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asteryukariさんの神咒神威神楽 曙之光の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
神咒神威神楽 曙之光
ブランド
light
得点
84
参照数
298

一言コメント

Dies iraeの正当な続編。懐かしさと熱さで満たされた非常に有意義な時間を過ごさせてもらいました。面白いというよりは楽しかったというのが一番の感想でしょうか。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

前作Dies iraeでのマリィ√の続編ということでタイトルこそ全く違いますが、Dies iraeの言わばFDのようなものなのでDies iraeはプレイ必須。というかプレイしてなかったとしたら何が何だかさっぱりわからないと思います。話自体は前作とはキャラも雰囲気もガラッと変わるので最初こそ戸惑いますが、話を進めていくと顔なじみのキャラが出てきたり、既視感のある会話や問答があったり、前作のCGがチラッと映ったりともうDies好きの人なら思わずニヤけてしまうような場面ばかりでした。また、そのうち各々の目的というものが分かって来て、後半は物語としての面白さも生まれてきます。そして勿論戦闘シーンも熱い。特に前作でライバル関係にあった者同士の戦闘シーンが見ててとても心躍りました。
以下気になったキャラごとの感想です。

●覇吐
愛すべき馬鹿。それでいて竜胆や仲間に対しての情は熱く、場を和ませるムードメーカーになることが多く良いキャラしてました。流石は主人公。カウンターが必殺技の主人公って珍しい気がします。持ち前のタフさを活かし、ダメージを溜めに溜めてからの歪み返しはロマンがあってよかったです。始めは竜胆に少し興味を持っただけだったのにまさかあそこまで竜胆のこと想うようになるとは思いませんでしたよ、ベタベタでした。波旬とは宿敵であり、兄妹のようなものでもあり、打ち破った後も外伝では少し気にかけたような台詞を送ったり、外面も内面も優しい良い主人公だったと思います。

●刑士郎
ヴィルヘルムの転生体。ベイ中尉は本当に愛されているなぁという印象を第一に受けるぐらい優遇されていた気がします。まあ男の子を引き寄せる磁石みたいなものなんですよね、くさくてかっこいい。個人的に本作で更に株が上がったキャラの一人で、宿儺に煽られながらも咲耶への想いから過去の薔薇騎士の姿にはならず、人間として戦うことに決めたというのが非常に良かった。どこまでベイ中尉を魅力的にするんだと言わんばかりの采配だったと思います。ベイ中尉ではなく刑士郎ですが。どちらも好きです。

●宗次郎
優しそうな見た目に反していったんスイッチが入るとヤバい人になる。でもあんまり強くないという何とも言えないキャラ。そんな彼が紫織と出会ってからどんどん成長していくのが良かった。自分しか見えなかった、自分のためにしか戦えなかった彼が誰かを想って戦えるようになったというのは大きな成長だと思います。女っぽい見た目の彼と、男っぽい見た目の紫織。考え方も似てましたし、連携も見事でしたし、本作一のカップリングだったかもしれません。

●竜胆
クールな見た目とは裏腹に毎度力強い指示を仲間に出す大将。が、可愛いところもあり、覇吐に迫られたりすると目を丸くして赤面したりと女の子らしさも見られる。物語の後半で自分は死人であり、覇吐によって生かされてることに気付きひどく絶望しますがそこは愛の力で乗り越える。竜胆と覇吐のキスしているCGが一番幸せそうだなとプレイ中ずっと思ってました。

●咲耶
前作ではどっちかというと怖いという印象が強かった彼女は今作で見違えるほど綺麗になっていて驚きました。一二を争う可愛さだったと思います。兄を慕う妹属性も追加されてその可愛さは留まることを知らないといった感じでした。これだけお気に入りだったからこそ、薔薇騎士のCGがチラつくたび、どうか殺さないでと祈ってましたが杞憂に終わりました。咲耶は刑士郎のためなら命を差し出すような覚悟も持っていましたが、最終的に生き延び子まで授かることが出来て本当に嬉しかったと思います。前作での扱いがアレだったのもあって少しうるっときました。

