革命に至るまでに描かれる様々な人間ドラマが心を震わせてくれた。またヒロインごとにルートを用意し、少し踏み込んでいってくれたのも嬉しい。中には踏み外しているものもあったが。
ついにルドラサウム最後の国家・ヘルマン帝国が舞台ということでまあ気分が上がらないわけがなかった。鬼畜王でばっちり地形を覚えていたので、「ここシィル達が捕らえられていた所だ」とか、「レリューコフの娘さんが式上げたところだ」とか懐かしさに浸りつつプレイしていた。
最強の軍事国家とも呼ばれていた国が今はボロボロの状態なのが興味深くて、話を進めていくと有能な人物はまだいたりするから面白い。組織にとって重要なのは何であるか、それをしみじみと感じた。
ゲームシステムはどちらかというと昔寄りのものでⅣに近かったかなと。Ⅳほどではないけれど、かなみちゃんが使いやすかったのが個人的に嬉しかった。かなみちゃん、シリーズだと案外活躍の場が限られているような気がするので…。
何といってもソーサラーが強かった。少人数で大人数を相手にするというゲームの性質上、彼女たちをいかに上手く使うかが重要。魔活を使える場面なんかは優先して彼女たちを再活動させていたものだ。必殺技の使用可能回数を増やすことのできるアイテムを手に入れたら最後、無双状態が整う。
いつもは序盤だけ元気マンな志津香ちゃんも今回は違う、本当に最初から最後まで大活躍だった。白色破壊光線をこんなにも強いと感じたのは今作が初めてだったかも。黒色破壊光線だったらもっと強力だったのかなぁ。打たれ弱いのは相変わらずだけれど、今作の回避率は優秀でわりと避けてくれることが多かったように思える。
また、ミラクル様も育てれば育てるほどに強くなっていく。彼女が生き残っているとだいぶ有利に戦える盤面が数多く見られた。志津香の白色破壊光線とは異なり、こちらは広い範囲攻撃になっているのもまた使い分けができて良い。あの魔法がオリジナルだというのが強者たる証のようでかなり気に入っている。
ソーサラーを駆使して攻略していった結果、過去作と比べると非常にぬるく感じた。条件から外れてしまい失敗することはあっても、戦力的に不足していて失敗するなんてことはなかったのではないかなと。まあ、二周目に難易度を上げたときは少し歯応えが増したが。
条件できつかったのはやはりBAD回収。特定のキャラをわざと死なせてクリアするのがわりと大変。中にはねばり値が高めのキャラなんかもいて、なかなか倒れてくれない。また、そちらに気を取られすぎて本来の勝利条件から外れてしまい失敗なんてことも。その辺のバランスを考えなければいけないわけだ。
てな感じでゲーム面はそこそこくらいだったが、シナリオは本当に良かった。革命ということでただ外から攻めるだけではなく、国を変えようと内から取り戻そうとしている人たちがいるのが自分の中で上手くハマったのかなと。
革命には犠牲がつきものといった感じで、いい人ばかりが命を落としていく。国に対する愛は本物なのに、その国に裏切られるような形で消えていく者たちを見て涙。特に二周目はハンティの心情を考えつつ読んでいたのもあって、おいおい泣いてしまった。
ヘルマンという国の内情だけを見てもかなりよくできていたが、そこで終わらないのがランス。今作でも過去から登場するキャラクターの良いシーンが多々見られた。
ヒロイン勢に関しては後程語るとしてまず触れておきたいのがリック。今回はお忍び参加ということで、いつもの赤の死神らしい格好ではなくだいぶ変態チックな格好で登場。ランスにまで「変態っぽい」と言われているから笑ってしまう。
そして、今作では素顔も見せてくれる。闘将の件といい、リック絡みの話といいⅣの続編感が強かったなぁと。あの童顔で30代だというから驚く。
リックの見せ場としてよかったのはやはり終盤の敵を一人で食い止めるシーンだろう。中盤あたりでクソガキに対して非常になれず、危うく死にかけ周りからも散々な言われようだった彼だが、しっかりと挽回してくれた。このシーンのランスの対応もよくて、二人の信頼関係が垣間見えた。人としては弱いけれど、剣の腕だけは認めている。剣馬鹿のリックからしたらさぞ嬉しかったはずだ。そこからのリックの無双がまた気持ちがいい。
「ここの通行税は高くつくぞ!」
赤の死神と呼ばれるに相応しい圧倒的な強さを見せつけてくれた。鳥肌ものである。
リックはシリーズの男キャラの中でもかなり好きなので良い場面を多く用意してくれた本作には心から感謝している。
さて、ここからはヒロインについてルートごとに語っていく。
◆シーラ
奴隷2号。絵に描いたようなお姫様で弱弱しく見えるけれど、言うときはきちんと言う。時たまランスを上手く誘導していたりもするから驚きだ。鬼畜王ではステッセルに穢されていたが、今作ではきちんとランスが純潔を奪っていたので安心した。そういう意味でも救われたのかなと。
