ヒロインと二心同体となり主人公メイン時は女体、ヒロインメイン時は男体となる変則TSです。設定やシナリオ的なアプローチは面白いものの無難な結末でまとめられていて、そちら方面への期待は厳しいかなと。エロも未来に生きているというか、斬新すぎて反応に困るものが多かったです。幸い乱交淫乱エンドや親友エンドといったお約束もあるので、そちら方面で使えないこともありません。
飛び降り自殺を試みた幼馴染と激突。外傷こそ軽かったものの何故か女体に。
しかも幼馴染ちゃんの声が脳内で聞こえてさぁどうしよう、的なお話です。主副の
入れ替わるタイミングはランダムで、体に合わせて周囲の認知度も変わる並行世界的な
設定のようです。ロジックが最後まで語られないあたりは抜きゲー風味。
ややこしい設定を細かに説明してくれないため、状況把握が非常にわかりづらいのが難。
加えて女体化主人公ちゃんが主人公扱いで立ち絵なし。前作『女体淫姦』は主人公が
女体なら立ち絵はあったのに、これはかなりのマイナス点。1枚グラでいちおう姿形を
確認できるのですが、それでもキャラクターが掴みづらかったです。
エロも設定に合わせて変則的なものが多々。特に脳内幼馴染ちゃんのルートは変則的
でした。明晰夢の中でエッチしたり、女体主人公がオナってる時に「喘ぎ声よろ」と
幼馴染ちゃんにお願いしたり。間隔共有してないのに無茶振りにもほどがあるw
男体ヒロインちゃんが他ヒロインとヤっちゃう場面も。お話的な見せ場として用意されて
いるのですが、エロ的にはちょっと誰得で残念。
んじゃお話は面白いのかというとこれまた微妙。好きだったけど女体化した主人公に
戸惑う委員長ルートや、二心同体ゆえの悩みが展開される脳内幼馴染ルートなどは、
アプローチ自体は斬新かつ面白いものがありました。しかし落着はいずれも無難かつ
どこかで見たようなオチ。ちょっとオススメしづらいです。
わかりづらい設定を使ってやりたい何かは伝わってくるのですよね。しかし問題提起
した時点で満足してしまい、解決や決着には注力されていないように見受けられます。
面倒な状況ならではの妙が結末に用意されていない。抜きゲーなのにエロシーンを
殺しただけのリターンが読み手に返ってこないのです。
結果抜きゲーなのにわかりづらい設定と、TSスキーでも扱いに困ってしまうような
エロだけが残る微妙な代物に。ニッチジャンルゆえのユニーク試みは評価したいの
ですけどね。好印象とはなりませんでした。
親友にモブ男乱交、レズ教師調教に幼なじみ2号とルートは多数かつ王道を抑えた
内容も多く、一般的なTSモノとしてのシチュも用意されてはいます。が、決して
ロープラTSエロゲの枠を超えるものではなくシーン自体も上質とはいい難い。なら
良質なロープラ作品で十分なのですよね。
以上、「アプローチは面白いがまとめきれておらず、結果エロもシナリオも煮え
切らない中途半端なTSエロゲ」というのが私の評です。品薄なのか妙にお高いですし、
あまりオススメはできません。独特なアプローチを見たい方は購入してみるのも
アリかも。