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asteryukariさんのD.C.II Fall in Love ~ダ・カーポII~ フォーリンラブの長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
D.C.II Fall in Love ~ダ・カーポII~ フォーリンラブ
ブランド
CIRCUS
得点
73
参照数
111

一言コメント

後日談及びアナザーストーリーの詰め合わせであり、Spring Celebrationのような染み入る演劇は用意されていないものの、アルティメットバトルに関しては中々楽しませてくれたかなと。明るく朗らかな雰囲気がとても心地よかった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

前にプレイした同じD.C.Ⅱのファンディスク「To You」が非常に好みの内容だったのもあり、それと比較した時の落差にやや戸惑いを感じたりもしたが、数撃ちゃ当たるとでも言うべきか、一つ一つ読み進めていくとちゃんと面白いお話も備わっていて、読後感も悪くはなかった。


まずはあふた~すと~り~ずに関して、大方の予想通りお話というよりかはシーンに力を入れたお話ばかりが揃っていたが、茜編である「ちょっとだけ、おもいで」についてはそれなりに感じ入る部分もあり、楽しく読むことができたと思う。

楽しめた理由としては、やはり前作のTo Youの存在が大きかったのかなと。本編を読んでいる頃からあの三人の関係性に対して良い印象を抱いていたのだが、To Youのに収録されている「雪月花」を読んでからは一層彼女達の事を意識し始めた。個々の性格が全く違うのにもかかわらず馬が合う。それがどんなに素敵なことなのか。彼女達のやりとりを眺めるだけで幸せになれた。

また、期待していたまひるアフター(ちいさな夏の大きな想い)に関してもまあまあ良かったかなと。To Youのラストが見事に現実になったというか、本当にふらっと現れるまひるちゃんを見て苦笑してしまった。

あらすじを読んでいる段階ではあまり好みの展開ではないかなと思っていたが、いざまひるちゃんと対面するとやっぱり嬉しい。個人的に義之とミキだけには見えるとかだったらもっと感動的なものになっていたかなと。実質、ミキENDであるあの結末に関しても、思う所はあるがそこからシーンに派生したりはしなかったので、そこは非常に良かったなと思う。


次に演劇(公演)に関して、全体的には設定のわりに話が薄っぺらく、「そんな結末なのか...」と失望してしまう事もあったが、ギャグに全振りなエリカのお話には中々楽しませてもらった。あの高貴で頑固な彼女が恥ずかしい衣装を着て自身を「怪盗プリンセス」と称する。その事実だけでもう面白い。オチもこの話らしいというか、最後までネタで突き通す感じが好きだ。本編といい、この話といい、案外エリカははっちゃけている時の方が合っている。


そして、アルティメットバトルに関して、まあぶっちゃけるとそんなに期待していなかったのだが、本作で一番楽しませてもらった。中でも「恋のアルティメットバトル」については、なぜ今まで隠していたのだと言わんばかりの面白さで、あっという間に読み切ってしまった。

あれだけ魅力的なヒロインが揃っているのだから、争奪戦なんて始めたら面白くないわけがなくて、テーマに合わせて個性を出してくる彼女達は見ていて面白かった。特に良かったのが委員長こと麻耶で、まさかあの衣装を再び起用してくるだなんて思ってもいなかったので吹き出してしまった。

料理対決も印象的で、ダメそうに見えたエリカが案外おいしそうな料理を作っていたり、逆に由夢は案の定の出来だったりと大いに楽しませてくれた。にしてもお寿司以外にも家庭的な料理を作れるとは...面白いし、料理もできるしで個人的には委員長の優勝かなと。


期待よりは落ち着いた内容に仕上がっていたものの、楽しんでプレイしていたのは事実。特に恋のアルティメットバトルのような内容は今後のシリーズでもガンガンやってもらいたいものだ。