キャラ同士の掛け合いは格段に楽しくなり、RPGとしても面白さを徐々に発揮し始めています。気力回復の手間やEnter連打の戦闘にはまだまだ改善の余地を残しますが、良い部分を楽しむようにプレイすれば今でも良作に相当します。
物語の規模は前作同様、大作RPGでいうところ1イベント相当です。しかしランスや
シィルを始めとした登場人物達が個性を持ち始めていて、キャラ同士の会話は前作比
ながら格段に楽しいものとなっています。移動や行動は相変わらずのADV形式ですが、
苦手でなければ今でも十分楽しめる代物です。
グラフィックは古めかしくエロもおざなりではありますが、それ以外の会話はおそらく
昨今のADVエロゲとクオリティそんなに変わらないと思います。年代関係なしに普通に
面白い。グラも古いだけでキャラはみんな可愛いですし、個人的には十把の同人RPGや
フリゲーに比べれば十分すぎる内容だと思っています。
RPGとしては大きな欠点が2つ。1つ目は戦闘がボタン連打で勝ててしまうこと。
ただしあえてバランス要素を切り捨てているようで、物語を楽しむため小難しいことを
考えず済むようにしている節があります。クソバランスを逆手にとって、敵もコスト
なしにHP1MP0状態してきたりもするので。
他にもバランスブレイカー気味な調整もちらほら。出現率そこそこのメタスラ系を倒す
だけで十分な経験値が稼げたり、ドロップ宝箱からその時点で最強の武具が手に入ったり。
バランスを捨てる代わりに、プレイヤーのモチベを意識しているのですよね。その作りが
私には大変好ましく思えました。なので一概に欠点とは言い難いかも。バトルは登場する
敵の行動やらで楽しむ感じです。
欠点の2つ目は気力の問題。2~3戦するごとにキャンプで休まないと持たない量で、かつ
キャンプコマンドがやや深いところにあるので結構めんどいです。それとボスが異様に
タフで、気力を回復しながら殴る作業がやはり面倒でした。
こちらもやりたいことはわかるのですけどね。レベルアップや装備向上でローコスト化
すると成長した感が味わえますし、ボス戦も単調な殴りで暇にならないよう、特に
後半戦のボスで工夫がなされてたり。それはそれで達成感や演出面で楽しめたのですが、
その上でなお作業感は意識しました。STAGE4中ボス以外は敵防御と回避率を半減する
ぐらいでよかったかも。
あとゲーム全体の欠点として、オリジナルで遊ぶ場合はFDの枚数が物理的に面倒そう
だなぁと。5枚だか6枚だかになったそうで、その手のゲームを遊んだことのある身と
しては入れ替えの手間や物理的な脆さには共感できます。Win95版以降であれば
それらの問題は解消されているのですけどね。
以上を鑑みて、作業ゲーでシナリオを追うのが嫌いな方でなければ今でも十分良作に
相当するゲームです。特にフリゲーでRPGやADVを追いかけている方にオススメしたい
ところ。あとコミカルなお話が嫌いな方も回避ですかね。シリアスシーンはほとんど
ないので。
シリーズ前作は今プレイすると「当時からすれば良くできている」レベルでしたが、
本作は今の作品としても十分通用するレベル。それを91年に出したのだから人気が
出たのも頷けるというものです。プレイ時間も10時間かかりませんし、ちょっとした
暇の間に遊べるのも嬉しいところ。短編RPGの良さの詰まった作品でした。