ErogameScape -エロゲー批評空間-

andanteさんのKanonの長文感想

ユーザー
andante
ゲーム
Kanon
ブランド
GungHo Works(Interchannel、NECインターチャネル)
得点
80
参照数
601

一言コメント

「Kanon」の説得力に欠ける解釈です。 大昔に書いたネタ文章が見つかったのでそれも追記/2010.4

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

動機に関して全く説明が出来ないのでこの解釈は無理ありまくりなのですが
とりあえず奇跡否定派の人に、これは奇跡じゃないのでは?という解釈です。

珍しくだらだら書きません

まず、美坂栞の病気は妄想です
誕生日キッカリに倒れる病気があってたまるか、と
こう解釈すれば、栞が誕生日まで「とても病気とは思えない」事に説明がつきます

月宮あゆは双子です
作中に伏線はおそらく存在しません
これは、最後の「リハビリ期間は?」と云う疑問に対する答えなので
全てのシナリオが終わってから整合性を取るための解釈です
この手のミステリも存在するのでアリかと思われます

相沢祐一の過去が忙し過ぎるのは、それが捏造された記憶だからです
主人公は幼い頃、川澄舞、沢渡真琴(狐)、月宮あゆ、との交友関係があった事になっていますが
日程的にこれはキツイのではないでしょうか
ライターが違うからと云う解釈が無難ですが、敢えてそれを否定します

祐一は当初記憶がそれ程無く、日を追っていく毎にそれらの出来事を思い出していきますが
それは、水瀬家で捏造された記憶の暗示をかけられていった、からではないでしょうか
(アルツハイマーやトラウマ等の言葉で説明出来てしまうのも事実ですが…)

つまり、忙し過ぎる幼年期等は実際の所なかったのです
(名雪、あゆとだけは実際にあったと思いますが
 真琴は素性不明なうえ、頭が弱いので、彼女も催眠術をかけられたと強引に解釈します
 幼児化は退行催眠でしょう
 舞もキ○ガイなので、似たような手で
 とてつもなく説得力に欠けますが、これがこの二人が白痴キャラな理由であり
 「Kanon」と云うゲームが電波キャラばかりな事の説明です)

暗示という存在の伏線は美坂栞です
彼女は自分自身でかけたのか、姉にかけられたのかは分かりませんが
ドラマのヒロインに憧れるなど、そういう要素(自己暗示)を持っていると示す描写もあります

まあ、なんでこんな事やってるのかの動機も不明ですし
(B.Wを呼び出すため?)
秋子さんが犯人な時点でネタレベルなのですが

ただ、どの作品にも云える事ですが
自分には合わない作品に出逢った時には
無理矢理自分に合う解釈を採用するのは面白いと思ってます
(私は「Kanon」の通常解釈好きですが)

また、そういう可能性を持たせるゲームというのは名作かと

*** 2010.4 add ***

Kanonは、決して安易に奇跡などというのモノには頼っていない――

後の多くのエロゲーに影響を与えた18禁ゲームの殿堂「Kanon」
鍵っ子と言われる、熱烈なファン、いわゆる信者と言うものまで作り上げた本作
信者がいるのだから、それを忌み嫌う者、アンチがいるのは世の必然でもある
アンチというのは大概その作品の悪い部分ばかりをあげて批難を行う者たちの事だ
しかし、このKanonと言うゲームに関しては彼ら、アンチの批判は的外れなモノばかりなのだ

彼ら、アンチは口々にこう言う
「『Kanon』は最後はなんでも奇跡で解決する、安易なシナリオだ」


彼らが言っている事は、つまり
「なんでも奇跡に頼るのは卑怯なことだ」
というワケだ。

これは、彼らが根本的には奇跡などは起きるはずがないと考えているからである

「奇跡は起きない」
と、考えているはずのに

「奇跡で解決した」
と、考えるのである

これは大きな矛盾である。
奇跡は起きない、と考えるのなら、それ以外の可能性を探すのが基本だ
しかし、彼らは考えるようなことはせず、ただひたすらに、この点を批判するのだ

