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amaginoboruさんの艦隊これくしょん -艦これ-の長文感想

ユーザー
amaginoboru
ゲーム
艦隊これくしょん -艦これ-
ブランド
角川ゲームス
参照数
365

一言コメント

単なる擬人化美少女の育成モノかと思いきやゲーム部分はなかなかに硬派。勝率を上げるための試行錯誤を楽しむゲームで、本質はローグ系に近いものがあります。インターフェース以外はクオリティの高い良作ですが、一方で美少女ゲームとして楽しむには二次作品による補完の欠かせないギャルゲーです。

長文感想

本作は旧日本帝国海軍の軍用艦艇を擬人・美少女化したゲームで、ヒロインのレベルを
上げることで各海域のボスを撃破し進む、いわゆる育成ゲームに相当します。ただ
コンシューマゲームに比べて時間や資源の制限が厳しく、各収支をコントロールする
経営シミュレーションの一面も持ち合わせます。プレイヤーからは兵站ゲーとも呼ばれて
いますね。

といっても要は遠征・任務報酬で得た資源を用いて出撃・練成を重ねるだけ。資源が底を
ついても微量ながら自然回復するため手詰まりもありません。それに時間・資源の制限が
厳しいといってもあくまでコンシューマゲームと比較した場合の話。モバゲーを含む
オンラインゲームとしては異例の緩さで、ゲーム進行のために課金を強いられることも
ありません。このあたりは非常にユーザフレンドリーで好感が持てます。


そして肝要の攻略要素ですが、本当に素晴らしいクオリティですね。自身初のブラウザ
ゲーで先入観から「グラや音楽は良くてもゲーム要素は温くて適当だろうな」と鷹を
くくっていたですが、見事にしてやられました。

昨今のゲームは数多のシステムを並べて「好きなのを使ってね」な作品が主流ですが
本作はその真逆。各要素に厳しめの制限が規せられています。ルート固定のための
艦種制限、制空確保による攻撃機の制限、重量による装備の制限などを加味して編成を
組み、使える手札で試行錯誤する楽しさ。近年の作品では稀に見るタイプのゲームです。

それでいて縛り過ぎないバランスもまた見事。大抵のマップでは解法が複数用意されて
おり、自分の艦隊に合わせた攻略ができるように配慮されています。通常海域ですと
2-5や3-5、5-3のバランスは実に秀逸ですね。もちろんガッチリ縛ったマップもあって、
両者が程よく内在しているからこそ、プレイ側も飽きずに挑戦できる楽しさがあります。

そして期間限定で開放されるイベント海域は、日ごろ鍛えた艦隊の力を試す絶好の機会。
難易度も歯応えのあるもので揃えられており、プレイヤーの挑戦意欲を程よく刺激して
きます。平時は通常海域で艦隊を鍛え資源を備蓄し、イベント開催時にそれら全てを
解き放って挑戦する。それが本作の要点であり面白さです。

ですが攻略するための情報は基本公開されず、運営ツイッターなどで仄めかされるのみ。
多くのオンラインゲームがそうであるようにプレイヤー側で攻略情報を持ち寄せ、あるいは
検証し最適化をはかり続けています。運営曰く「緩やかなソーシャルによる手探り感(意訳)」
とのことですが、この辺を大事にしてくれるのも嬉しいですね。今も昔もみんなで情報を
持ち寄って攻略するのは楽しいものです。


ですが欠点も当然ながら存在します。例えばルート選択のためのルーレット。完全に
運任せでプレイヤーの介在する余地がありません。それも一定度までなら我慢もできますが、
あまりにも配置されすぎでイライラすることも。とはいえここ最近実装されたマップ
ではルートをある程度コントロールできるようになり、徐々に改善はなされています。

あとは運営による特定ヒロインへのご贔屓ですね。そういうのは大なり小なりあるもの
ですが、ちょっとこれは・・・と思う娘がちらほらと。おそらくすぐサービス終了する
だろうことを見越してだったんでしょうけどね。未だ調整失敗している艦もありますし、
オンラインの特性を生かし適宜修正していただきたいところ。

それと欠点ではないのですが、美少女ゲームとしてはちょっと残念なクオリティ。
というのも絵があり声があるだけで、それ以外の要素はほとんどありません。
あくまでゲーム主体。主役が女の子なだけです。

というかヒロイン個性は二次創作で補完するのがいいかもしれませんね。運営自体が
キャラ付けや設定を二次創作家にアウトソーシングしているようなものなので。
ゲームはゲームとして遊び、萌えやエロなどは薄い本やネットでの創作活動で楽しむ
のがベストかもしれません。


