SM要素は中盤から。パートごとの繋がりが見えず理解できない状況が続きますが、最後にはちゃんと説明がなされるのでご安心を。
思考のネガティブスパイラルに陥りがちな主人公が「この世界はフィクションで、
創造者の糸で操られている!」と嘆き歯向かうお話。最後には「物語は外にも内にも
あって一体化しているから歯向かっても意味ないね。目の前にあるフィクション
1つ1つを検分していくしかないね」と気付いて終わり。短い中に感覚的ながら
わかりやすく説明されていて良かったです。メタゲーの入門としてオススメ。
ただわかりやすいだけに遊びの部分がほとんどなく、物語としては決して面白い作品
ではありません。主人公とヒロインの関係は主題を語り、作品の幕を引くだけですので。
ヒロインのメルンが可愛らしくそれだけに中盤のSM要素が痛々しいのですが、あえて
楽しむとしたらそのあたりですが、短すぎて物足りなさは覚えそう。
かの名作エロゲ『Forest』でも似たようなテーマが取り扱われているのですが、あちらは
本作と真逆で超わかりづらいです。代わりにキャラに入れ込めるよう表現されていますし、
本作同テーマとは別に様々な妙が仕込まれています。ノベルゲー的な演出も面白く、
エンタメ作品としてはあちらの方が楽しめますね。
以上を踏まえてどちらを(どちらから)プレイするか判断するのもアリかなと。
主旨だけを求めるなら『フロレアール』ですし、ノベルゲーとして満足感を得たい
なら『Forest』ですね。
蛇足
主題とは別に感覚の伝達齟齬から他者共感についても少々言及されていますがこちらは
より簡潔。同ライターの後期作品テーマにもなっているそうで、本作では軽く流されて
います。気になるようならそのエロゲをプレイした方が理解が深まるのかもしれません。