日頃、優しい世界を見続けている身としては良い刺激になったのかなと。話的な面白さは皆無だが、彼女たちを見てクスっとくればそれなりに楽しめそうだ。
あのライターさんと原画さんが組むとか、とても美少女ゲームとは思えない略称だとか、本作に惹かれる要素はいくつもあったが一番はやはりあの顔芸なのかなと。あのヒロインらしくない醜悪な面を見て大変興味を持った。あとはまあ、SD原画の担当絵師さんのファンなので...。
そんな感じで深く考えずに購入したわけだが正直、序盤は訳が分からなかった。攻略していく流れ自体は即材に理解できたのだが、そこから生まれる面白さというものを受け取ることが出来なかったのだ。
まあ序盤だし、と読み進めていくと案の定、過去のエピソードが開示されるようになりホッとしたが、それでもなお「だから…?」という気持ちを抱きながら読んでいた。「あの時のアレが気に食わなかった」と本音をぶつけ合い、喧嘩する。それをひたすら繰り返す。その光景を見て面白いと感じるのであればいいが、私は序盤だけでお腹一杯になってしまった。
でもそうやって喧嘩する事にこそ意味があったのだと、そういった物語に仕上がっていた。デスゲームがメインなのではなく、デスゲームを通じて女の友情とは何かを「ボク」が理解する。女の子はいつも優しさと労わりに溢れている。誠意があって、思いやりがあって、無償の愛がある。そんな幻想の囚われたボクに対して作品の全部を使って教えてくれたわけだ。
まあデスゲーム好きの私としては純粋に殺し合ってほしかった気持ちも強いが、話の軸自体は嫌いではなかったかなと。醜い部分を見せつつも最後には女の友情、女の喧嘩を肯定する。あんなに汚い言葉で罵り合っていたのにそんな小奇麗なオチにするのかと、少々吹いてしまったがまあ、そういったプロットであったならば仕方なのかなと。私にはあの娘たちが仲良くしている未来なんてもう見えないが...。
面白くはなかったが、女の子たちが人間の汚い部分をこれでもかと見せ合う。そういった光景が見たいのであればそれなりに得るものはあるのかなと思う。まさにゲロカスの略称に相応しい一作だった。
まあ人に勧めることはないかなと。ゲロ袋を他人に押し付けるような、そんな下品な真似は私にはできそうもない。