らぶこみゅ学の良さを生かすというよりは、それを最後の一押しとして用いる場面が多く、こちらからすればその重要具合を理解できずポカンとするだけだった。それ以外にも不快に感じる要素がいくつかあり、楽しめたかと言われれば微妙なところ。ただ、独特の価値観を持ち、偏見を物ともしない、そんな強い女性に出会えたのは収穫だった。
はじめは「らぶこみゅ学」という聞き慣れない言葉に戸惑い、その指導内容を聞いてもなお理解できなかった。が、まあ「そういうもの」として考えることで、なんとか快適にお話を読み進めることができた。重要なのはこのらぶこみゅ学がどんな役に立つかであり、それに関連するような物語があればなぁという感じで読んでいた。
結果としてはまあ残念なものだったのだが、サブキャラの方で一つ活かせている場面があったのでそこは嬉しかった。しかしそれを除けばその設定がプラスによりマイナスになってしまっていて、終盤付け加えるように「らぶこみゅ学だから」と会話に無理矢理ねじ込んでくるのが苦痛だった。
そのため「らぶこみゅ学の教師」というよりは「教師」という設定のみが話に貢献していたかなと思う。まあ、国語や数学の担当の教師!というあらすじを見ても作品には惹かれにくいので、仕方のないことだったのかなと。それにこれはそういった設定を見て楽しむ作品ではなく、どの女の子が可愛い、どの女の子がえっちみたいな楽しみ方が適した作品なのだろう。そんなのは見ればわかるのだが、そう認識しつつもやはりどうしても気になってしまった。
キャラクターはなえなえ先生らしいキリっとした目の娘が多い何とも可愛らしく、そしてえっちだった。どの娘も基本的に主人公に好意的であり、くっついた後はいちゃいちゃ生活が続いていく…かと思えば必要性を感じないシナリオを付け加えてきたりと、ただのいちゃらぶで終わらせてくれないものもちらほら。まあ起伏を持たせようとしたのだろう。
以下√ごとの感想。
○真琴√
武士道を重んじる真面目な名家の一人娘と思いきや、その正体は真性のドМで、傷口を消毒や鉄板から跳ねた油すら快感に変わる。ギャグを超えた恐ろしい女の子だ。そんな彼女との初夜、どうなることやらと注意して見ていたら、やっぱり…。
「と、言うことは…この痛み…この快感は、今しか味わえないもの…!」
と、言うことはじゃないよ笑、どこまでもぶっ飛んだ娘だった。シナリオはまあイチャラブえっちの連続だったが、不快な要素もなく笑える。これでいいのだ。
○笙子√
男に見られたり、抱きしめられるだけで妊娠してしまうと勘違いするくらい純粋なお嬢様。ただ、お嬢様でありながらタカビーという感じではなく、最初からわりと心を許している。私はタカビーお嬢様が好みなのでそこは少し残念。
彼女のお話は内容こそあったが、それがあまりにも酷すぎる。事情も話さず勝手に親御さんを敵扱いし、挙句に果てには煙を撒き、娘を誘拐。完全に主人公は犯罪者だった。自己紹介にて「笙子さんの担任で、らぶこみゅ学を担当している~」と言い出す主人公でもう駄目だった、大いに笑わせてもらった。こんなの100%クロだろう、よく殺されなかったと思う。国で認められたらぶこみゅ学、恐るべし。
その後の説得についても全面的に親側が正しくて、説得できた意味が分からなかった。どれだけらぶこみゅパワー強いんだ。最後まで笙子ちゃん可愛い以外の良さが見つからないお話だった。
○りん√
りんは魔性の女という感じで、作中でもダントツでえっちだった。キャラもそうだが、シーンに特に力が入っていたと思う。媚薬を自ら生み出し服用する、やり手だ…。この娘については彼女もシナリオも親御さんも皆が皆優しく、平和なルートだったと思う。最後に愛を知り、子供たちに愛の素晴らしさを説く彼女からは確かな成長を感じられた。
○美弦√
淫乱ビッチ娘だと思っていたら、ものすごくいい女だった。会計の時なんかは惚れる勢いだった。意外にも常識人で、一番健全なお付き合いをしていたのではないかと思う。
彼女の価値観がとても好きで、家柄だけではなく、家事もできて、気遣いもできて、夜の世話もできる。そういう所を全部ひっくるめて私なんだと、それを自ら実感できて、尽くせる相手を探していたと語る彼女に魅了されてしまった。そんなことを言われてしまったもうヒモに、ダメ男になるしかないよなぁ…。
話が短かったのは残念だが、彼女の魅力は十分に伝わってきた。正直あまり期待していなかったので思わぬ収穫だった。
○くるみ√
特殊工作員の娘なことだけあり、何かと変わっている。この娘の√が一番不快だった。この娘自体は嫌いではなかったのだが、あの強引な家族関係修復劇には吐き気がした。家族関係が上手くいかなかったのなら、そのまま主人公とは結婚せずに別の形で愛を育んでいく、それでよかっただろう。あんなとってつけたようなモノは要らない。最悪だった。
○ぽん子√
サブなので短いが、この√は好きな部分があった。それは「AIとの恋愛」。自信を機械人間だからと初体験はノーカン、ちゃんと人間の女を愛してあげてと言うぽん子に対する主人公の反応が良かった。ここにきてようやくらぶこみゅ学教師の本領発揮だ。
「相手が例え機械であっても、お互いが愛しいと思う感情が芽生えたとき「愛情」が生まれる」
素晴らしい。そうなのだ、愛情とはそういうものなのだと、拍手喝采だった。
○弓真√
教師と生徒の恋愛だけでなく、教師と教師の恋愛まであるとは。話は流れで付き合う大人らしい付き合い方だったがまあこんなものだろう。しかし初デートで好きな球団の観戦に行くと言い出す彼女は何というか、行き遅れだなぁって…。
○鳴√
天使の呼び名がふさわしい鳴ちゃん。ゲームばかりしているように見えて、兄を心配する発言が多々見られる。実は優しい妹だった、優しくて可愛くてちょっぴり小悪魔。可愛いね。√自体はサブなので短く見所も少ないが、出番が増えた。それだけで十分かもしれない。
話は基本的に面白くなく、不快に思う部分も多いが、キャラは可愛い。つまりそういう楽しみ方をする作品なのだろう。