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aomisouさんの恋×シンアイ彼女の長文感想

ユーザー
aomisou
ゲーム
恋×シンアイ彼女
ブランド
Us:track
得点
85
参照数
2389

一言コメント

あー、なるほど…。なるほど。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

メイン4人のルートを終えた後の終章を通じて初めて、この作品が伝えたかった「シンアイ」「純愛」が詰め込まれていると思う。

星奏ルート・終章についてだが、音楽と恋愛の2つの選択肢を前に、苦悩しつつも両立できず音楽を優先した星奏に対して、たとえ振られたとわかっていても「恋」という感情の下、自分の思いを伝えたい一心で文章を書き続ける主人公の行動・想いは「深愛」「純愛」の表れだっただろう。

主人公は確かに星奏に振り回されていたが、星奏もまた世間・人々に振り回されており、3度目の失踪は不器用な彼女なりの決心だったと信じたい。
あと、精華ちゃんの出番がもう少し欲しかったです。

他の3ルートは、彩音ルートは終盤少し駆け足になったものの一番よくまとまっていたと思う。告白シーンでの素直な感情の表現が良かった。

ゆい・凛香ルートは前者2人と比べるとどうしてもインパクトに欠け、可もなく不可もなくといったところだった。
前者2ルートは並以上の出来だと思うが、この2ルートは正直少し眠く、作品の総合評価を少し下げざるを得ない。
ただ、ゆいルートの終盤は作中でもかなり良いシナリオだった。展開は王道ではあるが少し泣いた。

●BGM
水月氏の音楽は前から好きだったが、今回は特に良曲が多かったと思う。
メインテーマ、flower、とけかけの小豆アイス、小雨降る日の優しさ、虹かかる空の恋しさ が特に印象に残った。
あと、音楽鑑賞画面の作詞・作曲者のコメントは嬉しい。業界で広まってほしいと思う。

●背景
今作でどうしてもこれは特筆したい。
エロゲとは思えない綺麗な絵ばかりで、メインビジュアルの丘から町を見下ろす風景に惹かれた人も多いと思う。(自分もその一人である)


巷では炎上しているが、星奏ルートに関してはエロゲで出すには少し内容が合わなかったかもしれない。
あと、発売前に「普通の純愛物語」とごり押したのも誤解を招いてしまったように思う。

昨今の作品、キャッチコピー詐欺が散見されるので、サプライズをしたいという作り手の気持ちもわかるがそれならやり方を変えた方がいい気がする。