「情」という聞き慣れない言葉が驚くほど自然に刷り込まれていきました。あたたかいよ、かあさま...。
ミルカかあさまがマノのことを庇うシーンにこの作品のテーマである「情」というものの全てが込められている気がしました。情とは、人のために自分を犠牲に出来る人にだけ生まれる感情だと。ミルカかあさまは最初から最後までマノのことを愛して、マノだけのためだけに生きてきた。だからこそ母として息子を守るために、マノがいくら頼んでも、一回だけ言ってくれと頼んでも絶対に言わなかった「わたしには...息子はいない...！」というセリフを泣きながら叫んだ。言いたくなかったでしょうね、その言葉を自分の中で組み立てていく最中ですらそう思ったことでしょう。それでも息子の命と引き換えにはできなかった。もうミルカかあさまのことを思うと涙が出てきますね、切なくも美しい親の情というものを、しかとこの目に焼き付けました。