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aoziruさんの沙耶の唄の長文感想

ユーザー
aoziru
ゲーム
沙耶の唄
ブランド
NitroPlus
得点
100
参照数
1356

一言コメント

二人にとっては、たぶん普通の恋愛物語

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ほかの方の感想を読ませていただくと、本当に純愛なのか?と疑問に思っている人が多いですね…
個人的な見解を独り言のように書きます。


郁紀は確かに作中で見た目が大事だって事を話し続けますが、でも沙耶に関してだけは本当にそんなことはどうでもよかったんじゃないかと思うんですよ。

郁紀は見た目の大切さをいやというほど知りました。でも同時に見た目の脆さにも気づいたんだと思います。
だから沙耶の見た目はきっかけでしかなかったんじゃないかと思っています。


見た目も正確も記憶だって当てになるものじゃない。いつか後遺症が治るかもしれないし、沙耶も突然醜くなってしまうかもしれない。
そもそも沙耶が本当に存在していないかもしれない。自分は死んでいるのかもしれない。
多分郁紀の生きている世界はすごくうそ臭い世界だったんだと思います。見た目一つで親友を殺せたり殺せなかったりしてしまうほどに


でもそんな中で郁紀は沙耶を愛しました。最初は見た目にすがっただけかもしれません。でも物語の分岐で元に戻ることを積極的には望みません。
郁紀は見た目よりも沙耶の存在を愛していたんじゃないかなぁと私は思うわけです。

沙耶のほうはわかりやすいですね。砂漠に落ちた~の行のとおり自分を愛してくれる人を愛したんじゃないかと思っています。なんとなく動物的だなぁとも思います。


手塚治虫氏の作品でブラックジャックの中に鯨に食べられて、記憶と見た目を失ってしまい、遺留品から見た目だけを再現し、親元に帰されるという話があります。
完全に記憶を失ってしまえばその人は本当にその人なのでしょうか?

もしも恋人が記憶も見た目も失ったらどうなるんだろう

「沙耶の唄」にはそんな風に考えさせられてしまいます。