以上、美少女ゲームとしては微妙だが育成・戦略シミュレーションとしてはバランスの
取れた良作。それが私の評です。難しすぎるというユーザの声をよく聞きますが、美少女
モノとして楽しむなら本編は触り程度にプレイし、あとは二次作品で補完すればOKです。
真面目にやると時間も大幅に取られますし、確かに易しくはないゲームなので。

逆にゲーム要素、それも突き詰めて成功率を上げるタイプのゲームが好みの方には
なかなかやり応えある作品です。少々難易度の天井が低いものの、それでも1年前後は
遊べる内容ですので。無料でもある程度までは不自由なく遊べますし、オススメです。



◆蛇足1
ギャルゲーとしては微妙といいつつ、私自身も五月雨や涼風、綾波などにお熱を上げて
プレイしてはいます。でもそれってゲーム内のキャラが期待に応えてくれたり、長い間
ユニットとして使っていたからこそなんですよね。だからたとえキャラが男だったと
しても同等の愛着は持ったと思います。

対して美少女ゲームは書籍やアニメのようにヒロインの魅力そのもので勝負してきます。
たとえゲーム要素混じりだとしても難易度はそこそこに、インターミッションや
カットインなどでヒロインの魅力を振り撒いてきます。が、本作にはそれがほとんど
ありません。

ただ「艦これ」は先に書いたとおり、二次活動家に半ばアウトソーシング的な形で
ヒロインを提供し、逆に本編へもキャラ付けとしてフィードバックしています。だから
二次作品から入った新規ユーザは、さも本編のキャラたちが美少女ゲームとして魅力的で
あるかのように錯覚しています。そして既存のプレイヤーも釣られる形でヒロイン個性を
二次設定のそれに固定される。結果ヒロイン個性が公式のものとされています。ユーザ同士の
共有をうまいこと活用しています。

これ、著作物の無断利用というデメリットこそありますが、なかなか見事な手法ですよね。
「東方」に代表される大手アマチュア作品の好例を上手く商品化したなと。
二次設定のフィードバックに明確なライセンスを設けていないのは不安要素ですが、そこは
露骨な利益回収を見せない運営スタイルが指摘させない環境を作っていますね。
ゲーム市場の縮小に対し二次創作の市場が拡大している今、本作の運営スタイルは評価
されて然るべきかと思います。

ただ市場規模が拡大しすぎて、本家の良さ(=ゲームバランス)が潰されそうなのは少し
心配です。私としては歯ごたえの部分は残しておいて欲しいのですが、昨今のイベント
難易度をみると、それもちょっと難しいかもしれません。15冬イベ程度でも難しすぎる
という声上がってましたから。13秋・14夏イベレベルかそれ以上の鬼畜海域、プレイして
みたかったのですけどね。



◆蛇足2、というか補足
ゲームバランスがいいと述べましたが、成功と報酬が約束されたゲームを至上とされる
方には運ゲーでありダメゲーです。「ボスや裏ダンジョンが異常に厳しいけど特定の
準備と手順を踏めば必ず倒せる」的な難しさをお求めの方は要回避で。なんで最強艦隊
なのにボスが確実に倒せないんだ!ってストレスを溜めちゃいますので。

「最後は運ゲーだけど成功率を上げるための試行錯誤やミス防止を突き詰める」方向性を
お求めのプレイヤーさんにオススメできる作品です。他のゲームだとローグ系、いわゆる
「不思議なダンジョン」シリーズに方向性は近いかも。あちらも知識と手間と注意力を
結集させて突破率を上げるゲームですからね。



以下イベント別所感。イベごとにぽちぽち増やしていく予定。



◆発動!渾作戦(2014/11/14 ~ 2014/12/01)
全4海域で出撃制限(以下お札)は2つ。高難易度だった前イベントの影響か全体的に
低難易度に調整され、ドロップや報酬も大変豪華。プレイヤーにとても優しいイベント
でした。逆にいえば、歯ごたえを求める提督には物足りない内容ということにも。
着任1ヶ月ちょいの提督でも掘りの余力残して完走できるほどでしたから。
(後から考えると、15冬の鬼難易度に備えておけよ、という運営の警告だった?)

