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asteryukariさんの円交少女2 ~JKアイドル真鈴の場合~の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
円交少女2 ~JKアイドル真鈴の場合~
ブランド
Frill
得点
78
参照数
1865

一言コメント

決して気分の良い話でもないし、読了感が良いわけでもない。しかしプレイする価値はある。真鈴という一人の女性がアイドルとして歩き続けていくことに決めたその強さと、彼女の残した軌跡を見ないのはあまりに勿体無い。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

残光ルミネセンスを聴いて興味を持ち、絵も綺麗だということでプレイに踏み切ったわけですが、思った以上に話がしっかりしていて、ロープラ抜きゲーくらいに考えていた私としては嬉しい誤算でした。プレイしていて一番いいと思ったのは真鈴の性格ですね。枕営業をやるくらいなんだからてっきり従順女の子なんだろうと思っていましたがいい具合に捻くれていて、ホント良い性格してましたよ。

ただ、それは彼女だけでなく芋女の同じだったと。終盤、お互いの仮面が外れ、口論になるシーンなんてこの作品の中でも一二を争うくらい好きですね。いつも笑顔で元気をくれる、そんなアイドル達もしっかり人間で、負の感情を抱くんだと、枕営業とは異なるアイドルとしての闇が見れたようで嬉しい限りです。

そして何もかも失い、ついにはAVデビューの一歩手前まで行く彼女。人を笑顔にするアイドルになるのが夢だったのに、こんな悲しい結末になるなんて。まあ、人を笑顔にするというのはこの道でもできることではありますが、幼い頃からアイドルを目指し続けていた彼女の気持ちを考えると中々にくるものがあります。

流れを見ていても、彼女を見ていても、成功のビジョンは見えるはずもなく、失敗の道に繋がっていく予感はしていたはずなのに、あのEDへの入り方は衝撃的でした。恐らく私の中で、彼女に成功してほしい、アイドルとして生きていってほしいという願望みたいなものがあったんでしょうね。

残光ルミネセンスに対する印象もガラッと変わりました。きっとこれから聴く時に、前ほど楽観的な気持ちで聴くことはできなくなりそうですし、きっと彼女の物語を思い出しながら聴くことになるでしょう。

そんな感じでEDに浸っていたのに天使が来たなんてぶち込んでくるのはね、流石に笑ってしまいました。いや、キモオタじゃん...。ライブに復讐のために来たはずのオタク達が彼女の頑張る姿を見て改心したと、まったくオタクというのは単純だな、すぐ手のひら返しする。でもそれが彼女のアイドル人生において唯一の救いであり、幕切れとなったわけで、物語としての後味に悪さを抑える、良い終わり方だったのではないかと思います。

しかしせっかくならステージで歌う彼女を見たかったですね。ブーイングから拍手に変わる瞬間というものを見てみたかったです。

決して成功物語ではないけれど、最初から最後まで彼女の"アイドルでいたい"という気持ちは変わらなかった。これが彼女の芯でもあり、強さでもあったのだから。