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asteryukariさんの大悪司の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
大悪司
ブランド
ALICESOFT
得点
84
参照数
614

一言コメント

やればやるほどハマるゲームシステムに加え、話にもしっかりとしたキレがある。本当に楽しい時間を過ごさせてもらった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

アリスソフトから出た地域征服型シミュレーションゲームということで、同ブランド作品「鬼畜王ランス」が大好きな身としてはかなり期待していた。やってみた率直な感想としては、まあかなり面白かった。鬼畜王同様に自由度が高く、何からやっていけばいいのか、またどうしたら物語が進行していくのか等々、はじめはわからないことだらけだが、慣れてしまえば後はもう楽しさが待っている。

また、わからないと言いつつも鬼畜王よりは新設設計であり、「情報」を通じて現在やらなくてはいけないこと、立っているフラグ等々が可視化できるようになっていた。言ってしまえばちょっとしたヒントのようなものだがこれはかなり助かる仕様であり、これがなかったらもっと時間を要していたと思う。お金を稼いできてくれる点といい、本当に島本には感謝するばかりである。

続いて要となる戦闘についてだが、これまたバランス調整が絶妙で、一周目は苦戦するものの二周目からは楽勝…というわけにもいかず、むしろそこから本番。常に飽きさせず手に汗握らせてくれるような、素晴らしい戦いを用意してくれた。一発√にて一発を倒した際なんかは七周目にも関わらず本作一の喜びが生まれた。

加えて「捕獲」というシステムもよくできていて、始めたての頃こそHP調整が上手くいかずうっかり殺してしまうことも多かったが、慣れてくると段々と敵を捕獲し、そして仲間にすることが出来るようになっていく。仲間にする際もすぐ懐柔できるのではなく何回か懐柔orこます必要があったり、特定の条件下でのみ仲間になったりと、キャラクターの性格に合わせる必要がある点が非常に良かった。利害が一致して戦っている感じがたまらない。

といった感じでシステムについては文句なしに良かった。地域征服型のゲームなので好きになるのはわかっていたが、まさか一日に何周しても飽きないとは思わなかった。本当に気付いたら夜で気付いたら朝になっていたから驚きだ。流石はアリスソフトといったところか、毎度毎度素晴らしいゲームを提供してくれる。

そして、作品としてもう一つ大事な要素であるお話についての感想だが、こちらに関しても同様に面白かった。

まず主人公の真っ直ぐな性格が素敵で、その性格を存分に反映した、何が立ち塞がろうと突き進んでいくようなシナリオ作りにも好感を覚えた。変に敵に情けをかけたりせず、自分の意思を尊重する点が非常に良い。

純粋に話の展開も好きで、特にイハビーラ√から殺√への繋ぎが絶妙だったなと。イハビーラ√のラストは中々に衝撃的で、彼女の事を想っていた身としてはわりとショッキングな出来事だった。しかしながらこれまでの彼女の行動、性格を考えると納得もいく。だからこそ話の結末としては大好きなタイプなのだが、やはり心のどこかで彼女が救われる未来を願う自分もいる。

本作にはそんな自分を救ってくれるお話もしっかりと備わっていたわけで、それが殺√。私だけでなく多くのユーザーがあの√の存在に救われたはずだ。というかあの結末を見て殺に対して情が湧かないユーザーなどいるのだろうか。本当にありがたい。

また、上記の理由から一発√に関しても良いなと感じる部分が多く、少し行き過ぎではあるが一発の気持ちもよくわかった。そういう意味でも本作において最も印象に残った人物は殺ちゃんだったなと。まあ13歳の叔母と聞いた時点でかなり印象的だったのだが…。武器がロケットランチャーというのもオタクの好きな所を捉えている。



総じて噂に違わぬ名作であった。ゲーム性に優れているだけでなく、話にも読んでいて心躍る場面が詰まっている。各ヒロインのEND回収及び√攻略を含め七周ほどしたが、それでもまだまだやり続けたいと思うあたり相当ハマってしまったようだ。そして今は他の大シリーズが楽しみで仕方ない。本当に楽しい時間をありがとう。





さて、全体の感想としてはこんなところで、ここからは主にゲーム面で苦戦した部分とよく使用していたキャラについて語っていきたいと思う。

苦戦した部分は二つほどあって、一つはイハビーラ√そのもの。選挙が終わり、PMとの抗争が始まったと思ったらウィミィまで攻めてきて…あれには本当に頭を悩ませた。わりと戦闘ユニットが限られていたのもあって、「もう無理なんじゃないか」と思う場面もあったが何とかエデンまでいくことが出来た。まあ、そのエデンで地獄を見たわけだが...。

地獄を見ることになった場所は赤の建物の三階入り口。そう、Bシリーズが待ち受けている場所だ。Bシリーズがパワーアップする仕様を知らず何度も倒し続けてきた私に前に立ちはだかったのは回避率100の化物たち。まあこちらの攻撃が当たらず、ぼこされる光景を何度も見る羽目になった。最終的には山田愛のスキルとニコチン大悪司で何とか乗り切ったが、本当に苦しい戦いだった...。

二つ目に苦戦したのは一発√。恐らく多くのユーザーが苦戦したはずだ。作中で最強と呼ばれるだけあって一発が本気で強いのだ。ハニージッポがなかったらどうなっていたことか...。加えて一発自身も化物だが周りの敵もそこそこ強いので、そのことも念頭に置いて育成していないと勝利は程遠いかなと。

そして最後にキャラについて、よく使っていたキャラは山本悪司、大杉剛、支倉アエン、山沢麻美、山田愛、長崎旗男あたり。中でも旗男にはお世話になった。序盤から仲間になるキャラクターなので出撃率で見たら悪司の次に多かったのではとすら思う。捕獲要因としてよくやってくれた。あとは性能だけで戦うのも面白くないのでお気に入りのキャラクターとして不動明もよく使用していた。不動明ちゃんが作中で一番かわいいのになぜヒロインではないのか...。



振り返ってみると本当に楽しいゲームだった。またいつの日か忘れた頃に再プレイしたいものだ。