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asteryukariさんの俺は君の生理用ナプキンを舐めたいの長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
俺は君の生理用ナプキンを舐めたい
ブランド
PLASTIC LABEL
得点
76
参照数
350

一言コメント

大月経介、キミに出逢えた事をとても嬉しく思う。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

「手に入らないと思えば思うほど、手に入れたくなる」そう豪語するはまさしく変態の鑑だった。かつてこれほどまでの変態主人公がいただろか、まあ何人か思い当たるキャラクターは存在するが、ナプキンにここまで固執する変態は彼が初めてだった。そして、それこそが本作における最も大きな魅力だと感じた。

もう、経介くんの変態さというか変人さにどハマりした。どこかのシーンでとっさに変態的行為をするのではなく、常にそういったことばかり考えている。普通の日常会話をしていても生理やらナプキンやら股間やらの単語ポンポン出てくる。彼の場合、「○○も可愛いな」の次に続く台詞が「今度ナプキンを盗んで舐めようかな」なのだ。こんなの笑うしかないだろ。

また、彼の計画の立て方もなかなか面白くて、どうやったらナプキンを手に入れられるか、どうやったら相手の家のトイレに入れるか、あれこれ考えながら動く。そして、そのどれもが自身に満ち溢れている。「まあ、俺にミスはないし完璧だがな」そういって本当にスラスラ事をこなしていくから最高だ。二回目の訪問で完璧にトイレの位置を把握する当たり流石である。

そんな存在がギャグみたいに面白い主人公をどうシナリオに絡めていくのか気になりつつ読み進めていたが…驚愕だった。まさかこんな内容の作品だったなんて。しかも三つのうちのどれかではなくて、三つとも衝撃的。とても辛かった。あれほどまでに辛かった理由としては、やはり主人公を好いていたからだろう。

きっと多くのプレイヤーが彼を好きになるだろうし、共感できる考え方、台詞なんかも多かったのではないかと思う。そして、だからこそ彼に入れ込むようになる…と。そうなってしまったら最後、彼と共に地獄を味わうことになるわけだ。

以下ルートごとの感想。



○歌乃√
アイドルになることを夢見る少女。ビジュアルはかなり良いのだが、頭が空っぽなのでどうも好きになる事できなかった。まあ、この作品に出てくる女のほとんどが空っぽなのだが。恐らく、わざとなのだろうと思う。女に魅力がなくて、主人公は魅力の塊。そうやってズブズブと物語に呑まれていくよう仕向けたのかなと...。

だから歌乃がどんなに馬鹿なことを言おうと、ハイハイ勝手にどうぞくらいの感想しか持たなかった。まあバカ女が子供産んでビターエンドかなくらいの軽い気持ちで読み進めていた。認識が甘かった、まさか実木ちゃんにまで手が伸びていくだなんて…。姉と違って実木ちゃんはかなり好きだったのあり、その本性を露わにされた時は心底幻滅した。

ジョーカーの「女はどいつもこいつも屑」という台詞がここにきて実感できた。



○あかり√
これまた騙されやすそうな女の子を用意してきた。その予感が的中したのか、他の二人と比べてもわりと早い段階で処女を喪失していた。男に言い様に弄ばれている女を眺めるのはとても気分が良かったが、我らが大月経介くんが犯人に仕立て上げられているのは誠に遺憾。そして、そんな状態がこれからも続いていくのだと覚悟を決めつつ読んでいた。

このルートは二つ不快な点がある。一つ目はあのクズ男が実は利用されていただけという点。立ち絵の表情といい、主人公を嵌める手口といい、見ているだけでも腹が立つキャラクターだったのにもかかわらず、それを実は悪い奴ではなかったような流れにしてしまうのが好きではなかった。

また、その娘であるところのひかりちゃん。作中でもきっての美少女。境遇も良いし、性格も良い。これは最高のヒロインが来たなと思っていたのに…なんで消えてしまったのだ。しかも消えるだけならまだしも何、処の誰ともわからぬ馬の骨と付き合い始めているから駄目だ。やはり女は屑ばかり。



○桜√
お淑やかで笑顔の可愛い女の子だと思いきや、どっぷり宗教に浸かっている。加えて人の事をすぐ信じてしまうという。これは…と身構えたが案の定、間男の登場だ。こいつが作中でも最悪に下衆な男。無垢な女の子を騙し、中出しをするのが性癖なとんでもない野郎だ。

しかも今回は他のルートと違って間男サイドが改心することもない。妊娠の責任を経介くん押し付けてくる。その時の妙に真剣な顔がまた憎たらしいのなんの。実は演劇部にでも所属していたのではないだろうか。

また、憎い人物としてもう一人、母親がいる。あの毒親の存在が読んでいて苦痛だった。あの「反省してます」で許されると思っているのか…。

ただこのルート、落とし所はかなり好みで素直に凄いなと感心してしまった。そして、三つの物語を読んでタイトルの意味を理解した。

「君の生理用ナプキンを舐めたい」、それは単なる一時的な欲求ではなく、主人公が抱き続けたヒロインへの想いそのものだったわけだ。三つともほぼ同じような内容なのが惜しい点ではあるが、意味を理解すると納得はできる。ここまで徹底した作品を出せるのは同人の強みなのかなと。楽しさや爽快感は微塵もないけれど、やって良かったと思える作品だった。