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amaginoboruさんのときめきメモリアル2 対戦ぱずるだまの長文感想

ユーザー
amaginoboru
ゲーム
ときめきメモリアル2 対戦ぱずるだま
ブランド
KONAMI
得点
45
参照数
369

一言コメント

原作キャラの魅力は初代に負けず劣らずなのに、明らかに前作よりパワーダウンした、ときメモぱずるだま第2弾。同じゲームでもヒロイン個性のベクトル次第で、面白さが変わる事を体験できる作品です。

長文感想

感想にも書いたとおり、前作に相当するときメモ1対戦ぱずるだまは接客用として
活躍し、長い間楽しむ事ができました。原作は1以上に好みだったときメモ2にも
同じ期待をして購入したのですが、面白みを感じず対戦も長続きはしませんでした。
2をプレイした後1をプレイすると、やっぱり楽しめるんですけどね。同じゲームなのに不思議な話です。

で、そのプレイ内容を比較してみると、2のプレイ中は1と比べて、明らかにキャラの掛け合いが
楽しめていないんです。これが1だと、詩織のウザさや如月さんの勉強ラッシュ等、キャラへの
ツッコミや対戦相手への挑発が入るのに、2ではほとんどない。せいぜい美幸の不幸ネタと、真帆の
コギャル語ぐらいで、それもバリエーションが少ないからすぐに醒めてしまいます。

いくらパズルゲーとはいえキャラゲーの一種。ヒロインに良くも悪くも魅力が
感じられなければ、いくらゲームとして成り立っていても不合格です。
どうやら最も肝要なところを間違えたがために、微妙な出来となってしまったようです。


問題点として、まずアニメーション画数が少なく、前作より画質が落ちている事があげられます。
1ではキャラ次第ではぬるぬる動いていたのが、本作は全員かなりお粗末なグラフィックです。
ゴッドドリルや白馬の王子様などの6連鎖ムービーは、ムクや伊集院のようにケチらず
動かすべきでした。細かく動くからこそ他の連鎖アクションと差が出て、キャラの
パーソナルがより光るわけで。個性が出せていないのは、キャラゲーとしては致命傷です。

また攻撃パターンを選択できる事が、キャラの没個性化に拍車をかけています。
前作では攻撃パターンに強弱があり、使いづらいヒロインもいましたが、故にキャラごとに戦術が
代わり、それが個性の一つとして印象付きました。例えば紐緒さんなら、せり上がりパターンだから
相手の邪魔を狙うより、カウンターor自力大連鎖で力押し、といった具合です。
敵に回した場合も同様です。キャラ別に対策を立てる事が個性となるのです。
対して本作は、組み合わせを自由に選べるようになった事で、誰でも扱いやすい反面、ヒロインの
特徴が消えてしまっています。

おそらく製作者はユーザーフレンドリーを狙ってこのように調整したのでしょう。
キャラゲーだから、みんな公平に使えるように、という配慮です。
ですがギャルゲーはキャラに特徴があってこそ。いくら不公平感があっても
個性を殺してはなりません。平等にしたいなら、弱いキャラの長所を伸ばす方向で
調整をするべきだったのです。

ただしグラフィックの美麗化やパワーバランスの調整には、当然ながら非常に多くの労力を使います。
既存ゲームにキャラを乗せて、楽して稼ぎたいという、会社側の意向に沿ったものではありません。
キャラゲーと舐めてかかり、安く早く適当に作ったのでしょうが、プレイするとやはり手を抜かれた
事がわかってしまいますね。1は何のかんので良バランスだっただけに残念です。


以上は労力を押しまず手を加える事で、修正が可能だった部分です。
ただ私としては、例え上記がクリアできていても、題材がぱずるだまの
時点で、1には敵わなかったのでは、と感じています。


原作経験者ならご存知かと思いますが、ときメモ1と2は似通ったゲームシステムを
使いながらも、ヒロイン達が持つ個性のベクトルは大きく異なるのが特徴です。

きらめき高校が舞台のときメモ1はヒロインに対し、過度なまでに記号的な性格付けが
なされています。印象に残るよう尖った形で表現し、ともすればプレイヤーが引くレベルの
個性があります。情け容赦ない幼なじみ、ルー大柴みたいな口調、根性、ヘルメット
苺Tシャツetc...プレイヤーの好みに合わせたのではなく、個性が目立つ事に重点を
おいてキャラが形成されています。

そのアクの強さが、ぱずるだまの連鎖モーションに色濃く反映されています。
高笑い、優美ボンバー、超ラッキー、お弁当、犬など、非常に強烈です。
これは初代の「対戦ぱずるだま」も同様だと思います。ペンクローやリョウ、まこりん等
みんな個性が強く、連鎖モーションを見るだけでも十分楽しめるキャラ達でした。


対してひびきの高校が舞台のときメモ2は、数多くのギャルゲーが排出された後というのも
あって、プレイヤーのニーズに答えたかのような、理想的なキャラが多く揃っています。
常に好感度MAXな犬幼なじみ、ツンデレ八重さん、わがままメイ様、家庭的なボクっ娘etc...
性格もプレイヤーが引くような特徴は抑えられ、ギャルゲーとしては文句なしのヒロイン達が
揃っています。

しかしぱずるだまに反映させると、きらめきキャラのような濃い設定がないため、大連鎖の
モーションも非常に地味なものしか作れません。佐倉さんのホームラン、八重さんのアタック
舞佳さんの出前、華澄さんの地味モーションなど、1に比べ地味なモノばかりです。
というか「【誰】の【何】」と明記しないと、誰のモーションかわからない時点で
「【何】」だけで誰か理解できる、きらめきキャラと比べ色褪せている事がわかってしまいますね。

1ぱずるだまでヒロインにツッコミを入れたり、ウザキャラを使い対戦相手をおちょくって
大いに楽しんだ私達からすると、アクが無く優等生の多い2ぱずるだまが魅力無く見えて
しまうのは、仕方のないことなのかもしれません。題材がぱずるだまの時点で、2が1を
越える事は不可能だったのです。


それでも最初に述べた欠点2つが、初代と同じレベルの仕様であれば、まだ十分に遊べたでしょう。
しかし本作はキャラゲーとして、あまりに無味乾燥な作品となってしまいました。
仮にときメモ2を楽しめた人だったとしても、よほど思い入れがない限り、本作は回避するのが
懸命かと思われます。


蛇足1
キャラの魅力を十二分に引き出すのが目的のプライベートコレクションなら
2は1より良質なゲームになったと思います。得意とする土俵が違うだけなんですよね。
とはいえ本作のような手抜き工事をされれば、同じ末路となるでしょうが。