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asteryukariさんの初恋サクラメントの長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
初恋サクラメント
ブランド
Purple software
得点
81
参照数
282

一言コメント

個別√は不満だらけでしたが、ヒカリ√からヒカリグランドをやり終えた今は満足です。ここまで最後に評価がグッと上がった作品は久しぶりです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

探偵ごっこの共通√から個別√に派生し、残すところヒカリ√になった時点では正直言って面白くはなかったです。特に岬√と星見√に関してはキャラは好きなのにシナリオが不満だらけだったので残念な気持ちでいっぱいでした。しかしヒカリ√で話の雰囲気がガラッと変わり、ヒカリグランドで二回目のOPが流れ出してから先が気になってしょうがなかった。なのでこの作品を評価しているのは、ほぼほぼヒカリグランドについてになります。
以下ルートごとの感想。

●共通√
大空部は最初ヒカリが言うには「学園の生徒が、上を向いて歩けるように」、「いつかその自由な空に向かって羽ばたけるように」、その人たちの手助けになれるように、悩み相談みたいなことをしたいとのことだったのですが、結構壮大なことになり、風邪薬から覚醒剤を作る???な事件に関わったりしていました。それに加え、始めた頃は岬に一目ぼれしたのですが、思った以上に合わなく共通√はキツいという気持ちの方が強かったです。選択肢が探偵ごっこ紛いなのもまどろっこしかった。

●いろは√
二人で弟の死を乗り越えるのかと思いきや、最後まで乗り越えずに粘っていきましたね。別にこれが悪いというわけではないのですが、恋人らしいかといえばそうではないんですよね。付き合ってる主人公がお人よし過ぎる。恋人を想う気持ちの強さからなのでしょうが。

●岬√
この√で一番言いたいのは兄離れ兄離れ上から偉そうに垂れてる樹自身も妹離れできてないんですよね、どんだけ付きまとってくるんだよと思いました。ようやく岬が兄のためではなく自分のために決断し、行動できるようになったのは良かったのですが、「強くなったな岬」とか言わないでくれよ、普通に笑ってしまった。

●星見√
物静かで優しく恥ずかしがり屋さん。超絶可愛いですね、夏野こおりさんの声も相まって作中で一番好きなキャラでした。傘で戦い始めるのも許せる可愛さ。(部屋の中で傘をさすのはやめたほうがいいですが) が、それ故にこの√は怒りに満ちていました。摩子〇ね。お前みたいなクソ女がこんなにも純粋で心優しい星見ちゃんを苦しめていいわけないだろ。「摩子さんと...お友達...」、「うれしい...」、「応援しないと...」。もう、初めてお友達が出来て喜びのあまり、お友達の言うことならなんでも従ってしまう過去の自分を見ているようで辛かったです。しかも摩子は星見ちゃんの性格、傷つくであろうことを理解した上でやるとかやり方が汚すぎる。自分の恋に他人を巻き込むなクソ女。主人公はそんなクソ女に対して本当にそうだろうかと考えてましたが甘すぎる。山下との会話を見ればわかります。最初に煽って自分に興味を引かせ、その上で後日改めて話をしようと約束をこじつける。こんな計算された会話をするような女が良い奴なわけないんですよね、やはり「星見さんが傷付こうが、あたしの恋が叶うなら、それでよかったのよ」というのは本心だったに違いありません。
また、星見ちゃんの父親が主人公と星見ちゃんに課したものも正直、自己満足にしか見えませんでした。二人がこの先一緒に乗り越えていけるか試すという意味が込められているらしいですが意味わからないですし、また星見ちゃんを苦しませるのかよ...と思ってました。
この作品の中で一番好きなキャラは星見ちゃんでしたが、同時に一番嫌いな話は星見√でした。

●ヒカリ√+ヒカリグランド
ヒカリが雨を嫌いな理由や、姫の紙飛行機へのこだわりの謎が解け、二回目のOPに入った時は、青空の約束の歌詞を聴きながら、これから展開されていくであろう物語がわかってきてワクワクしました。主人公のためなら自分の命すらも捧げようとするヒカリの姿を見て一気に心惹かれました。そして一度はそう覚悟したのに、この人の側にいたい、もう少しだけ幸せに浸っていたいという彼女の気持ちはとても人間らしく、恋というもの尊さが伝わってきました。また、ヒカリだけでなく、姫の主人公に対しての罪の意識も痛いほど伝わって来て、姫光空という女の子が大好きになりました。結末はご都合主義と取られてしまうこともあるとは思いますが、私は二人が幸せになってほしいなと心の底から思いました。

ヒカリグランド以外はほとんど愚痴みたいになってしまいましたが、ヒカリグランドのヒカリの主人公を想う気持ち、ひたむきさは本当に好きです。また、こうして感想を打ちながらも聴いているのですが、青空の約束という曲が大好きになりました。曲を聴くたびに物語を思い出しますし、この曲はヒカリのため、いや、ヒカリと主人公の二人のための曲だと感じます。