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asteryukariさんのイブニクル2の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
イブニクル2
ブランド
ALICESOFT
得点
80
参照数
307

一言コメント

前作からだいぶ難易度が向上し、苦戦を強いられる場面が増えた。が、前作を生温く感じていた自分にとっては丁度良く、長く楽しむことができたという意味でも満足度は高い。こつこつと努力すれば必ず勝てる、それがロールプレイングゲームの良い所なのだ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

前作がなかなか面白かったので何となく安心感はあったがきちんと面白かった。眼鏡でお医者さんな男が主人公ということでえっちにはむしろ興味がないのではないかと思われたがそんなことはない、もう相当にえっち好きの男の子だった。そういえば前作のアスタくんも人畜無害そうな顔して相当なヤリ手だったなぁと。

また、ヒロインが嫉妬する場面が多々見られたのも個人的に好きな点で、前作ではキャスくらいだったが、本作はカノとシャロのダブルコンビ。何かと節度を持たぬ行動をしてしまうアレクに対し、嫁としての苛立ちをぶつける彼女たちもまた魅力的であった。他の二人はリッシュとグリグラのような感じ。逆に全員嫉妬するような気の強いヒロインだったりすると疲れてしまうので良い具合にバランスがとれている。

そして、安心感を覚えたのは戦闘に関しても同じ。多少、テンポは悪くなったけれど敵の強さはそんなに変わらないし大丈夫。これならまあ、ラスボス手前で少しレベリングするくらいで済むだろうなぁなんて考えていた。そんな自分をあざ笑うかのようにこのゲームは猛攻撃を仕掛けてきた。

まさか三章で止まるとは思わなかった。三章ってまだ半分もいってないじゃん、何かの間違いだろと再度戦闘に挑むとやはり勝てない。ディフェンス面が圧倒的に足りていない。そんな絶望を押し付けてきたのがエンデちゃん。物語を通して可愛い可愛い思っていたが、あの時だけは憎くて仕方なかった。お願いだからくるくる回るのやめてと、エフェクトが見えただけで顔でうんざりしていた。

そう、ここで気付くのだが本作においてストーリー外でのレベリングは必須レベルである。頑張れば低レベルで勝てないこともないが、やはり運が絡むためストレスが溜まっていくことは避けられないだろう。そうやってストレスを感じながら戦っていても楽しくないし、やはりこつこつレベルを上げて勝つのが私の性に合っている。

ただ、そのレベル上げというのがなかなか大変で、先ほども述べた通り戦闘のテンポは非常に悪い。おまけに赤棘や紫の煙は数に限りがあり、経験値もうまいとは言い難い。紫の煙に関しては敵の強いので油断しているとあっさり負けてゲームオーバーなんてこともある。後半になると当然、レベルも上がりにくくなってくるので地道な作業が苦手な人には向いていない。まあRPG好きの人から普通の事に感じるはずだが。

私の場合、6章から7章にかけて幸福きゃんきゃんと出会う機会が多々あったのでそこは本当にラッキーだった。しかも捕獲に成功すると経験値取得率が20%もアップするし本当に幸福きゃんきゃん様様だ。なんで5章、6章で出てくれなかったのだ...。キミがいたらハーメルンもエピデもちょちょいのちょいだったのに。

また本作はただレベルを上げてごり押すだけでは勝てない。あんまり調子に乗って攻めすぎると痛いしっぺ返しが待ち受けている。「HPが~以下になると猛攻撃を仕掛けてくる」というのはある程度予想できていたが、二人組のどちらか一方を先に倒すとアホみたいなダメージ連発してくるなんて...。

あのチャラ男には本当に苦戦した。回復もしてくるだなんて卑怯だろう、正々堂々戦いやがれと画面に向かって特大のブーメラン発言をする自分がいた。前作と同じくラスボスの手前が一番強いから笑ってしまう。ハーメルンくん、お前要らなかったよ。

ゲームに関しては高評価、言ってしまえば前作よりも面白かったがお話は少し残念だったかなと。6章にてエピデを倒すところまでは王道且つ先が気になる話の作りをしていて良かったのだが、その先の物語に関してはいまいち。というのも今までは「正義と悪」がはっきりしていたのだが7章は違う。「倒す」というよりは「止める」という言葉相応しい展開が用意されていた。

そのため消化試合に感じてしまったのだ。戦闘に対する熱さもないし、その先の話も容易に想像できる。つまらなくはないが、それまでと比べると面白さは確実に落ちていた。そんな感じで少しモヤを感じつつ物語りの終わりを迎えたわけだが…エピローグは本当に良かった。というかランスをプレイしたことのあるユーザー、それから前作に思い入れがあるユーザーはあんなの心躍らないわけがないだろう。

QDの立ち位置が予想の遥か上で衝撃的だったが、それを踏まえた上で物語を振りかえると彼女の万能さにも納得できる。レベル神であるマキナと面識があるのもなるほどなぁと。ギャル作りしていたのは笑ったが。そういうタイプの女の子、私けっこう好きですよ。

アレクの選択も前作のアスタと比較すると面白いし、彼らしいなと思う。相変わらず読後感が心地よい作品だ。あのエピローグ的に続編は出そうだし、これからこのシリーズがどういった方向にいくのか楽しみでならない。今回も楽しい冒険ありがとうございました。