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amaginoboruさんの120円の春の長文感想

ユーザー
amaginoboru
ゲーム
120円の春
ブランド
GungHo Works(Interchannel、NECインターチャネル)
得点
100
参照数
601

一言コメント

上手く言葉にできない、目に見えない、何気なくも大事なことを綴った4つのストーリーは、多くの読み手を温かな気持ちにさせてくれること間違いなし。ねこねこソフトの片岡とも氏によって書かれた、癒し系ギャルゲの最高峰ともいうべき作品です。プラットフォームがレトロすぎで今となっては遊びづらいのですが、ハートウォーミングな物語を好まれる方には是非プレイしていただきたいですね。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

◆60億分の1の出会い、キッカケ――120円の夏

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灼けた日射しと蝉の声。

この広い空の下で、
今まで数えきれない人とすれ違ってきた。

朝、電車で隣に座った。
昼は銀行のキャッシュディスペンサーで前に並んだ。

コンビニで並んで立ち読みしたり、
夜中に鳴る、携帯の間違い電話とか。

そんな、数え切れない人と、人達の中で・・・
無数とも思える巡り合せの中で・・・


「出会い」


と呼ばれるモノがあるなら、
それは特別なものではないだろうか?

きっと、誰かと誰かが知り合うチャンスは無限な筈で。
だけど俺の知り合いは60億人もいない訳で。

やはり、キッカケと呼ばれるモノが重要なんだけど、
困ったことに、こいつは目に見えないので辛かったりする。

だからこそ些細で偶然に思えることでも、
出会いは・・・特別で、必然で、神聖な物かもしれない・・・

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夏休み、補修のため登校していた主人公。自販機でジュースを買おうとしたら、
先客の女の子がいた。という本当にどこにでもある出会いの物語です。

2人がくっつくんだろうなーというのは見て取れますし、お話に独特な面白さがある
わけでもありません。主人公もヒロインも奥手なだけで、どこにでもいる学生です。
ギャルゲらしい「不思議な力」も、だからどうしたってレベルの代物で特筆すべき点は
ありません。
全てが平凡な要素を取り揃えた、普通のラブストーリー。プレイした皆さんの評価が
芳しくないのも納得です。


しかし、普通だからこそ「出会い」というテーマをより身近なものに感じさせます。

キッカケがあったからこそ二人は知り合い近づいて、キッカケがなくなってしまった
から作ろうとするんだけど、やはり奥手な自分にはできなくて。
でもそんなのがなくても、やっぱり二人は偶然再び巡り会って。でもそれはやっぱり、
キッカケのおかげで。

「だからこそ些細で偶然に思えることでも、出会いは特別で、必然で、神聖な物かもしれない」

60億分の1確率の出会い。それは偶然だけど特別で必然なもの。
そんなどこにでもある当たり前のことを、改めて教えてくれるショートストーリー。
それが120円の夏です。


この物語は前述の通り、最初にギャルゲーとして2人の魅力を追ってしまうと凡庸な
作品にしかなりません。
冒頭の「出会い」についての地の文や、キッカケがなくなり何とかしようとする2人の
様子、そしてキッカケがなくても何とかなった2人を見て感じられるものが、本作の
味でありテーマなんだと思います。

ですが「出会い」を意識した瞬間、初めて本作がギャルゲーとして
よく出来ていることに気づかされます。

「出会い」をジョイントとして作中人物を自らの身近に感じるからこそ、同世代の
プレイヤーは恋愛物語として憧れや羨望を覚えるでしょうし、また年配者には過ぎた
青春を思わせる、どこか懐かしさを感じさせてくれる物語へと昇華するのです。
この辺はテーマを理解している2週目プレイ以降のが、より鮮明に伝わってきますね。

正直回りくどい魅力ですし、120円シリーズの中で評価が微妙なのも仕方ありません。
ですが物語をプレイヤーに限りなく身近に寄せたからこそ、見ることのできた良さ。
そんな魅力を持った作品です。


蛇足ですが、唯一普通でない「不思議な力」はキッカケを強調したかっただけで、
何でも良かったのでしょう。困っているヒロインを助けるでも、パン咥えて交差点で
激突するでも、ラッキースケベでも、それこそ何でも。
偶然だけど特別で必然な「出会い」なら、なんだっていいわけですから。





◆不運と幸運と、俺ジャッジと――120円の秋

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誰だって一度は、幸運ってゆー名のラッキーも、
不幸ってゆー名のアンラッキーも体験したと思う。

