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asteryukariさんのメモリーズオフ -Innocent Fille- for Dearestの長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
メモリーズオフ -Innocent Fille- for Dearest
ブランド
MAGES.(5pb.)
得点
70
参照数
121

一言コメント

本編で見られなかったヒロイン達の可愛らしい一面を見ることができた。FDとしては十分の出来かなと。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

前作で終わりかと思いきやまだまだと言わんばかりのFD発売。しかも一ルート一時間で終わることなんてないたっぷりのボリューム。流石はメモオフと言ったところ。これまでのシリーズでも本当にFDかと驚かされるばかりだった。

さて、本作はルートごとに後日談が綴られている形なので、登場人物の動きもだいぶ変わる。瑞羽ルートの印象が強すぎて柚莉の人格に一切触れていないルートへの違和感はすさまじかった。リーチも同様、純粋に友達として付き合っている姿怖いのなんの。その携帯電話、ウイルス仕込んでありますよ。

まあ、そんな個人的な感覚はさておき、内容としてはFDに相応しいものが揃っていた。事が落ち着き、ヒロインとの平和な生活が始まる。ではそこで何を描くか、ヒロインとのいちゃいちゃである。中でもノエルルートの破壊力は尋常ではなく、ノエルちゃんに対しての想いが一層強まった。

本編でも付き合ってからは押しまくり攻めまくりだったノエルちゃんだが、ここからが本気だったわけだ。キスだったり、その先の事だったり。累を誘導尋問してからかう姿がとても愛らしい。また、胸のサイズを周囲と比較してコンプレックス抱いているのもかわいい。ちゃっかりバストアップの本を買ってるのも超かわいい。そんな可愛い尽くしのルートであった。

また、自身のルートだけでなく、他ルートでの立ち回りもかなり良くて、それが見られたのは瑞羽ルート。わざと瑞羽を無視するような態度をとり、主人公の彼女に対する愛情を計る。前の選択肢で優柔不断な選択をするとこのシーンで怒るのがとても良い。結果的に言えば取り残された側なのになんでこんなに優しいのだろうか、改めて彼女の魅力に気付く。

そして勿論、瑞羽ルートは瑞羽ちゃんの可愛さについても語られる。本編では途中から前に出てきた感じだったので好きというところまで気持ちが傾かなかったが…乱れまくり、誘いまくりな姿をあれだけ見せられればころっといってしまう。ノエルには頭が上がらないところなんかも含めてとても愛おしいキャラクターになっていた。

また、このルートではあの事件のその後についても描かれているのだが、それに関しては少し不満がある。本編でもそうだったが、多重人格という設定頼りすぎなのだ。糸を絡ませるのもほどくのも別人格。そんなことでは何も響かない。また、リーチに関しても他人の口から更生中と語られるだけなのが残念。事件のその後というわりには全体的にふわふわとしていた。まあ瑞羽との新たな日常を描くことに注力していたのだろう。

最後に不満を書き綴ってしまったけれど、ヒロインとのその後を楽しむという意味では十分の出来であり、彼女たちの笑顔が拝めてよかったと思う。色々なことがあったけど、私たちは今、幸せです。それがわかればもういいのだ。信もお京さんとうまいことやっているみたいだし、もう何も心配いらない。

──これでようやく卒業できる。