アンチミステリの構造を意識したアンチギャルゲーとも云える作品。ギャルゲーミステリ史上では最高傑作。タイトルも考え尽くされておりギャルゲーでは最高峰、面白さとしては一番ではないですが
この物語に明確な解答は存在し得ません
最後のシナリオまでは十分に本格ミステリと名乗れるだけの論理的構造をしています
しかし、それもフォーニの存在の肯定によりあっさりと否定されることになります
(歌声が観客に聴こえたというのはフォーニの存在を肯定しなければ説明が難しいので。妖精がいるから本格ミステリでなくなるのではなく、フォーニの存在を否定しなければ、「主人公にだけフォーニが見える=主人公は狂っている」という伏線足りえないからです)
特に何も考えずにプレイしていれば、最後はアルとのハッピーエンドです
しかしこれもある有名な考察を読めば、果たして正解なのかと自信が揺らぐ事でしょう
そしてその有名な考察ですが、文章を読む解く限り正解に最も近そうではありますが
それが真実だとする絶対的な根拠はありません
これは、本来ならば絶対的な存在であるべきはずのクリス(主人公)が
精神に異常を来たしていたという理由で絶対的な存在ではなくり
(「姑獲鳥の夏」に似ていますが、こちらの方が洗練されて圧倒的に良くなっています)
このゲームでいう絶対的な存在(探偵役)のトルタ(ファル、リセ)視点で語られることがなかった以上、シナリオの最後に関しては、すべて推測にならざる得ません
(それこそ、アル=トルタの入れ替わりこそがミスリードの可能性もあります)
通常ならば、オチてない欠陥ゲームになってしまいすが
しかし、この作品はそれを目指して作ったのではないでしょうか
この作品には素晴らしい論理性があり、シナリオに決着をつけるだけならば簡単にできたはずです
それを、敢えてしなかった理由として
私は、これがギャルゲーというスタイルをとりながら
ギャルゲー的決着(ギャルゲーに限ったわけではありませんが)を否定し
物語の絶対性を否定したアンチギャルゲーであるからだと思います
果たして真相は何なのでしょう?
タイトルの
「シンフォニック=レイン」の「Rain」と云うのは
あまりにもわざとらしいので(発音的にも複数ありますし)
これは「Lain」なんじゃないかと思います
「Lain」は「Lie」の過去分詞らしいので
「Lain」にした場合の「Lie」の意味は「横たわる」とかいう意味でまったく意味不明になってしまいますが
もう一つの「Lie」には「うそ」という意味もあります