でも本当は、そんなもん人それぞれ。

俺にとって生涯最高の幸運と思うことだって、
俺以外にはアイスの当たりレベルかもしれないし。

俺にとっては、半日パチンコやって忘れる不運も、
俺以外の誰かには、一生忘れ得ぬことかも知れない。

所詮、幸運か不運かを決める、俺ジャッジってのも・・・

自分以外の誰かとの、何かとの比較で。
過去の自分の経験から相対的に決定する訳で。

使い古された言葉だけど、
結局は、気の持ちようってのかも知れない。

生まれ出でて二十数年、ラッキー2割、アンラッキー8割、
この打率を改善する為には・・・

フォームやスウィングよりも、
俺スコアラーって奴を何とかするべきかも知れない。

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ハトの糞に当たりに行ったり、自らイヌのウ○コを踏もうとする、なんともぶっとんだ
ヒロインです。ゴキブリをかばったどこぞのヒロインにも負けませんな。
十数年に一度のラッキーデイに備え、今のうちから不幸をストックしようとする、おおよそ
トンデモなお話です。

しかし夏の物語同様、あくまで運の貯蓄という不思議設定はオマケです。
アンラッキーな出来事を喜び、ラッキーイベントを余計なものとして回避するヒロイン。
テレビで見た今日のラッキー行動を実践しているのにロクなことが起こらない、でもそんな
アンラッキーをどこか楽しんでいる主人公。

ラッキーなのに不幸。アンラッキーだけどツイてる。極端な幸不幸を様々な角度から
見せることで「幸せなんてその人次第、気の持ちよう」という、そんな当たり前のことを
優しく、改めて教えてくれるのが本作です。

中でも印象的だったのが、風船が飛んでいく1枚CG。
他と同じアンラッキーだけどラッキーなイベントなのですが、その幸せっぷりが
CGとテキストから情感豊かに伝わってきます。あぁ、確かにこれは幸せだなぁと。
この辺の見せ方は流石ねこねこといったところですね。実に上手い。


120円の秋は終始ギャグ風味が強く、テーマもあまりに当たり前すぎて気づきにくいモノ。
冬や春みたいに情感溢れるシーンがあるわけでもない。夏のように甘酸っぱさや懐かしさを
想起させられるわけでもない。コミカルですが最も地味な物語です。

ゆえに他シリーズより微妙に見えがちなのですが、気づきにくいからこそ意識すると
ちょっと幸せに、得した気分になれる作品でもあります。
「気の持ちよう」などという誰でも知ってるよといいたくなるような、でも普段は
忘れがちな事に改めて気づかせてくれる、そんな小さくも優しい作品だと思います。





◆大人と子供。そして「遠くへ」――120円の冬

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「遠くへ・・・」
そう願っていた、子供だった頃の俺。

別に逃げ出したいって思うほど、
不満があった訳じゃなかった。

・・・なのにどうしてだろう?

いつだって俺は・・・『遠くへ・・・』と、願っていた。


何だって出来ると信じていたのに、
何だって出来ると信じていたかったのに・・・

それが無理だとわかり始めて、
見えない何かに流されそうな機がして・・・

何とかしないと、何かしなくちゃって思って・・・
でも、何をすれば良いのか分からなくて・・・

・・・だから・・・遠くを目指した・・・

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今は大人の主人公と子供のヒロインが織り成す、遠くを目指す物語。それが120円の冬です。

何だって出来ると信じていた子供の頃。しかし無理が見えはじめ、何とかしなくちゃと
思った子供の頃。持っていたお金で切符を買い、足りない分は検察をやり過ごして、
遠くを目指した子供の頃。その先で見つけた、涙で滲んだ夜空に浮かぶ、赤と緑の星。

そんな苦い思い出を持つ主人公が大人になってから、同じ電車に乗り出会ったのは、
コンタクトと切符を無くした女の子でした。
誤ってコンタクトを割ってしまったお詫びと、子供を守る大人としての矜持から、新しい
切符の購入を買って出ますが、理由を述べずただひたすらに拒み続ける少女。
紆余曲折の末に理由を聞き出した時、主人公の心に去来したものは・・・。


「自分は大人。子供じゃない」といい聞かせた後で提示される子供の頃の想いは、
主人公ならずともどこか懐かしく、そして切ない気持ちにさせられます。
何とかしないと、何かをしなくちゃと思って、でも何をすればいいのかわからなくて、
結局何もできなくて。
限界を知ったときの失望と妥協は、多くの方が幼少の頃に同様の思いを抱いたのでは
ないでしょうか。

そんな主人公のヒロインに対する行動もまた酷く共感できるものです。
家出を疑い切符の購入と帰宅を促したり、我侭で煮え切らない態度をそのまま受け入れる
様子はまさに大人と子供。
幼少の過去といいヒロインへの接し方といい、4シナリオの中では最も自己を投影
しやすいタイプの主人公です。


だからこそ少女が電車に乗る理由を知った後の流れにも、深く共感できるのでしょう。

「120円の初乗りキップで、行けるところまで行くつもりだったから・・・。」
「何かしないと思って、でも何をすればいいのか分からなくて・・・。」
かつての自分と同じことを考え、同じ行動を取り、同じ言葉を呟く女の子。