●紫織
始めは剣士である宗次郎と肩を並べて戦うのに拳かよ...と思ったりしていたのですが、大活躍でしたね。太極もしっかり会得していましたし。イマイチ強いかはわからない勝負ばかりでしたが、母禮に対して啖呵を切ったりするシーンは味方側ならではの真っすぐな意見をこれでもかとぶつけており、とても見ごたえがありました。

●龍水
ちんちくりんな可愛い女の子。とても可愛い。小柄で愛らしい見た目からは想像もつかないほど才に溢れており、夜行なんかは高く評価していました。いや、それにしても夜行が彼女の生み出した存在という事実には驚きましたね。自分が生み出した存在に恋していたってどういうことなんだと。一般的に考えるとこれほどほしい能力もないかもしれませんね、羨ましすぎる。

●龍明
エレオノーレの転生体。この人が一番株を上げましたね、良いキャラ過ぎる。特に素晴らしかったのはやはり紅葉との対決でしょう。かつての友であり宿敵でもあるリザと、前作と同じように戦いながらも、別人のように心が成長していました。成長と言っていいのかは些か疑問ではありますが、とにかく良いキャラしてました。前作では愛だの恋だのくだらないなどと口にしながら渇望は一人の男を想っているようなもので、それを本人は認めたくないような様子だったのですが、本作では愛した一人の男のために戦うことを決意したり、疑似ではあるものの龍水の母親として戦ったりと、今まで恥じてきた女性としての部分を受けいれ、それを誇りに戦おうとする姿がとても魅力的でした。ビンタのシーンは前作と立場が対になっていて本当に好きなシーンです。あとは外伝で龍水と再会するシーンも感動的でよかったですね。

●爾子&丁禮
シュライバーの転生体。あれだけいきがってた白騎士様がまさかの犬っころとガキになってたのは笑いましたが、能力は相変わらず協力で、式神という存在でありながら大いに活躍していましたね。 前作では「誰にも触れられたくない」というのが渇望だったのに、今作では「抱きしめてもらえればそれでいいんだ」と言っているのが印象的でした。やはり本心ではいつもそう思ってたのかもしれませんね、切ないです。

●母禮
ベアトリスと螢の転生体。主人格は螢の時の方が多いみたいで、ベアトリスを主人格にしとけばと思う場面が多々ありましたが、螢らしさも見られることができて懐かしさに浸れたので良しとしましょう。登場して早々ベアトリスの力も借りてるにも関わらず、「もう負けない。私は強くなったんだから」という負け犬台詞をかまし、紫織に対して「あなたじゃ私の相手にならない」と言ったり、勝ち誇ったような口調でご高説垂れるのが最高にアホタルちゃんという感じで見ていて非常に面白かったです。それでいて紫織に「男にモテなそう」と言われてつっかかってしまうところとかもうやめてあげてと言いたくなるほどいつものアホタルちゃんで安心しました。そして外伝ではロリホタルちゃんと美しいベアトリス、相変わらず優しそうな戒兄さんの三人で仲良さそうにしてました。ベアトリスが家事出来ないという設定とかありましたね、三人仲良く手を繋ぐCGは中々くるものがありました。ようやく結ばれた幸せの形なんだと思うとですね、涙が出てきますよ。

●宿儺
司狼の転生体。相変わらず人を煽るのが上手なことで。ふざけているようで相手の核心を突く発言をしてることが多いんですよね。新主人公組である覇吐達も心当たりがあるような反応ばかりしてましたし。まあ刑士郎なんかは終始イライラしていましたが。二人の対決も良かったのですが、個人的に去り際や、外伝での立ち回りが良かったですね。あれだけいがみ合っていた司狼とベイ中尉があたかも友人のように会話しているのが微笑ましかったです。

懐かしさに始まり相変わらずかっこいい戦闘シーンや詠唱、さらには前作のBGMを和ロックでアレンジするなど、Dies好きにはたまらない作品でした。この作品を終えて再びDiesをプレイしたくなりました。

⚫夜刀
本心ではマリィのためにずっと戦っていたと思うと溢れ出る涙が止まりません。外伝の黄昏が好きだという発言にはもう全てが詰まってますね。