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aojigsjxさんのRe;Lord 第三章 ~グローセンの魔王と最後の魔女~の長文感想

ユーザー
aojigsjx
ゲーム
Re;Lord 第三章 ~グローセンの魔王と最後の魔女~
ブランド
Escu:de
得点
85
参照数
1507

一言コメント

『鉄血のオルフェンズ』がループものだったら。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

それぞれが自身の最も守りたいものを追求した結果、彼/彼女らは全てを取りこぼす事になる。「止まるんじゃねぇぞ…」と誓いを立て進み続けるヴィルフリートと、「もう辿り着いていたんだ」と気付くリア。しかし彼女が気付くのは遅すぎたし、彼女の存在そのものが、絶えず彼を前へと駆り立て、その退路を奪っていた。つまりオルガと三日月そのままである。しかし『Re;Lord』の二人の場合、少しだけ彼らよりもその事を自覚するのが早かった。互いに「分かっている」、だが止められない、戻れない。彼らはお互いを思うが故に自らを犠牲にし、その尊い犠牲が残された相手を苛む。死の間際に至っても、二人は互いを救うことができないのだ。ゆえに苦悩と悲劇性はより一層増し、強迫観念にまで高められた「やり直し」に全員を導いていく。そして、譲れないものを守ろうとするが故に、繰り返しはいっそう泥沼に嵌っていく…それぞれのキャラクターの確固たる意志から必然的に生まれてしまう「繰り返し」の構図は「業」としか言い表せないものであり、人間の生から遊離した「因果律」やら「世界線」といった概念遊戯とは大きく異なる。ループものとしても非常に秀逸な出来と言えよう。

「第一部」を終えて振り返って見ると、一作毎に変化する作品世界の雰囲気の演出が秀逸だったと思う。敵はぬいぐるみから傭兵へ。主人公は右寄り学生から魔王へ。愛すべき蒼天から、灰の空に覆われた憎べき世界へ。「戻れない道を突き進む」という感覚をプレイヤーに共有させるには的確な3部構成であった。まぁ脱衣バトルと魔女の存在感がどんどん薄れ、Hシーンの場違い感が増大していくのは如何ともし難かったが。

続編は出るんですかね?