他国との勢力状況や国内情勢に関する文章の綿密さに驚かされた。話としても、終盤でかなり面白くなってきただけに惜しい
初めの方こそ拷問描写の繊細さに目を惹かれるくらいしか、この作品に対してはのめり込めませんでしたが、二章の終盤から一気におもしろくなりました。まあキャラクターの死に対しておもしろいなんて言葉は相応しくないのですが、展開として流れが変わったのは間違いありません。
その後淡々と世界を、国を手にするために仕事に勤しんでいたエルが全てを台無しにした際は、感情としてはわかりますが話としてはこれから面白くなるのか不安でもありました。しかしながら、そこからがこの作品で一番面白かったですね、忠誠を誓う騎士から、信用できない側近、皆から疎まれているが有能な奴、思想は違えど目的のための共犯者。いや、私好みの展開です、あのぶつくさ文句を言い合いながらも互いの利害の一致のために協力しようとする感じがたまりませんでした。こうなると、かつて裏切り者により起きてしまった悲劇を思い出してしまいます。皮肉なものですね。
だからこそあの終わり方には、やや不満がありました。物語はこれからだというのに...。続きが見たくて仕方ないです。