一国の姫という立場でありながら、家事や掃除に慣れ喜びを覚えていく様が何とも素敵。傍から見たら酷い扱いに見えるが、彼女にとってはこれまでない楽しいものだったのだ。ランスを膝枕しながら感謝の言葉を零す場面は非常に印象的で、彼女にとって外の世界を知れたことがどれだけ嬉しかったかが伝わってくる。
エピローグにて大統領の姿が板についてきて、でもルシアンや周りの者に対しての態度は変わらないのが彼女らしくて非常に良かった。リアが妬むのも仕方ないくらい心が綺麗な優しい子だ。そしてランスに対する態度というのも変わっていなかったわけだ。すっかりランスの奴隷となってしまった彼女がいつの日かシィルとお話しできる。そんな展開を密かに期待していたりする。
◆かなみ
ヒロインの中でもずば抜けてデレデレのかなみちゃん。ファイナル忍者の頃を思い出すとだいぶ変わったなぁと。ランスの態度に不満を抱いていてもキスされて、抱かれればすぐに機嫌が良くなる。「可哀想な女」から「安い女」へと見事な進化を遂げた。でもそうやってランスにかまってもらった時のえへへ顔がたまらなく可愛いのだ…。
まあそんなかなみをリアが許すわけもなくて、国同士の戦争にまで発展してしまうわけだが何というか、リアっぽい終わり方を迎えていた。エピローグがかなり好きで、リアのちょっとした優しさが輝いていた。かなみとリアの今後の関係を見守りたい。
◆志津香
ナギに追いかけられる旅がようやく終わった。それも予想外の形で。どうして小さくなってしまったんだと初めはランスと同様、軽いショックに駆られたがまあロリ姿も死ぬほどかわいいので◎。真エピローグで幼児化したままなのは驚いた。
とうとうランスとの関係を掘り下げてきた本作はとにかく本音を隠そうとする志津香ちゃんがとにかくかわいい。そして素晴らしいのがなんだかんだその態度を最後まで突き通してくれた点。これぞ魔想志津香と言わんばかりの締め方だった。10ではついに素直になるのか、それとも変わらないままなのか。どちらでも幸せな気分になれそうだ。
◆チルディ
前作でも感じた通り、チルディちゃんはとってもえっちな女の子だった。自分のペースにもっていこうとして結局、流されてしまう。そこから生み出されるエロスが私の興奮を何倍にも高めてくれた。かなみちゃんと同じくなでなでに弱いのがかわいい。
結構なお気に入りキャラだっただけにBADはかなりきつかった。あんな悪趣味な話を擁してしてくるなんて…。なでなでがきちんと意味を持っているのが余計に辛い。ランスシリーズの中でも6のフェリスに次いで辛いシーンだった。
◆戦姫
戦馬鹿は相変わらず…というか以前にも増して酷くなっていた。負け戦に近ければ近いほど気持ちが高ぶるってお前おかしいよ…。そんな性格を逆手にとって見事、彼女を仲間に引き入れてしまうランスは流石だ。ジークの時もそうだがランスはたまに頭が良くなる。
戦国でちょっとした出番しかもらえなかった彼女がヒロインに。驚きなのが「運命の女」入りを果たした事だ。え、謙信ちゃんは???と謙信ちゃんが好きな私としては複雑な心境だったが。真エピローグは爆笑した。
◆ピグ
のほほんとした不思議ちゃんだが、なかなか壮絶な過去を背負っている。ゴキンゲンとの会話はくるものがあるし、あのくそ博士に対する怒りも。だからこそピグルートにてしっかりと倒してくれたのは嬉しかった。「革命どこいった?」は本当にその通りなのだけれど。彼女の分身能力は敵を囲い足止めする際にかなり使える。加えて発動の際のモーションもおもしろい。
◆ミラクル様
魔法Lv3の最強のソーサラーという要素に加えて終始偉そうな態度、そしてあの美しい容姿。まあ好きになってしまうわなぁ。拗らせ気味で近寄りがたいけれど、実はとってもいい人なのが好印象。また自分から輪に入れないところも可愛くて、お茶会に混ざりたくてずっと外から様子を窺っていたシーンなんかは大好きだ。
強いとか、容姿が美しいとか彼女の魅力は色々あるけれど一番はやはり意志力の強さだと思う。自身にかけた誓約の魔法からもわかるし、日頃の発言からも。
「なんの才能がない者でも、人は人を幸せに出来るし殺すこともできる」
何気ない一言だけれど、才に溢れた彼女から出た台詞だと思うと感慨深い。この台詞を見て彼女をもっと好きになった。崇拝していますミラクル様…。
個別ルートのオチにはポカーンとしてしまったけれど、ミラクル様が楽しそうにしているのならばそれで。
ヒロインごとにルートが用意されているなど、とても美少女ゲームらしさ溢れる作品に仕上がっていた。それでいてゲーム面も正史ルートも面白いというのだから凄い。そして、真エピローグではきっちりハッピーエンドを迎えてくれて…「ただいま」で号泣だ。色々文句を言おうと思っていたのに頭の中が真っ白になってしまうランスが少しかわいい。
次はついにランス10。楽しみすぎて自然と頬が緩んでしまう。