随所に不満を感じる作品ではあったが、ヒロイン達との会話に目を向けるとそれなりに楽しい時間もあったなぁと。メインのみならずサブにも素敵な娘がいました。
天下のアリスソフトということで、またゲーム性のある止め時のわからなくなるような作品なのかなと思っていたが、だいぶ違っていた。勿論ゲーム性はあるし、戦闘もあることにはあるのだが過去作ほどの数はない。かなりノベルゲーム寄りの作品だった。
物語はちょっとスケベな王子とドラゴンの少女との冒険譚といったところで、冒険を通じて様々な女の子に出会い、そして仲間にしていくというシンプルなもの。
特徴的なのが主人公「エスト」の性格であり、本当に思考の九割は「エロ」で満たされているのではないかと思うくらいには性欲に忠実な主人公だった。スケベ根性に関してだけ言えば同ブランド作品の大英雄ランス様に負けていないと思う。他のあらゆる面は彼に劣っているが...。
また、ドラゴンの少女ことクゥは人外キャラクターらしく非常にユニークな性格をしていて、そんな変わり者同士の二人の相性はかなり良かった。本作では様々な女の子が登場するわけだが、カップリングとしてはやはりこの二人が一番良かったかなと。シーンおいてもクゥだけは攻め側に回ることが多く、そういった意味でも他のヒロインとはだいぶ違った。
五章あたりまでは町を移動しつつ、ヒロインの好感度を上げつつといった感じでヒロインとの掛け合いがメイン、言ってしまえばえっちシーンが目を引く作品となっていたが、六章に差し掛かるとだいぶ面白くなる。慰み者になっているメリーを助けることでアルマの企みもわかり、また自分たちがやるべきことにも気付く。メリーが処女であったという点はアリスらしいダークさが出ていて良かったかなと。
アルマは結構好きなキャラクターで、単純に容姿が好みだったのもあるが、それに加えて姉という属性と狂気、それから剣術の扱いに長けているという設定がたまらなかった。アンジェラがあれほどまでに彼女に忠実なのは、立場が上なだけではなく実力もあるから。そんな光景を終盤に何度も見せてくれたが嬉しい。
残念だったのはヴァンパイア及び神様の設定であり、素のアルマを愛していた私としては心を打ち砕かれたような気分だった。あんなことになるくらいならば小さくなったエストに「おばちゃん」呼びされて絶命するENDの方がまだ好きだったとすら思う。特に神様に関しては完全に蛇足だったと言っていい。
てな感じでメインストーリーはあまり楽しめなかったのだが、ヒロイン達との面白可笑しい会話が豊富に用意されていた点は嬉しく、始めはそんなに好きでもなかったヒロイン達に対してもかなり情が沸いた。
また、攻略はできないものの、シャルやトロといったサブにあたるヒロイン達も大変魅力的で、特にシャルに関しては作中で一番好きなキャラクターだった。主人公と初めて同士だったというエピソードを持っていながらサブという立ち位置は本当におかしい...。二人で結婚して幸せな家庭を築いて終わりでは駄目だったのだろうか、そんなFD待っています。
思い返してみるとやはりヒロインとの会話が魅力の作品であったなと思う。不満を感じる場面も多かったが、そこに目を向けてみるとまあ悪くはなかったんじゃないかなと。癒しと笑いの詰まった作品だった。