絵柄に似合わず、明るく後腐れのない輪姦・レイプシーンがメインのTSエロゲ。エロに特化した作りですが、性転換中は100％女言葉になるため、TSとしての醍醐味はやや薄めです。Xchange2Rが本作のほぼ完全なアッパーバージョンなので、本作を回避して2のみプレイするのもアリかもしれません。
TSエロゲとして有名なXchangeシリーズの処女作ですが、昨今のゲームと比較すると
さすがにあらゆる面において見劣りします。
まず気になったのがテキスト。どれを取っても全体的に薄味です。
特にシナリオはあってないようなものですね。明日香がなぜ拓也に惹かれたのか、
理由がほとんど書かれていませんし。
エロテキストも総じて薄味。本作はセリフと主人公の一人称的な地の文で構成されている
のですが、地の文が淡々と事実を書いているのみで、女性主人公のエロ小説を読んでいる
ような気分になりました。
わかりやすいのが最初の自慰シーン。興奮や葛藤がほとんど描写されず、普通の
女の子がいつも通りにオナニーしているようにしか見えません。
痴漢やレイプのシーンも同様で、普通の娘相手のケースと書かれ方が全く一緒で、
TS娘との差別化が出来ていないんです。
なんちゃってTSとまでは言いませんが、性転換固有の面白さはほとんどありません。
そしてキャラ。
主人公の可愛さですが、上記のような文体ゆえに、せっかくの女言葉がマイナス要素と
して働いてしまっています。元男としての心理描写がほとんどない上で女言葉を使われ
ると、ただの女子なんですよね。思考も女言葉化なのでなおさらです。
エロゲヒロインとしてはともかく、TS娘としての良さを見出すのは少々難しいかと。
たくや自体は可愛く書かれているので、単純にキャラ萌えするには悪くないと思います。
以上、20世紀ゲーだけあって物足りなさだらけの本作ですが、明るく後腐れのない
陵辱・レイプシーンが多い点は好印象。例によってテキストは薄めですが、そっち系で
質より量を求める方なら、購入しても損はしないかなと。
一方純粋にTS目的の方には、今から遊ぶなら次作の「Xchange2R」をオススメします。
あちらも決して満足のいくクオリティではありませんが、エロやシナリオの薄さや
全体のボリューム、エロのバリエーションでは本作をはるかに凌駕しています。
女体化直後の自慰シーンはありませんが、前作未プレイでも問題なく遊べますので、
そちらをオススメします。
蛇足1
他の方もおっしゃっていますが、本作はノベライズ版の方がエロもシナリオも
クオリティが高いですね。特に明日香絡み。
XChange2も同様に小説のみ読んだのですが、こちらも原作のいいとこ取り＋明日香の
描写が良質で、やはり原作より楽しめました。
Shiftもそうですが、当時のTSエロゲはノベライズ版のが秀逸だったみたいですね。
蛇足2
女言葉はTSスキーからすると日本特有の素敵な言語文化なわけですが、男が女言葉を
使わされる屈辱・羞恥が表現できないと、逆にTSの個性を殺してしまう諸刃の剣です。
たくやの状況がまさにそれ。モノローグなどで「女言葉なんて気持ち悪い／恥ずかしい」
という部分を表現していないため、メリットが殺されているんです。
本作のような文体で進めるなら、男性時の口調をより女性っぽくするなり、逆に男口調
のまま女体化させるなりで対応すべきでした。
個人的に強制女言葉は嫌いじゃないです。むしろ好きです。コトキケイ氏のラノベ
「マヴカレ魔法少女」みたいな一人称とか、いかにもって感じで素敵ですよね。
TSエロゲはこの部分がイマイチ弱いのが残念。1イベントで戻してもいいから是非
入れていただきたいものです。