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askalonさんのるいは智を呼ぶファンディスク -明日のむこうに視える風-の長文感想

ユーザー
askalon
ゲーム
るいは智を呼ぶファンディスク -明日のむこうに視える風-
ブランド
暁WORKS
得点
99
参照数
535

一言コメント

なくしていた感想テキストファイルを発掘したので、今更更新

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

99点

期待以上でした。
本編との調和が取れた素晴らしい出来だったと思います。
本編をやって面白かった人なら買って後悔はしないと思います。
智の可愛さ目当てで購入しましたが、意外にもしっかり作りこまれていて満足しました。
もちろんメッセージとしては、本編の繰り返しのようなものになっていて目新しさはないんですが、新解釈というか、また違った角度からのアプローチです。
正直本編のメッセージを十全に捉えたとは言いがたかったですが、このFDで理解が深まりさらにこの呪われた世界が愛おしくなりました。
本来の目的の智の可愛さも堪能できたことだし言う事ありません。
もう完全に信者になってしまったようです。
テキストのおなじみの小気味良い、持って回った感じで癖になります。
あのキャラ同士の掛け合いのテンポの良さは健在です。
パロディチョイスもマニアックすぎて見つけるのが大変ですw



智の外面的な可愛さは言うまでもありませんが、本編で感じていた智の内面的可愛さは二種類あるんですよ。
一つはもちろん信条、理念、姿勢つまり、前向きな卑怯者ってところです。
もうひとつはセリフ…というかテキストの可愛さ。
ボイスが入ると失われる魅力です。
なんて言うんでしょう…想像の余地というか、姿や声を知らないと自分の想像がそれを補完する作用です。
特に智はオトコノコってバレないような声ってどんな声だろうか…恵みたいに中性的なのか…とか妄想するわけですよね。
そんなふうにテキストとして、目で見るセリフの魅力ってのがあると思うんです。
(はーと)とか萌えますけど、ボイスでは伝わりづらいですよね…
FDではその点ではいい意味で期待を裏切ってくれました。
確かにすこしばかりテキストとしてのセリフの魅力というものは失われていましたが、
それを上回る声優さんの熱演で、智の魅力が増している部分も数多くありました。
まあ、あくまで個人感想の垂れ流しですので異論のある方もおられるかと思いますが、基本ニヤニヤしながら読んでいればモーマンタイかと…


個人的には本編はすでに完成されたパズルだと思っているので、余計に手を加えることは作品世界の質を落とすだけだと若干危惧していましたが、
パズルに新しいピースを加えることなく、既存のピースをさらに細かくすることでうまく本編との兼ね合いが取れています。


本編を終えてからに年間、恵が助かる方法を妄想していましたが、いくら考えても思いつきませんでした。
一つ結論のようなものを得たとすれば、ラトゥイリの星に恵の運命が記されているように、恵の苦しみが呪いと才能で規定されている以上、その範疇で考えている限り
正解は見つからないということでした。それは例えば医学の発達であったり臓器移植であったりと、呪いの外側の仕組みを利用しなければならないということでした。
さて…このような自分なりの考えで恵√に挑みかかりましたが…

このFDをやってしまってからは、本編の茜子√をTRUE√と呼ぶことに抵抗ができてしまいます。
正しい道や最善の道などなく、すべての選択に輝きがあり、祝福されているのであれば、
たとえ選択の結末が絶望や苦しみであったとしてもその選択は間違ってなかったのだと思えます。
流星群や夜空の星のあたりの話は目頭が熱くなりました。



伊代…名刺用意したらいいのに…「こういう者です」で自己紹介済むと思うんだが…