不快な点が多く存在するわけでもないが、シンプルに読み進めるのが辛い。ただ、キャラクターの可愛さだけは一級品なのでそこに魅力を感じた人ならば駆け抜けられる...はずだ。
「まほろば」、その言葉を目にした時ふと某漫画を思い出した。あの作品のようにみんなと暮ラス日常が魅力的な作品なのかなと。日常に魅力があったかというとそれは全くなかったが、皆と過ごす場面はかなり多かったように感じる。共通ルートの尺がとても長いのだ。選択肢こそ徐々にヒロイン寄りになっていくものの、完全に個別√に入るのはわりと後半になってから。
だからヒロイン達と過ごす楽しさを味わいたいという意味ではそこそこ力が入れられていたのかなと。内容は絶望的に面白くなかったが...。六人のヒロインを攻略するこの作品において、あの退屈な共通パートを用意したのは中々凄い。きっと心が折れてしまう人が何人もいたはずだ。
そして、ようやく辿りつける個別√というのも別段良い話が揃っているわけでもない。えっちシーンの連発で終わっていなかった点は評価できるが、矮小な話題でゴールまでいくのはいただけない。せっかく世界観が魅力的な作品なのだから、それに絡めて壮大とまではいかなくても普通の学園物ではできないモノを見せてほしかった気持ちが強い。
期待していた久遠ルートなんかはまさにそれで、彼女にとっては大きな一歩なのはわかるが、そんなに引っ張るのかとつい思ってしまった。途中でいい感じになったにもかかわらず蒸し返されたような感じだ。
また、一目見てすぐ好きになった御影さんも話はいまいち。もっと軽いノリで進んでいってくれて良かったし、主人公を揶揄う姿が大変魅力的だったのもあり、そうなることを望んでいた。なぜ姉設定を追加してしまったのか…最後まで邪魔に感じた。ただまあ、御影さんとのシーンは良くて、実は初心な彼女を見てたまらなく興奮した。
シナリオに関してはかなり不満の残る作品であったが、キャラクターの可愛さは本物。これは単に個別√に派生した時に輝くのではなく、あの退屈な共通ルートを読み進めるためのエネルギーにもなってくれた。「この時間を耐え抜けばあの娘とのシーンを拝むことができる」そう思う瞬間が無数に存在したのだ。
全体を通して面白いと感じる場面は片手で数えられるくらいであったが、タイトルのごとく住みたい場所であった事は事実。あんなに可愛らしい女の子達が、あんな無防備に暮らしている。御影さんも言っていたが本当にハーレムだ。
まあ私として研究室で御影さんと暮らしたいのだが...。