低難易度ということでゲーム的な面白さは少なかったイベントですが、そんな中
E-3で複数の攻略法を提示していたのは良かったです。妙高・羽黒や能代・島風を
セットで投入することで楽なルートを選べましたし、あきつ丸でも代用が可能。
未所持の人でも航空戦艦を基幹に組めば北ルートでやはり良質な航路が取れましたし、
最悪全部持っていなくてもランダム羅針盤で対応可能と実に良バランス。運を上げる
まるゆのドロップ率も歴代トップと、掘りのとても楽しい海域でした。

私は当イベントからの参戦で、慣れない連合艦隊やお札制限にてんやわんやの状態
でした。それでもE-3までは無理なく突破し、E-4もE-2で大淀(艦隊司令部)をゲット
してから挑戦し制覇と上々の内容。とっかかりやすいイベントが起点となったのは
ラッキーでした。

目玉報酬だった秋月とPrinz Eugenを獲得できたのも運が良かった。2人とも後の
イベントでキーパーソンとなるほどの活躍を見せてくれるとは、当時は思っても
みませんでした。



◆迎撃!トラック泊地強襲(2015/02/06 ~ 2015/02/23)
全5海域で出撃制限なしですが、難易度は過去最高といわれる13秋・14夏と比肩しうる
難関イベントでした。その主因が最終海域の鬼畜ボス編成。いわゆるトリプルダイソンも
さることながら、最弱が重巡ネ級eliteという硬さが実にエグい。難易度選択が初めて
取り入れられたイベントですが、熟練提督には甲難易度の難しさをとことん叩き込んで
くれました。

道中の海域も総じて高難易度で非常に歯ごたえある内容だったのに、理不尽な難しさは
何一つとしてない大変見事なゲームバランスでした。クリア後の掘りは厳しかったです
けど、そこは丙に落とすなり次回狙うなりで。

面白かったのはやはりE-5のトリプルダイソンですね。決して運だけに頼るゲーム
バランスとはなっておらず、適切な知識による艦隊運用を心掛けた提督のみが突破
できる調整具合。上質な高難易度と呼ぶにふさわしい出来栄えでした。

同じく上質な高難易度だった14夏E-6とは方向性が違うのも素晴らしい。あちらは残った
手駒でやりくりする難しさだったのに対し、15冬は手持ちの全戦力から最適解を探す
難しさでした。半年の間にベクトルの異なる難しさを提示できた運営の手腕は評価されて
しかるべきだと思います。
(余談ですが、私も14夏イベは経験したかったです。E-6の素敵すぎるバランス調整は
 プレイ動画を見るだけでも面白さが伝わってきますから。)

他にも道中の戦艦2隻複縦陣をいなすE-2、6隻で空母棲姫&戦艦ル級改と相対するE-4と
高難易度ながら考えられた海域の多かった15冬イベは本当に楽しかったです。難しいのを
好まない提督さんにも難易度選択で楽しく遊べるよう調整されていましたし、あらゆる
面でクオリティの高いイベントでした。

私はというと、着任4か月強ながらイベント開催の翌日(2/7)には無事に甲攻略を完了
できました。人の攻略に頼らず自力で15冬を突破できたのがちょっと嬉しかったです。
朝霜掘りには失敗しましたがw



◆発令!第十一号作戦(2015/04/28 ~ 2015/05/18)
全6海域でお札3つですが、前回とは打って変わってとても穏やかな難易度に。ドロップの
ラインナップや報酬の豪華さも合わさって、多くのユーザに好感を与えたイベントの1つ
ではないでしょうか。高難易度を望む提督には物足りない内容でしたが、次回が厳しいのは
すでに予想できていましたし、準備運動としてはちょうどいい難易度だったかなと。

ゲーム的な面白さがあったのは情報未収集状態でのE-5ぐらいで、他は甲作戦でもいつも
通り遊んでいればクリアできる内容。クリア後は好きな海域でお目当てのキャラを狙う
緩やかなプレイを楽しめるイベントでした。なので個人的にはちょっと物足りなさが
あったり。とはいえ酒匂や磯風、雲龍といったレア艦をあらかた揃えられたので満足感は
ありました。

当イベントで改めて感じ得たのが、艦これは機を見つけ逃さないのが本当に重要だと
いうこと。ドロップ率が総じて高く、明石・大鯨・伊401と15冬新規艦以外、すべての
レア艦が楽に獲得できた15春イベこそ、持てる資源全てを使い戦力増強を図るべき
イベントでした。逆に15冬のような掘りの厳しいイベントは、無理して新規艦を獲得
しない方がかえって自分のためなんですよね。

