CV青山ゆかりでルートロックまでされていたピオ二ィ√の出来が思ったより酷かったですが、それを打ち消すくらいコーリオ√が良かったです。
AXLのファンタジー物は個人的に楽しめる作品が多いので本作もそれなりに期待していました。めちゃめちゃ面白かったわけではないのですが、コーリオとジーニアのキャラクター性、お話共によかったです。が、恐らくは誰もが期待したであろうピオニィ√の出来はよろしくなく、これが原因で評価が下がっている気がします。
個別に見ていきますと、まずはコーリオ√について。このキャラ及び話が一番好きでした。主人公に猛烈にアタックする元気な村娘。可愛くない訳ないんですよね。主人公はどの√でもそうなのですが、かつて親しかった友コ―ラムを戦争で失ったため、それを引きずっており、それを理由に自分だけは幸せになれないと言います。基本的にそれを理由にヒロインの告白をすぐには受け入れられない、あるいは断るのですが、その後、村人やヒロインたちの一言であっさり付き合うのがなんだかなあという感じでした。コーリオの場合は何度も諦めず「激しくいくから、覚悟して」のごとく主人公の気を引こうとするのですが、それが健気で可愛いのなんの。何度目かの告白でようやく主人公が受け入れることになった時も、自分が知らない赤の他人であるはずのコーラムのことまで考え、主人公が幸せになっていい理由を熱弁していました。本当に良い子です。それでいて主人公から髪飾りをもらう時になんでくれるのかわからなかったり、盗賊と義賊の違いがわからなかったり、どこか抜けているところがあるのも彼女の魅力なんですよね。主人公が勢いでそのまま行為にもつれ込もうとした時、「一夜限りの関係は嫌!ちゃんとお嫁さんにするって言ってくれなきゃ嫌だ」と断ったりと抜けているように見えて恋愛には真摯なんですよね。好感度が上がりっぱなしでした。彼女の√はいたって普通の恋愛物語なのですが、彼女のキャラクターの良さから何倍にも魅力が膨れ上がっていました。極めつけは子供が出来た時に真っ先に主人公の親友の名前であるコ―ラムにしようと言い出したことですね。もう良い子すぎて良い子すぎて。自分の名前と似てるしと抜けたようなことを言ってましたが、主人公のことを第一に考えているんだろうなというのが伝わってきました。いや、本当に他のAXL作品を合わせても五本指に入るくらい好きになりました。
次にジーニア√について、この娘は小さくも美しく、そして強い娘でしたね。王女という立場でありながら、行方不明になった民が見つかった時には嬉しさのあまり号泣したり、興味津々で村人たちと戯れたりする姿はとても好印象でした。そして時には王女として男爵の不正を裁きに来たり、主人公を戦力としても恋人としても欲していたため強引に自分のもとに恋と迫ったりと王女らしい一面も持ち合わせていました。先の戦争の引き金となった前王の娘ということで時には人々から恨み言を言われることがあっても、あえてそれを聞き入れることが自分の役目だと言っていたり、槍の腕前などから見ても強い娘でした。話としてはこの√が一番面白かったですね。主人公が強いので、雑魚敵は勿論、黒幕である宰相にもパパッと勝っていくのは見ていて気持ちが良かったです。それに加え事態収拾後は、宰相に対してもせめてもの救いの話を入れる。話の規模はそれほど大きくないのですが、まとまっててよかったと思います。
シズル√はタイトル回収ができていて良かったです。はい。
最後に問題ピオニィ√ですが、まずこの作品全体を通して、薬師としてのピオニィは優秀なんですけど、兄である主人公が絡むと途端にだめになるんですよね。この√でも実は宰相の手駒であったり、主人公を罠にハメるための餌にされたりと良いところがないんですよね。物語の最後では罪の意識を感じて逃避。が、主人公に見つかりなんやかんやあって説得されハッピーエンド。えっちしまくりなど序盤の選択肢にあった頭脳明晰な女性とは誰だったのかわからなくなります。そんな彼女が唯一輝いていた場面はジーニア√BADですね。兄を愛しているからこそ結ばれないのなら無理心中を果たす。好きという気持ちがはっきりと示されていて良かったと思います。
私が攻略した順はこの通りでしたが、話の展開、ボリュームとしてもジーニア√を最後にやればよかったかなあと少し後悔しました。ただ、主題歌やBGM、サブキャラクターとの会話の掛け合いなど、全体としては好きな部分の方が多くみられる満足のいく作品だったように思えます。