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ankaraさんのG線上の魔王の長文感想

ユーザー
ankara
ゲーム
G線上の魔王
ブランド
あかべぇそふとつぅ
得点
85
参照数
678

一言コメント

今回の主人公は車輪の主人公より悪どさが増しているのかなというのが第一印象。主人公の壁になる存在はまんまヤバい人ですな。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

主人公の突っ込み器質は依然存在していますね。テンポよく会話が進む気がして好きな点です。

各ヒロインの第一印象は椿姫はちょっと危ない子で、花音がとっつき易い、ハルは正直関わりたく雰囲気
水羽は印象なし。という感じ。友人はキモかわいい…のかな。

やはり基本は一本道で章ごとヒロインに関わっていって選択肢次第で親密になるとルートに引き込まれていくというのは
変わらずですね。

気づいたのは花音ルートに入ってからだった。椿姫は華麗にスルーしていたんですね。椿姫はいい具合に壊れていったのに
家族の愛のが強かった、そんな美輪さん一家みたら関わるなんて選択できないじゃないです。家族とお幸せに。

花音ルートもいい話でしたね。ヒロインの章に入ると第一印象と違った一面が見えてくるのがライターさんのうまいところだと思います。
主人公と仲良くなる、元々持っていた問題が社会的にも露わになる。
というのはよくある話ですが、花音の決意と母に対する思いと我慢強さ、プライドは見ていて気持ちいものでした。

水羽ルートはこれまた気付かずに入ってました。まぁ、あそこは警察を呼ぶもんじゃないかと。キャラの印象が一番変わったのが
水羽かな。予想以上に弱い依存型に子でした。かわいいけどね。ユキの存在はなんか突然出てきたようで
なんだかなぁという感じ。
水羽は自分の章になるまでほとんど出てこないし、ユキも途中出場だし、家族の話をやられてもね。
ユキの行動もよくわからないし、色々残念な話。いい話かもしれないけど、もってきかたが悪かったかと。
成長した水羽はいい女なのは間違いない分こっちをメインにした別作品とか欲しかったかも。

5章もうこの辺からハル以外のヒロインは空気になってますね。ユキを追い詰めれる展開が来たことでようやく
ユキの役割を理解しました。ただ、ユキ母娘が白鳥家から追い出された理由は自分にはよくわかりませんでした。
権三がユキを追い詰める後でのキツイのを期待してたんですが、凌辱ゲーではなかったんですよね。残念。

さて、魔王が誰かという結論もついに出るわけですが、さんざん主人公が魔王みたいなのは匂わせすぎるほど
匂わせていたため、意外な感じはそんなにしませんでした。、兄さん、ちょいと経歴がものすごいですね。

素直に家族のもとで支えてやればよかったのにとは思ってはいけないんですかね。そうすりゃ、少なくとも母だけは守れたかもしれない。
結果論ですけど。宇佐美父が碌でもない人なんで恭平を応援してしまいたくなるのが不思議。
ここで恭平の登場で、京介の立ち位置といかキャラがグラついている気がする。

宇佐美父は京介にとって敵で、ハルにとって鮫島父は父の敵で、恭平は母の敵で京介はその二人の息子で、弟で。
この二人、よくまぁ一緒にいられるなぁと。特にハルの憎悪はす凄まじいのに。これまた不思議で疑問。

恭平の突き抜け方は素敵です。一番容赦ない。捕まりそう、負けそうでいて、切り抜けているのも素敵だ。

ラストはこうなりましたか…屋上での出会いだけでこうまで深い信頼を築けるのかわかりませんが、ハルと京介はそれでいいのかもしれませんね。
尋問のところからの感動は各章、各ルートをやってきたからわかるじんわりくるものがある。鮫島家の悲劇と宇佐美家との奇妙な因縁。

このゲームは鮫島一家の悲劇ゲーでした。幸せな団らんをもう少し最初の方から描写されていたらもっとやばく感動したかもしれないですね。
車輪同様後半から超展開でも楽しめる。ただ、ちょっと納得がいかない、そんなゲームでした。ああ、主人公の母親も攻略したい。