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amjaさんの俺たちが死んだ夏、天使のいた三日間。の長文感想

ユーザー
amja
ゲーム
俺たちが死んだ夏、天使のいた三日間。
ブランド
Check&Stripe
得点
73
参照数
197

一言コメント

天使の旅は語られぬまま

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

■キャラ
天使が声も相まってかなり特徴的な性格だった。
物語の終始を飾る人としても、表裏のはっきりした人物ということでかなり興味を抱いたが、
天使について深く語られることもなく、とても残念であった。
天使として役割を与えられたのか?メモ書きを残した人物は?
天使であり続けることでどこにたどり着くのか?
それらのお話があっても良かったと思う。

夏海は橘まおさんの明るい声がよくあっていたように思う。

■シナリオ
予想以上に短かった。
特に惜しいと感じたのは、道中での人物の深掘り。
起承転結の「起」と「結」に関してはハッキリとしたメッセージがあったが、
それを支える部分が弱いと感じた。
主人公の過去を語るシーンも、冷たく事実を淡々と述べるような文章ではなく、
立ち絵等を用い主人公の感情を色濃く載せることで、現在の主人公がより鈍い輝きを
見せてくれたのではないだろうか。
終盤のやり取りに魅せられる反面、人物ごとのバックグラウンドがあまり強く
伝わってこなかったところが非常に残念であった。

「一度壊して、積んでいく」とは「過去に囚われた人間に自由の翼を与える」その行いのことであろうか。
積み上げた先で、本当に視界が変わるのだろうか。
過去をなくした天使に、未来を楽観視しない天使に、どう希望を与えられようか。
プロローグとエピローグからは、幸福感の得られないテキストで、不安を残されたままのようにも思う。
この物語は、人間を救うハッピーエンドでありながら、
そらへ手を伸ばす天使の結末は語られない、なんとも言い難い作品となっている。

■その他
BGMが落ち着きのあるもので気になったが、どうやらサントラはなさそうで。。。