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asteryukariさんのWORLD END ECONOMiCA Episode.2の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
WORLD END ECONOMiCA Episode.2
ブランド
Spicy Tails
得点
80
参照数
93

一言コメント

前作のような駆け引きはあまりなく、キャラクターの心情描写が増えたように感じました。少し雰囲気は変わってしまったけれど、私としてはこういったお話も好きなので、引き続き楽しむことが出来ました。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

前作から四年後の世界ということで流石に主人公も身体が回復していました。しかしあんな生意気なガキが随分と大人になったものですね、まさにお灸をすえられたようです。もうあれ以来、株取引の世界からは足を洗ったようで、同時にどこか冷めたような人間になっていたのが印象的でした。だからこそ、再び世界に挑戦しに行くと決意した時は熱かったですね。

そんな主人公とは違い完全に消息を絶ってしまったハガナちゃん。前作で徐々に好きになっていったお気に入りのキャラクターだけあって悲しかったですよ、次作で恐らく会えるはずなので早く会いたいかぎりです。ハガナがいないことで本作では二人のヒロインを中心に物語が進められていきました。

クリスは前作から出ていて、ハガナに勉強を教えられていた女の子ですね。いわばハガナとは師弟関係にあるわけで、本作では二代目クオンツとして主人公の助けをしていました。ただ、あくまで二代目、主人公はどうしてもハガナの事を思い出してしまいますし、そのたびにクリスは腑に落ちない表情をしていましたね。

単なるパートナーとしてではなく、彼女は主人公に明確な恋心も抱いていました。だからこそ尊敬している、好きな相手に頼ってもらえないことが寂しくて、悲しい。その感情が抑えきれずあふれ出したのが終盤のシーン。自分の失恋を株に例えるような彼女が切なかったです。

エレノアは本作初登場の気品のあるお嬢様。に見えて非常に重いものを背負ってる、頑張り屋さんな女の子です。そして彼女の目的はあまりにも大きく、途方もない夢。故に主人公を刺激させるには絶好のモノでした。まあエレノアちゃんが可愛いんですよ、素が真っ黒のところとか非常に私好みのヒロインでした。見た目似合わずハンバーガーを満面の笑みで頬張るシーンなんてもう可愛くて仕方なかったですし、かと思えば車の中での「今日はアバロンの悪口で盛り上がりましょう?」なんて言い出す。CGの不気味さも相俟って思わず頬が緩んでしまいましたね、最高だなこの娘はと。

あんなにも頑張っているのに叩き落されていく一方な彼女を見るのはかなり辛かったですし、あんなにも人の前での立ち振る舞いを気にしていた彼女が、自暴自棄になり主人公に当たる場面なんかは特にしんどかったですね。この先どうなるかはわかりませんが、ハガナという存在がいる以上、主人公と結ばれることはないでしょう...。

本作は駆け引きや心理戦といったものはあまり見られず、人の感情についての描写が多く見られました。そのため、ヒロインにあまり関心がなかったり、気に入らなかったりすると楽しめないかなと思います。まあ、好きになっても二人のヒロインの想いが成就することはなさそうなのであれなのですが...。ヒロインを二人用意しておきながら、見せるのは二人の失恋、こういうのほんと好きです。

また、ヒロインを好きになりにくかった理由の一つとして、掘り下げが少々甘かったかなとも思いましたね。あとは新キャラであるル・ゴッフとマルコがぽっと出で終わってしまったのも寂しいですかね、レナはそれなりに活躍の場があったんですけど。

次作は最終作ということで、いなくなってしまったあいつも、宿敵ともいえるあいつも、そしてハルは最後に何思い、どんな結末を迎えるのか、全てが楽しみですね。