失ったモノを全て取り戻すべく、ダメオヤジが努力し、自分を変えていくことで周りも変わっていく。この作品、家族に関するお話は勿論良いものばかりですが、それ以上にオヤジを支えてくる人たちが本当に良い人ばかりで、周りに支えてくれる人がいる温かさというものを一番に感じました。
「家族の絆を取り戻すため、今、オヤジは再び立ち上がる。」あらすじの最後にもこうあるように序盤はオヤジへの家族や世間の目、距離の置かれ方などが非常に現実味のある見ていて辛いものでした。家では子供に冷たく当たられ、会社ではのけ者扱い。家での子供達の態度を見ていて、あぁ私もかつてそんな態度をとってしまったことがあったなあと、ふと懐かしさと申し訳なさが入り混じった複雑な心境になったりしていましたね。
この作品というか、親が主人公だったりする作品は大体そうなのかもしれませんが、子供に関する話でやはり懐かしいと思うエピソードが多いんですよね。主人公が懐かしいと零す出来事が本当に懐かしいものばかりで、そういった懐かしさに浸れるというのも一つの魅力なのかもしれません。
話を戻しまして、序盤は見ていて辛いだけのオヤジでしたが、我々の育成のおかげ?もあって日に日に逞しくなっていきます。しかしそれでも物事はうまくいかない、障害をクリアしてもまた次の障害がすぐ現れる。これが人生だと言わんばかりに喜んでは落ち込んで、喜んでは落ち込んで。それでもあきらめず努力していくオヤジは眩しかったですし、かっこよかったです。
また、熊無さんを始めとして、和子、雄志などオヤジを支えてくれる人たちの存在もこの作品の素晴らしいところですね。こんなにも温かい仲間たちに囲まれてオヤジは幸せ者だなと思いましたよ。この人たちも全く面識がないというわけではなく(熊無さんはそうですが)、過去にオヤジと関わりが深いだったというのも良いですね、オヤジの生きてきた道は決して間違えじゃなかった、そう訴えられるようでした。
彼らが輝く場面は個々に違い、熊無さんであれば同じプロジェクトのメンバーとして、オヤジの部下という立ち位置でありながら度々オヤジを支えてくれる。特に由美子を追いかけるか会議に出るか迷っていたオヤジに一喝したシーンが印象的ですね。仕事場でありながらも大きな声で「大野さんは、奥さんよりも仕事が大事なんですか?」なんて言っちゃう。かっこいいですよ、個人的にかっこよさで言うなら作中一だったんじゃないかと思うくらいお気に入りのキャラクターです。
和子は見た目からは想像できないほど良い子でしたね。恩返しというには少々恩を返しすぎなんじゃないかとも思いましたが、まだ幼かった彼女として、当時のオヤジの気遣い、助けはそれほどまでに嬉しいものだったのでしょう。彼女とオヤジの関係はかなり好きでした。与えた側は気付かないが、もらった側はずっと覚えていて、いつまでも有り難がる。恩返しの温かさを感じましたね。
雄志に関しては家族の絆の修復に携わったというよりも、気兼ねなく話せる男友達という立ち位置がとても馴染んでいました。飲みに付き合ってくれる友人というのは必要ですからね。近い存在として熊無さんがいましたが、仕事終わりならまだしも、休日まで付き合ってというわけにはいきませんから。それにやはり男同士飲みに行くというのが重要であり、楽なんです。子供同士も仲が良いみたいですし、これからもオヤジの良き友人として付き合っていってほしいものです。
これだけ周りの人が魅力的であったからこそ、最後にチラッと登場した由美子の兄であり、会社の重役であり、かつてオヤジの親友であった五十嵐さんについても、もう少し触れてほしかった気持ちもありますが、影ながらオヤジの手助けをしていたということがわかるだけでもう十分な気もします。オヤジは本当に周りの人々に恵まれていますね。
個人的に好きだった話は駅伝の話ですかね、オヤジを応援する家族の姿を見て涙を流しました。バラバラになった家族が再び一つになった。オヤジの喜びはどれくらいだったでしょう、無限の力が湧いてきたに違いありません。翔の"かっこよかった"で号泣ですよ、よく頑張ったよオヤジ...。
家族がいて、わたしを見てくれる。見守ってくれる。それは何よりもかけがえなくて、たまらなく嬉しいものであると、家族や仲間の存在はこれほどまでに大切で、温かいものだとオヤジを通して改めて思いました。
おつかれオヤジ、そしてこれからもがんばれ、オヤジGO!