。
ヒロインについて語ると、右綾ちゃんはとにかく体を動かすことが好きな完全アウトドア派で、それを表すようにバスケットボールに熱心に取り組んでいた。そんな彼女が実はお兄ちゃん好き好きというのも一つの萌えポイントだろう。
彼女の「やりたいことリスト」の中には「さーやにエッチないたずらをする」という項目があり、ああ、左綾のことが心の底から好きなのだなと、見ていて幸せな気分に。左綾も右綾のことを想っているとは思うが、やはり右綾の方が深く想っているように感じた。
また、その左綾ちゃんはというと…容姿としても性格としてもかなり好みのヒロインだった。淫靡な表情と、その冷静な態度が魅力的で、何度彼女の瞳に吸い込まれそうになったかわからない。やたら中に出すことを求めてくるのなんかもう、なんてえっちなんだろうなと。
また、結構嫉妬深いのも彼女の良い所の一つで、さらっと初夜の際に主人公の同僚の先生に嫉妬の目を向けていたことがわかったりして、非常に可愛かった。誘いからのあのコンボは断れるわけないよなと、強く強く頷いてしまった。
彼女にも当然、「やりたいことリスト」はあって、「1日8時間一緒にゲームをする」という項目と、「一日10時間は寝たい」という項目があって、あまりの自由で欲望に忠実な様に笑いを零してしまった。わかるよ、私も同じ気持ちだ。
まあ基本的に可愛い妹たちとイチャイチャして幸せを維持していくような内容ではあったが、日常を感じられるエピソードが豊富で、彼女達と一緒に過ごすことが出来たら本当に楽しんだろうなというのがよく伝わってきた。やはり短さは感じてしまうけれど、欲しいものはそれなりに詰まっていて、読後感も悪くないちょっとプレイしてすぐ萌えることができる良い作品だったなと思う。