車窓から見えた「緑の星」を純粋に綺麗と喜ぶ彼女と、過去に見た赤と緑の星を
重ねる主人公。

「ここまで来たから、見れたのだと思うから。」
「だから、もっと遠くへ・・・行けるところまで、行ってみたい」
見知らぬ土地の素敵な景色を見て決意を新たにする女の子。

「だったら、俺だって・・・」という主人公のモノローグ。

過去の自分はここまでだった。限界を感じた。でも女の子と一緒にここまで来れた。
彼女はもっと遠くを目指している。だったら自分だって。
この気持ちは主人公やプレイヤーが幼い頃に失ったと思っていたもの、そのもの
ではないでしょうか。
このシーンは120円シリーズ屈指の名場面と個人的に感じています。まさか「緑の星」で
ここまで心を打たれるとは思いもしませんでしたから。


そしてラストシーン。
「赤い星」をみて感動する女の子、夜空に響くリコーダーの音色、そして2人で達成した
ソプラノの大記録は、主人公に大人や子供の違いを・・・それも分別や経験、知識や体格の
差ではない、誰だって最初は持っていた「純粋な想い」を改めて教えてくれます。

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何だってできると信じていたかった俺。
そして、そんなことは無理だと気づいた日・・・

いつしか、無邪気や素直さってのが、
曖昧で冷たい現実と引き換えにされて・・・

あの日、泣きながら見た星空を,
いつまでも忘れないつもりだったのに。

あの日、俺も・・・この俺だって・・・
同じように、遠くへ・・・と、願い続けていた筈だったのに・・・

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主観入りますが、それは「何だってできる」ではなく「やりたいからやる」という気持ち
なのかなと。出来ること出来ないことを分類し割りきる、曖昧で冷静な現実。
そんな毎日が「やりたいことをやる」という純粋な想いを主人公から、あるいは読み手から
奪ってしまったのかもしれません。

当然ながら、やりたいことだけやっていては生活できません。それが自由を持つ大人の
最低限の義務であり所以です。でも、それだけの人生ではあまりにも寂しい。
大人は、やっても無駄だから、目的を達成できないから実行しない。
子供は目的は二の次で、やりたいことをやる。やった後で素敵なものを自分で見つける。
大人にもそんな時があってもいいんじゃない?そういう風に私には聞こえました。

だからこそ主人公はメガネを外しますし、エピローグで少女に渡すのは「120円」です。
少女だって最後に赤ペンで書き足しました。
その行動に意味はありません。やりたかったからやったことに意味があるのでしょう。


最後に、何度も現れる「遠くへ」というフレーズですが、これは文字のまま「旅」を
意味しているのかなと。
目的も持たずになんとなく遠出して、車窓から見える素敵な景色を見つけ、何気なく
降り立った土地で素敵なものを見つけ楽しむ、新しい素敵なことを見つけ続ける、
そんな記録をつける旅。それこそ「やりたいからやる」行動そのものです。

大人と子供の違い。大人のなくしたもの。そして「遠くへ」の意味。
そんないくつかの、昔は当たり前だったのに今は忘れてしまった何気ない事を
語ったのが本作、120円の冬なのでしょう。
鈍行列車を舞台にした、青年と女の子の、大人と子供の旅物語。実に美事な作品でした。





◆馴染めない現実、自分の居場所――120円の春

主人公はクレープ屋のバイトを続けているネトゲ廃人。現実での生活に嫌気が差していた
ところ、とあるお客から貰った宝くじがなんと2500万円の大当たり。
これを元手に田舎のボロ屋を買い、アーリーリタイヤを計ることに。
その引越し初日、新しい家を探していると小学生の女の子を発見、道を尋ねてみると

という出だし。現実に嫌気が差してというあたりに凄まじい共感を覚える今日この頃
ですが、物語の前半はあまり主人公にスポットが当たりません。平日も学校へいかない
女の子・葉月の話が中盤までの主題です。


内容は非常に分かりやすいですね。明るくいい子なのに学校へ行かず、どこか世間に
馴染めていない葉月を見て心配する主人公サクラ。
学校に行けと叱咤するも、現実に馴染めなかった自分に重ねてしまい、最後には居場所を
作ってしまうサクラからは、どこか父性的な優しさが感じられます。

自由に家へ入れるようにし、プールへ連れて行き、誕生日にはクレープとカードで
祝ってあげて、運動会にはお弁当を用意して一緒に競技へ参加し、時には宿題を見て
あげて。娘がいたらこんな感じなのかなあって雰囲気で、何ともほっこりとした
気持ちにさせてくれます。

