過去作と交差させることがプラスに作用していたかは微妙なところではあるが、懐かしの面子に会えるのはやはり嬉しかった。物語の軸を決め、それに沿って進行させていればもっと良い作品に仕上がっていたと思う。
ロボ三部作最後の作品という事でどういった物語が待っているのか、「はじめから」をクリックする瞬間すらも笑みが零れるほどに期待していた。
クリアした感想として期待していた少し期待外れだったなと。というのも過去作のキャラクター達が出てくるのは良いが、それにより物語の方向性が変わり、なんだかちぐはぐになってしまっていたからだ。クロスオーバーと言えば聞こえはいいが、本作に関してはそれが悪いように作用してしまっていたとすら感じる。ただ、良い部分も勿論存在したので、それも含めて感想を語っていく。
まず導入に関しては今までのシリーズで一番自然且つ好みだった。平和な田舎町で暮らす主人公の前に突如巨大ロボットが現れ、それをきっかけに様々な戦いに巻き込まれていく。実に王道且つ心躍る展開である。違う世界へ旅立ち、慣れない環境で戸惑いながらも自分の成すべく事を探す主人公も好印象。
本作の主人公は言ってしまえば熱血馬鹿なところはあるものの、だからこそ実に真っ直ぐな性格だと言えるし、この手のジャンルの作品にはもってこいなタイプのキャラクターだ。ヒロインが絡むと途端にダメな男に成り下がる点が少し痛いが、そこはご愛敬。少なくともこれまでのシリーズの主人公の中だと良いなと思える部分が多かった。
ヒロイン陣営も個性的(特に身体的特徴)な面々が揃っているので、誰かしらはハマるかなと。パッと見た時はジゼルが良いなと感じたが、物語が進行するにつれてゲルダも良いヒロインになっていった。振り返ってみるとこの二人に関してはキャラだけでなく、しっかりと良い物語も用意されていて、それがヒロインの魅力を更に引き立てていたなと思う。
ジゼル編は王道ロボファンタジーといった感じで、ジゼルの女の子らしさを描きつつ、主人公の男らしさを見せるという中々に熱い作りになっていた。また、周辺にいる人物も良いキャラばかりで、特にアルなんかは素晴らしき友情キャラクターであった。終盤にしっかりとした見せ場があるのも評価したい。
ゲルダ編はジゼル編との繋がりも濃く、非常に先が気になる作りをしていたし、読み進めれば読み進めるほどにゲルダという女の子の事を愛おしく思うようになっていく。
「言ったでしょ、あたしはおまえの力になる為にここにいるの......この世界を守るのは、あたしの使命だから」
自身の気持ちよりも好きな人の役に立つことを選び続ける彼女は中々に魅力的で、そんな状況であってもその意志が変わらない点も実に好感が持てる。気付けば一番好きなキャラクターになっていた。
といった感じで前半部分に当たる二つのシナリオはわりと良かったのではないかと思う。だからこそ、その路線で最後までいってほしかったわけだが、アネット編あたりから少し雰囲気が変わり始めてしまった。
麻奈編、ミッシングリンク及びファイナルに関しては核となるストーリーこそ好みから外れてはいたものの、過去作のキャラクター達が姿を見せ始める辺りはまあ胸が熱くなった。特に杏子と空に関しては意識していなかったのもあって普通に驚いたし、驚くと同時に喜びも湧き上がってきた。相変わらず恭介ラブなひかりちゃんが本当に愛らしい。
そして忘れてはいけないのがみんな大好きリョウト・ジグムント。前作でも目まぐるしい活躍を見せてくれた彼だが、今作でもそれは変わらず様々な時空からやってきた文字通りバラバラなメンバーたちをまとめる司令官として、その手腕を振るっていた。ジオグラマトンでレイプ魔として暗躍してた男とはとても思えない。
締め方についてはシリーズを締めくくるに相応しいものであったし、作品は幕を下ろしても彼らの歩みは止まらないことを予感させた。なので読後感的にはそこそこ良かったのかなと思う。少し不満も漏らしてしまったが、なんだかんだ楽しいシリーズだったなと今は感じる。お疲れさまでした。