まーよくできた凌辱ゲーで、そこそこ抜ける優等生で結構なことですが、それだけでは性癖が合致しないんで記憶にも残らないし、HDDにも残したいと思わない。抜きつつ進めてこんなもんかなー、と思いきや。
このゲームの本領は、メインヒロインの神目楓ちゃんではないんですね。
エンドロールでしかクレジットがないのですが、もうお一人、名前は忘れちゃったけどこの業界自体の新人さんだというライターさんが居られまして、
ボクが感動した小笠原 茅花、奄美 花梨ルート(面倒なんで以後花梨ルートと省略)の作者さんはその方ということで。
人間は誰しも幸せになりたいと日々願っているもので、これが、辛い体験に遭遇すればするほど、「自分のせいじゃない」不可抗力の不幸に出会えば出会うほど、
「こうだったらよかったのに」という甘い妄想を浮かべてしまうもので、そうした妄想の頻度が高い奴ほど人間として終わってることを証明しているようなものなのですが、
この、「こうだったらよかったのに」とは自分だけではなく、他者への同情を催したときにも喚起される感情であります。
要するに花梨ルートとはそういう物語です。
傷つけたいと思っていなかった人間を、状況が許さなかったために自らの手で傷つけてしまった。失点は、一度犯せば大抵は取り戻しの利かないものです。
そしてまた、拒絶しようとは思っていなかった人を、心の許容が限界を迎えたことで、最大限に否定してしまった。
あのとき、あの場所で、歩み寄れていたら。
そうしたすれ違いの、複雑ではないものの重みにおいて、ある極点に到達したシナリオだとボクは考えます。
ENDにも救いはない。一本道ゲームですので、長々とした行程の先にプレイヤーは、破滅よりもっとひどいものを目撃せざるを得ません。
そんな不幸でしか物語を描けなかったことについて、不満を抱いたユーザーも大勢居られるでしょうが、ボクにはこの物語の終結はこれ以外でどんな決着も有り得なかったと思う。
何もかもが遅すぎて、自我を認識し、誰かを欲しいと思う、こんな簡単なことにすら、総てが手遅れになってからようやく気づいた、悲しい少女の顛末は、いかなる形であれ我々の心に波紋を投げ掛けるでしょう。
この花梨ルートを考慮に入れたうえでの90点です。
抜きゲーとしてだけ見ると、ボクの性癖とは微妙にズレるんで60点くらい。
あー、でも
「強制的に連続フェラチオさせられてるうち、できあがっちゃって下にも欲しくなってしまった」というエロシーンや
「寸止めされて、理性が狂わされて、『こんな自分、自分じゃない』と言い訳しながらセックスをおねだりする」シーン、
非常に趣があってスゲエ使えたんですが、こういうシーンもっと入れりゃいいのにね。まあ単調なのが蒼色節ってことで。