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asteryukariさんの花咲ワークスプリング!の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
花咲ワークスプリング!
ブランド
SAGA PLANETS
得点
68
参照数
322

一言コメント

愛らしいヒロイン達の揃った作品ではあったものの、個別シナリオが彼女達の魅力を腐らせてしまっているパターンがいくつもあり、そこが非常に残念だったなと。もう少し彼女達を大切に育ててほしかった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

タイトル画面から既に目移りしてしまうような、ビジュアルの良いヒロインばかりの作品だった。凄いのは物語を進めていくと、メインだけでなくサブやサブのサブに位置する女の子達まで可愛らしい点だ。真子ちゃんなんかは他作品であれば十分メインを張れるとすら思う。流石はサガプラさんだなと、読み始めの時点で作品に対する印象はかなり良かった。

共通ルートは「幽霊部」結成までのお話が描かれており、部員勧誘をしていく中でヒロイン達の距離も詰めていく。正直な話を言えばこの幽霊部員集め自体はあまり面白くなかったが、ぶつくさ言いながらも徐々に主人公にデレていく祈ちゃんは非常に愛らしかった。

あとは学園で過ごす以上に家で過ごす時間が読んでいて楽しかったかなと。なぜ楽しかったのかというと、それはもうののかちゃんとお喋りできていたからに決まっている。お世話焼きで、天然さんで、お兄ちゃんが放っておけなくて…。そんな聖母のような彼女にただただ魅了されていた。小学生の時のエピソードなんかもしっかり盛り込まれているのが嬉しい。


とまあ共通部分はそれなりに楽しめる部分があって、魅力的な彼女達を攻略できる時をまだかまだかと待ち望んでいたわけだが、個別シナリオがその期待に応えてくれたかというと微妙なところ。特に私が最も楽しみにしていた若葉ルートなんかは読んでるうちにマウスを握りつぶしてしまうのではないかと思うほどに憤りを感じる内容となっていた。

若葉ルートの何がダメだったか。それはもう「距離の詰め方」につきる。元気で下ネタすらも同等と話せる古くからの幼馴染。そんな彼女に魅力を感じ、またどうやってデレていくのかに着目していたので、ルート分岐して早々にデレはじめた彼女を見て動揺を隠せなかった。

彼女を好きな身としては勿論、赤面した彼女は可愛いと思うし、さっさとくっついてほしいタイプのユーザーにはウケたかもしれない。しかしあれはあまりにも雑すぎた。きっかけとして用意されたデレであったらまだよかったが、その後の彼女はまるで別人で、それまでの良い女友達感は綺麗さっぱり失われていた。

結ばれ方も適当そのものであり、流れるのように口で咥えて、アンアン喘ぐ彼女を見て一度画面の電源を落としてしまった。シナリオが彼女というキャラクターを見事に殺していたのである。ただまあ、最後の方は彼女らしさが戻っていったので、そこは良かったのかなと。


ただ、中には良いなと感じる個別ルートもあって、祈ルートは結構好きだったかなと。シナリオの出来は決して良いわけではないし、付き合った後も再度、一匹狼に戻ろうとする部分なんかは面倒臭く感じたのだが、そんな面倒臭さも愛してあげられるほどに祈ちゃんが可愛くて可愛くて仕方がなかった。

彼女の良さはずばり付き合った後ある程度ツンが残る点だろう。ツンツンしていたヒロインが付き合った後にデレデレになっていく女は勿論良いが、付き合った後も素直になれない女はそれ以上に素晴らしい。えっちの時もやり始めはツンツンしているのに、段々と自分から求めていくのが本当にもう…身体つきも意外とえっちだからとってもとっても困った。


他に触れておくとしたら、それはTrueルートになるのだが、あれに関しては個別ルート以上にネガティブな感想しかないので...。強いて言えば最後の集合写真は良かったかなと思う。本編で人と関わることを避けていた祈が悪ノリしているのが凄く良い。



とまあこんな感じで思った以上に不満だらけの感想となってしまったが、祈ちゃん関連で言えばいい部分の方が多かったのでそこはホッとした。久々に良い意味で面倒臭いツンデレちゃんに出逢えて嬉しいかぎり。