話こそまあまあといったところだが、会話の節々に挟んでくるギャグ要素は心地よかった。そして主人公の設定も実に私好みで、登場するヒロインも可愛いときたらもう十分。
最初からヒロイン達とは顔見知りのため、すでに関係は構築済み。中に序盤から惚れている仕草を見せる女の子もいたり。だから読んでいて先よりも過去のことが気になってくる。そしてその過去のエピソードはというと…非常に良い。どの話も主人公と知り合うきっかけ、あるいは親しくなっていく関係が素敵で、そのヒロインが主人公を意識するようになったのが良く伝わってくる。
そのため、本当に距離を縮めるきっかけさえあれば恋人関係が成立するような、そんなストーリーの数々が用意されていた。でも本作の見所はそこだけでなく、日常のギャグの入り混じった会話の数々なんかも魅力的だったかなと思う。物凄く面白いとまではいかないが、随所でクスリとくるネタを入れてくるのが良かった。序盤の不良Aのくだりとか地味に好き。
以下√ごとの感想。
○胤√
毎日迎えに来るあたり、最初からずっと好感度マックスな彼女だがそれもそのはず。だってずっとずっと好きだった人と過ごしているんだもの…。
彼女の過去エピソードは作中でもかなり好きなもので、彼女が主人公に惚れた理由も十分にわかる。しかしまあ主人公がかっこいい。胤に友達を作るきっかけを与えてくれるなど人としてのかっこよさも勿論だが、単純に実はめちゃめちゃ強いという設定が良い。
そしてそんな最強のヤンキーだった彼が必死に努力して品行方正な生徒会長にまで上り詰めたのかと思うと感心してしまう。読みながらあの演説を聞いた生徒たちの反応とまるっきり同じ反応をしていた。
胤の可愛さというよりは主人公のかっこよさがわかる話だったかなと思う。
○紡√
小さくて面倒見のいいメイドさん。はい、大好きなやつ。
彼女の√は別段、心が動く瞬間こそなかったが、始めから終わりまでたっぷりと紡ちゃんの可愛さを供給してくれた。普段の真面目な彼女も良いが、やはりムキになっている時の彼女だ。実に一番愛らしい。
過去のエピソードは学生時代の、屋上で佇むばかりだった頃の自分と比べるシーンがとても好きだ。
「同じ屋根の上だけど…全然違う」
ギャグシーンのために用意されていたようなあのシーンもこれを見てから思い返すと、とっても温かい。
喧嘩の内容はまあ笑っちゃうほどしょうもないことではあったが、初々しいカップルだからこそというべきか、意外と嫌いじゃなかったりする。メイドを卒業し、妻として寄り添っていくことになった彼女のあの笑顔を見たら、ああ、なんだかんだ良かったのかなという気持ちにさせられた。
○詠歌√
何かにつけて変態、変態といってくる妹。でも実はお兄ちゃんのことがだーいすき。そんな典型的なツンデレ妹ちゃんの彼女の√はというと…妹が変態過ぎて困る。何回オナニーするんだよお前は!と読みながら笑ってしまうこともしばしば。かと言って我慢するとその分、反動が来る。兄を断つために兄に関係する1テラの写真を消去するシーンは涙ものだ。まあ、目から出ているのは血だったわけだが。
さらっと親のヤバめな事情が語られるが、結局は何の障害もなく二人仲良くゴールインという感じでスッと終わった…と思ったら最後にもう一発かましてきて、最後の最後までぶれないなと、笑みを浮かべて終わることができた。
○涼√
主人公と同じで実はかなりの実力を持った武闘娘。ヒロインの中で一番落ち着いていたかなと。でも主人公に対しての当たりは強い。そしてそれは幼少期の頃から変わらなかったわけだ。
この√でも主人公の生い立ちがわかる。胤√ではかっこいいばかりの彼だったが、名家の人間として売られた喧嘩は買ったり、逆に喧嘩をふっかけたりとやんちゃな子供だったよう。見ていられないけど、放ってもいられない。そうやって二人は仲良くなっていたのだなと思うと、もう少し過去の話が見たかったなぁと。
メインの話は正直いまいちな出来だったが、実はドМな涼ちゃんを見ることができたのは大きな収穫だ。性奴隷を志願してしまう彼女はとても愛らしく、非常にえっちだった。
好みの主人公が見られて、自分の好きな属性のヒロインがいる。話としてはそこそこといったところだが、満足感は十分だ。私にもえっちな写メ届かないかなぁ…。