前作、前々作が微妙だっただけに、やや警戒気味だったが...シンプルに面白い物語を用意してきてくれた。素直に嬉しいし、やっぱりメモオフは面白い。そして、姫ちゃん先生はとてつもなく可愛い。
学園モノっぽい雰囲気を漂わせつつ、だんだんとミステリーチックなお話になっていく。ふと、とぎれたフィルムを思い出す。まあ、とぎれたフィルムだけでなく物語に何かしらの影があるのがメモオフなのだが、今回はそれをより強く出してきたなと。とぎれたフィルムみたいな、なんちゃってミステリーで終わっていなかったのが凄く良かった。
メイン二人を攻略している際に主人公の正体が明らかになるのだが、それを予感させる所作が序盤に描かれている点が非常に好み。初めて主人公に出会った時に「大輔」と呼んでしまう霞だったり、にこやかな表情を浮かべつつも監視の目は緩めなかったちなつだったり。序盤に感じた違和感が全てそこに繋がっていく感覚は、非常に気分が良かった。
にしてもあんな天使みたいなちなつちゃんがね…彼女の豹変ぶりにはただただ驚いた。逆に霞ちゃんはぐんっと伸びた。こんな気持ちを秘めて彼の家に住み込み、彼と共に生活していたのだと思うともう胸がぎゅーっと締まる。本音を露わにしてからの彼女はただの恋する乙女といった感じで、大輔には何でもしてあげたいと嬉しそう話彼女を見て顔が崩れないわけがなかった。なんだこの娘、可愛すぎるだろう。
やはりパッケージにもなっているだけあって、この二人は物語が進めば進むほどキャラクターとしての完成度がグングンと上がっていった。しかしながら女神たる彼女には届かなかった。
私が女神と崇める女性、それは星月 織姫さん。そう、我らが姫ちゃん先生の事である。
まあメインの二人に力を入れられているのだろうなと考えながら初めに攻略したヒロインだったわけだが、断トツで好きなヒロインになってしまった。ちなみに攻略時間も断トツでかかった。それもそのはずで、彼女には五つものENDが用意されているから。
BAD ENDというのモノは、見た時こそ「うっ...」と思うが後は引かないパターンが多い。しかしながら本作は後に残り続ける強烈な一撃を私に浴びせてきた。それ織姫浮気END。あの優しくて健気だった彼女があんな表情で、強い拒絶の言葉を口にする。「うわぁ…きついなぁ…」と一瞬画面から目を背けてしまった。歴代メモオフシリーズの中でも一、二を争うほど苦しかった結末。
だが、これを見たからこそ、HAPPY ENDの価値が上がるというものだ。彼女が最後に魅せてくれた笑顔、あれを見てこの作品をプレイして良かったなと喜びが私を包み込んだ。NORMAL ENDなんかも少し寂しいけれど、現実味があるというか、こういう結末もありかなと思う。
こんな感じで姫ちゃん及び姫ちゃんシナリオにぞっこんだったので、一番はやはり彼女かなと。メインの二人のシナリオも過去作と比べると格段に面白かったのだが。
5,6と落ちていく一方だったメモオフがまた盛り返してきた。本当にこのシリーズは振れ幅が大きくて面白い。次は最終作である「Innocent Fille」。十分な期待を抱いて臨みたいと思う。最後に一発でドカンと名作を叩き出してくれることを心から願っている。