なぜ、彼らがこのような批判を行うのか?
それはKanonのシナリオの特性によるものである

「美坂栞」 編

Kanonのヒロインの一人である美坂栞
彼女のシナリオを簡潔に述べるとこうだ

「病気で次の誕生日まで生きられないと告げる少女
 主人公、相沢祐一は彼女との思い出を作る為、共に過ごしていく
 そして迎えた次の誕生日…彼女は死ななかった」

そう…彼女は死なないのである
病気で次の誕生日まで生きられないと言っているのに

「奇跡」

これが、このKanonというゲームを通してプレイヤーに与えられるメッセージである

大半のプレイヤーはこれを「奇跡」と認識するのだ
アンチが、Kanonというゲームを批判する大きな理由でもある

しかし考えて欲しい
アンチは、根本的に奇跡などは起きない、と考えているはずである
ならば、なぜこの現象を「起きないはず」の「奇跡」だと考えるのであろうか?

このシナリオは結局
「病気で次の誕生日まで生きられないと少女は語るが、結局は死ななかった」

これだけである

大抵の人ならば、少女が嘘をついていると思うだけでだろう
奇跡云々が出てくるほうが不思議なのだ
なぜ、奇跡などという誤解を生んだのかというと
これも、またKanonというゲームのシナリオの特性でもあるワケだが

Kanonをプレイした人ならば、おそらく
「そんな事はない、美坂栞が病気だというのはゲーム中で何度も説明されている」
と、反論するであろう

しかし、本当にそう言い切れるだろうか?

美坂栞が次の誕生日まで生きられないと語る人物は (私の知るかぎり)

美坂栞、美坂香織、水瀬秋子

この三名だけである
(水瀬秋子は、水瀬家に栞を招いたときに、栞の健康状態にたいして言及しただけだが)
プレイヤーが医者に説明されるシーンなどは一切ないのだ

そもそも、第三者で、専門家でもない水瀬秋子の話などは論外である

ここで、美坂栞の姉である、美坂香織の話であるが
彼女の発言を信用していいのか?という問題である
彼女は主人公のある問いかけに対してこう答えた事がある
「私に妹なんていないわ」
大嘘である、彼女には、美坂栞という妹がいたのにも関わらず嘘をついた

彼女はこれ以外にも
「言葉どおりよ」
などと、いう言葉をよく口にするが、これは便利な言葉である

嘘で塗り固めた会話をしているときであっても
相手に、矛盾を突かれた場合に
この言葉を返せば、それは自分で考えろと言う意味になる

つまりは、美坂香織は日頃から嘘ばかりついている可能性が高いのである
彼女の言葉も信用できるとは言い難い

そして、美坂栞本人である

「本人が言っているんだから間違いない」?

そんなワケはない
こういうものは本人の勘違いと言うのが大半だ
ここでは、疑問にたいして箇条書きで書いていこう

Q なぜ美坂栞は自分を病気などと偽ったのか?

A 美坂香織に騙されていた可能性がある

  彼女はもともと「ドラマのヒロインに憧れている」などと発言しており
  過去にはリストカット歴もある
  これは彼女、美坂栞の被害妄想の強さを証拠付けている
  美坂香織がこれを利用して、栞を騙したのでは?と推理できる


Qなぜ美坂香織は栞を騙した?

A美坂香織は「栞を元々いないと思い込む事にした」と
 相沢祐一に語っていることからも、二人の不仲が窺い知れる


Qなぜ美坂栞は誕生日の日に倒れたのか?

A被害妄想による、強固な自己暗示のせい

 彼女は、ドラマのヒロインに憧れており
 彼女は自分に「次の誕生日まで生きられない」という
 強い自己暗示を、無意識のうちに自分にかけた状態になっていたのでは?
 誕生日には、そのストレスがピークに達し一時的に気を失ったのである
 この説により日常では全く健康に問題がなかった理由が解決する


Qなぜゲーム中であれほど奇跡と言う単語が使われたのか?

Aプレイヤーをミスリードするため

 ミステリーでは読者を騙すために、ミスリードの手法を使うことは珍しくは無い
 これに大半のユーザが騙されたのである



美坂栞 編  -完-