主人公をめぐる五人の乙女たちのフィアンセ争奪戦。本当にかわいい娘ばかりが揃っているから困る。しかしながら私の心を鷲掴みにしてきたのは……お母様でした。
真面目で皆からの信頼も厚く、運動神経も抜群。「お嫁さんにしたい男子ナンバー1」との呼び声が高い主人公。そんな主人公の前に次から次へと許嫁候補の女の子が登場してくるから楽しい。貴族の女の子から幼馴染、後輩の女の子とタイプも分かれているのが嬉しい。
初見で特に目を引いたのはエーリカちゃんだ。自信満々なちんちくりんの赤紙ツインテール美少女。最高に好みの系統だ。実際ヒロイン勢の中では一番好きだったし、許嫁にするなら彼女だなと思う。ただ、作中で最も好きなキャラとは言えない。なぜならその座には巴さんがついているからだ。
主人公、征斗の母親である志藤 巴さん。この人の可愛らしさといったら…。彼女にとってこの世で最も大切なもの、それは息子であり、息子を失うくらいなら彼女が大事に育ててきたお店「カフェ・ソレイユ」を手放しても良いとすら言ってのける。それくらい息子のことを溺愛している。
だから息子が他の女の子にデレデレしているのを見るのがすごく嫌。「ママより、あの子の方が好きなんだー!」と嫉妬しまくる。勿論、結婚なんて大反対。その時の表情でもう可愛いのに、そこに佐本二厘さんの愛らしい声が加わるからもう大変だ。巴さんの出番が来るたびに喜びを覚えた。
次回予告の担当だったり、√によっては密接に物語に絡んできたりするなど、サブの立場にしてはどこか優遇されているように感じた。また、あれだけ息子の結婚を嫌がっていたのにいざ√に入るとヒロインと仲良くしているのが素敵だ。特にエーリカちゃんとの絡みは最高だった。
「ママね、前から女の子がほしかったの♪」そう言ってエーリカちゃんをまるで娘の様に可愛がる姿はとても良かった。一緒に食卓を囲み、編み物を教えたりもする。
初めはただ親切な人くらいの認識をしていたエーリカちゃんも、愛情に触れ、次第に甘えるようにもなっていく。初めて母親の温もりを知ったのだから余計、気に入ったのだろう。
「学校に行けばヒナがおって、うちへ帰ればともえがおって」気付けば親友であるヒナと肩を並べるくらい大切な存在になっていた。ヒナ√では自分の経験も踏まえて息子を後押しする母親らしい姿も見られる。
そんな女神のような存在だから、やはりどうしても目がいってしまう。巴さんとヒロインの関係はどうなっていくのか、そればかりを気にしていたまである。私がこんなに夢中になる母親キャラは珍しくて、自分でも驚いた。のほほんとしていて実は芯のある生き方をしている、そういったところも惚れる要素になっていたのかもしれない。本当に魅力的なお母様であった。征斗くんが羨ましい。