壮絶すぎる戦の果てに彼らが得たモノ。それがいつまでも途切れぬよう祈るばかりだ。そして同志達、本当にお疲れ様。
BETAだけでなく人間とも戦わなければいけなくなった。そんな彼らの迎えた結末…しかと見せてもらった。いやぁ、前作は準備段階だった言わんばかりの面白さとに終始圧倒されていた。話は勿論、アニメーションの質もかなり上がっていたし、壮絶さも上がっていた…。
前作とは異なり主要人物、666の仲間達が次々と命を落としていくからもう…辛くて辛くて仕方ない。しかも何の突拍子もなく死ぬのではなく、読み手の気持ちがその人物に向くようにし、溜めに溜めてから一気に突き落としてくるから性質が悪い。てなわけで終盤はもうボロボロに泣いていたし、その上で彼らの望んだ世界を見届けたいという熱い思いが胸の奥で燃えていた。
特にリィズという女の子を好きになってしまった私なんかは何度も身が引き裂かれるような悲しみを味わった。いやぁ、本当にこの作品はリィズに対して容赦がない。厳しすぎる。確かに彼女の行動心理は歪んでいるし、彼女が行ったことは許されないことばかり。いくら彼女のことが好きな私でも「それはやっちゃいけないだろ」と思う場面が多々あった。でもあまりにも彼女に救いがなさすぎる…。まあそんな仕打ちをしてしまうとこも含めてこの作品が大好きなのだが。
以下ルートごとの感想
◆リィズ
主人公がリィズと共に国家保安省側に付くルートであり、第666戦術機中隊のメンバーに思い入れがあるとかなり辛い。無論、それは主人公も同じことで、自分達はそうわかった上でリィズを選んだのだと完全に思考が同調していた。
まあ決断した主人公も気持ちは666にあって、最終的にベアトリクスを裏切ってアイリスの手伝いなんかもするのだが、最後はきっちりとかっこいいところを見せてくれたので安心した。
にしてもあのアクスマンとのやり取りは辛かった。囚われの身になって、国家保安省の人間になったと聞いた時からそうだろうなとは思っていたが、実際に言葉に出されると歯痒さが段違いだ。本当に辛い人生を歩んできた彼女だ、どうか幸せになってほしいと願いながら見守っていた。
そんな私の願いは撃墜されるわけだが。あれ、これリィズルートだったよな?と二度見した。でも手に入れたかった兄が側に居てこれからもずっと一緒。それは彼女にとって何よりも嬉しいことなのではないだろうか。最後だけ目のハイライトが戻っているのがまた良い。
◆アイリス
アイリスの話らしく革命軍と国家保安省が激しくぶつかり合う話であり、BETAの存在はこれまで以上に薄まる。新しいドイツの未来を創るためにと、押され気味ながらも奮闘する革命軍の姿が非常に映える。良かったのは名もなき革命軍衛士たちの声を聞き反撃に出るという場面で、国家保安省とは違う、みんながみんな同じ目的の下、アイリスを信じて戦っているのがひしひしと伝わってきた。
ただ、この作品はそんな燃える場面ばかりではなく、きちんとその熱を冷ます出来事も挟んでくるから怖い。怒りで我を忘れたとはいえ、それはだめだよリィズちゃん…。あの時ばかりは彼女が許せなかった。
しかしながら、その後の彼女の行動には目を見張るものがあった。無論、あれで彼女の罪が帳消しになんかはならないが、彼女のこれまでの苦悩が込められた弾丸の雨は純粋に見ていて気分が良かった。良い椅子に座ってただ命令を下すだけの連中は私としても気に喰わない。
このルートも雲行きが怪しかったがエピローグを見てホッとした。このルートでくらい中隊の皆でどこかに遊びに行ってほしいものだ。本当に…。
◆カティア
このルートくらい皆が救われると思っていたが…三つの中で一番辛いお話が待ち受けていた。何といってもリィズの処刑シーンだ。リィズの事を好きな私がここに触れないわけにはいかない。
アイリスを蔑んだり、外から見た革命軍について説いたり。自分がどれだけ過酷な人生を歩んできて、またその何がいけないのかを叫び続けた。その理由を知った時の感情と言ったら…もう胸が張り裂ける思いだった。どれだけ兄の事を愛して生きて、そして死んでいったのか。それを考え続けるだけで無限に涙が溜まっていく。
カティアは「最後の望み」と口にしていたけれど、リィズにとってはもうそれくらいしか望みが残っていなかったのだと思う。だからアイリスルートでも懇願したわけで。そう考えると彼女にとってこのルートが一番の救いなるのかなと。この作品においては彼女にハッピーエンドを用意しなかったのは素晴らしい。
そんな風にしてメンタルぼろぼろの状態でプレイしていたので勿論、アイリスも…。あの約束をした時からそういった展開になることは予想していたのだが、もはや何も壁になってくれやしなかった。自分の役割を全うして、満足して逝ける彼女だ。悲しみの涙なんて流したくなかったがそれでも…リィズの一件と同様、アイリスディーナという女性の生涯を考えると画面が滲んでいった。
三つの中で一番辛いが、一番面白い話でもあっただけに読後は何を考えていいのかわからなくなった。
途中辛くて休憩時間を設けたりもしたが、何とか読み切った。この傷はしばらく癒えないだろうが、それくらい印象に残る良い作品だった。