一方で優しくするだけでなく、何とか現実へ戻してあげようと試行錯誤してキッカケを
作り、背中を後押ししているのも好印象です。
ネトゲ廃人でも決してダメ人間ではなく、本質的には思いやりのある優しい人として
サクラは書かれています。だからこそ世間に馴染めずリタイアしてしまったのでしょうが。

そんな後押しを経て、葉月は徐々に現実世界へ復帰し始めます。嫌がっていた学校へは
積極的に登校し、帰ってくれば今日は何があった、こんなことがあったと楽しく話して
くれるように。
世間に馴染み始めた葉月を見て安堵を覚えると共に、取り残されたような一抹の寂しさ
を覚えるサクラ。ここからが物語の本題です。


事情は異なるにせよ、サクラも葉月もいわゆる「現実に馴染めなかった」人間です。
だから田舎へ逃げ込んだり不登校になっているわけで。
しかし葉月はサクラの力を借りて、現実に馴染み持病もある程度治し、街へ帰って
いきます。

そんな葉月をサクラは「馴染めなかった人間の狭い世界にいちゃいけない。」と
突き放し更正を促す一方で、自分のことは「俺は望んでここにきたんだ」と諦めて
しまっています。

しかし、鍵をなくした自分を助けてくれて、風邪を引いたときは必死に看病してくれて、
半年以上の間一緒に生活し、別れの間際には必死になってサクラの傍に居場所を作ろうと
した葉月を見て、サクラもまた閉じられた世界で寂しさを覚えはじめます。

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「なあ葉月・・・もうお前はこんなことしてちゃダメなんだ・・・」
「せっかく街に帰れるんだからさ・・・」

「だから・・・こんな馴染めない世界に・・・」
「こんな、閉じた世界にいちゃダメなんだ・・・」


まるで独り言のように話し続けていた。

この言葉はこの子に・・・葉月に伝わっているのだろうか?
そして、この言葉は誰に対して言ってるんだろうか・・・

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「やっぱこういうもんはさ、誰かに祝ってもらうもんだからさ・・・」

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病気の看病。誕生日プレゼント。誕生日カード。葉月城にいるサクラ。
ケーキ代わりのクレープ。クリスマスカード。そして誕生日カード。
誰かに祝ってもらうもの。自分という存在を大事にしてくれる人。一緒に笑い合える人。

1日240円の食費ならやっていける。2人分だと1人120円しかなくて碌なことにならない。
でも、1人じゃ寂しくて無理だけど、2人なら。そしてサクラもまた、馴染めない現実へと
帰っていきます。

自分を見てくれる人の温かさや有難み。本作も今までと同様、何気ない当たり前の、
けどとても大事なことをテーマにした物語でした。


なお120円の春は、今までの話全てを総括した物語でもあります。
サクラと葉月という、大人と子供の60億分の1の出会いとキッカケ。
1日240円での生活が半額になってしまったアンラッキーが、俺ジャッジでラッキーに。
やりたいことをやったことで得られた、曖昧で冷静な、馴染めない現実への回帰。
その全てが春の物語には盛り込まれています。
その辺を意識してプレイすると、また違った面白さがあるかもしれません。





◆上手く言葉にできない、目に見えない何か――120Stories

それぞれの作中でテーマについて語られるときは、4作品とも
「上手くいえない、言葉に出来ないけど、なんとなくわかる気がする」
といった意味のセリフや地の文が必ず差し込まれます。

また各物語の締めくくりには必ず
「ナントカなるんではないかと思ったりして。」
という言葉が添えられます。

そして春のエピローグで見られる以下のテキスト。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

少しだけ目に見えないモノが見えた気がした。

どんなに落ち込んでも、どんなに悩んでも・・・

たとえ、自分一人が馴染めずに、
置いてけぼりにされてしまったと感じても・・・

きっと、この世界はモノクロにもならないし、
そう捨てたもんじゃないのかも知れない。

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60億分の1の確率による出会いやキッカケ。幸運と不幸と俺ジャッジ。
大人になっていつの間にか失ってしまったもの。曖昧で冷静な、馴染めない現実。
そんな言葉にできない、目に見えない何かをそっと教えてくれる物語たち。
これらが少しでも目に見えたなら、馴染めない現実世界も意外とナントカなるのでは
ないか。そんな優しい物語が120円シリーズの特色なのでしょう。


発売され出会ったのは十年以上前。その間に様々な癒しの物語や、温かい
ストーリーが世に出され続けましたが、仮に私が癒し系エロゲ・ギャルゲを一本紹介
するとしたら、まず本作を挙げます。
ライターである片岡とも氏のとある部分が傑出したような、独特な優しさと温かみの
ある、短くも心に残るとても素敵な物語達ですから。

PS2の作品でプレイできる環境もごく僅かではありますが、ハートウォーミングな
物語が好きな方には是非プレイしていただきたい作品です。