変態ロリコン教師と小悪魔女子小学生。そんな登場人物達からは考えられないほど真面目で熱い内容で、しかもとても面白い。あの読後の爽快感はしばらく忘れられそうにない。
「小学校に数千万単衣の大金が。女子小中学生と大人たちによるウソと秘密と駆け引きで奪い合うサスペンス」
パッケージの裏を見た時には驚愕だった。あんなに幼い女の子たちが描かれているのにそんな内容なのかと。そして同時にそんな話にどうやって移行していくのかとてもわくわくした。
「いやいやでも女子小学生が駆け引きなんて…」そう思っていたのに…これが本当に面白いのだ。会話の節々で理不尽な言葉を投げかける女生徒達は笑い誘うし、純粋に駆け引きの内容も面白い。対策手段や創作手段がやたらマニアックで、でもマニアック過ぎない一度は聞いたことのあるような比較的馴染みやすいものばかりなのも良い。
でもまあ、女子小学生の知識量ではない笑。流石は梨香様といったところ。梨香様ははじめに見た時から何かあるなとは感じていたが、ここまで逞しい女の子だったとは。話の流れは完全に彼女にあって、主人公より主人公していた。周りの女の子達が彼女の知識に感心する一方で、そこは以前に授業で教えただろうと悔しがる主人公が気の毒だが笑える。
そんな彼女もきちんと年相応の可愛らしさがあって、お姉ちゃんが戻ってきて抱き付き涙するシーンなんかは来るものがある。ああ、今までずっと弱みを見せず頑張ってきたのだなと、ようやく思いが報われた彼女を見て激しく心を揺さぶられた。この子は本当にお姉ちゃんのことが好きなのだ。
だからこそやっとの思いで取り戻したお姉ちゃんを囮に使うような作戦にはブチ切れていた。
「オマエ、ほんと殺すぞ」
表情もだが何より声色が非常に冷徹で、彼女が本気だということがビシビシと伝わってきた。
また、主人公である変態教師も実に良いキャラしていて、そりゃあキモイキモイ言われるも当然だと思う場面ばかりであった。でもやる時はやってくれるし、それでいて変態らしさを存分に発揮してくれるため、やはり笑いが止まらない。「来るものは拒まず(ラッキースケベ)」で死ぬほど笑ってしまった。
最後までギャグ担当なのかなと思っていたら最後の最後に決めてきた。あの仕掛け自体も凄いのだが、それ以上に根暗というか犯罪チックというか実に彼らしいやり方だなと、気持ち悪いのがたまらない。彼女もそんなことを思って笑ったのだろう。
エピローグでも「変態」について熱く語っていて最初から最後まで変態を貫いて生きる彼であった。確かにあのポケモンの例なんかは一度は考える問題であり、共感性も高かった。やっぱり変態なんだよなぁ、変態万歳。
タイトル回収も綺麗だったし、お話もスッキリしていて読後は非常に気持ちが良かった。またこんな作品に出会えること強く願う。