過去にもアルペイベや14秋イベなど、いわゆる「稼げる」チャンスは幾度も提示されて
います。これら好機を捕まえるためにアンテナを高く張り、情報収集を丁寧に行うことが
楽に戦力を充実させる方法なのでしょうね。そんなことを改めて実感させてくれた
イベントでした。



◆反撃!第二次SN作戦(2015/08/10 ~ 2015/09/07)
全7海域でお札4つと過去最大の規模を誇る難関イベントですが、今までの局所的な
難易度はそのままに、最終海域に到達するまでの難しさにも配慮された実に鬼畜い内容
でした。E-3,E-4の時点で前回の最終海域をはるかに超える難易度が登場するとは誰も
予想していなかったでしょうね。消費する資源や高速修復剤の量も圧倒的でした。

最終海域は敵戦力・羅針盤・装甲破砕ギミックと難所を各要素に散らしたバランスで、
自戦力と知識の運用だけで勝てた過去難関海域とは一線を画す内容でした。ゆえに前回
とは真逆で、ユーザの不満が噴出したイベントでもありましたね。過去の難関3イベント
との単純な難易度比較がしづらい海域です。

ただ私的には0時リセット以外はありかなーと思ってたり。ランダム羅針盤も艦これの
特徴ですし、年に1度ぐらいならOKな感じ。ただギミックに不満はありませんが有用性
には疑問を持っています。現状ただのゲージ割り増しなので。リターンを工夫しないと
撃破する回数が増えるだけの微妙な仕掛けにしかならないのでは。

とまぁE-7もそこそこ楽しめましたが、最もクオリティが高いのはE-6かなと。難しい
ようでその実、基本をしっかり押さえた提督さんなら苦もなく攻略できるんですよね。
十分な備蓄と練度、艦載機運用力、適切な装備と編成などの各種基本を問うてくる
とても丁寧に作りこまれたマップです。ここで苦戦するということはどこか間違えた
運用をしているわけで、自分の粗を探すには最適です。14夏E-6やEO海域の3-5に匹敵
する、とても完成度の高い海域でした。

E-4も素晴らしいマップでしたね。悪夢と呼ばれる13秋E-4のリメイクマップですが、
ランダム羅針盤とゲージ回復を排除しバランス調整した結果、歯ごたえを感じながら
不快感のない良マップの一つへと昇華されていました。特にゲージ削りと破壊時で
最適ルートが変わり、そのどちらもが絶妙なバランスで調整されていたのが素晴らしい。
攻略するのが楽しい海域でしたね。ゲージ破壊時は15回ほど追い返されましたがw

またE-5の配置にはさりげない優しさを感じます。難関海域に挟まれた唯一の癒しとも
いえる低難易度な海域は、プレイヤーが一休みする場として上手く機能しています。
鬼畜マップの中に穏やかさを配置するその心配りは、今後もぜひ続けていただきたい
ところです。

なお個人戦果ですが、仕事の関係上クリアできたのはイベント初週末でした。代わりに
ドロップ艦3隻をきっちりコンプできたので、これはこれで満足です。E-7はE-6風雲掘り
から通して1日で終わったので、多分苦戦しなかった方ですね。ラストはPrinzのスナイプ。
4択からの魚雷カットインワンパンでした。まだ試行段階で編成もグダグダだったのですが
運よく刺さってくれました。



◆突入!海上輸送作戦(2015/11/18 ~ 2015/12/07)
全5海域でお札は2つ。イベント11回目にして初の駆逐艦・軽巡洋艦が主役のイベント
でした。ですがそのクオリティは残念ながら歴代最低といわざるを得ません。
新システムとして導入された輸送ゲージは決して悪くない発想だと思いますが、それを
利用した海域の作り込みが足りていません。

E-2では史実を大事にするあまり異常に厳しい史実艦縛りが発生。E-3は初の連合輸送
艦隊でしたが、第1艦隊は無力な駆逐艦がワンサイドで殴られるだけのストレスが貯まる
仕様。そして本来駆逐艦が得手とするはずなのに巡洋艦のが有効打を与えやすい魚雷艇・
PT小鬼群の存在。小鬼に関しては調整ミスで有効打がない状態で実装されてしまい、
先行攻略していたプレイヤーに被害を与えてしまう失態まで起こしてしまいました。

では制作陣の質が落ちてしまったのかというと、E-4やE-5を見るかぎりではそのような
ことはないと思います。E-4は従来通りの艦隊戦で水上打撃・機動部隊共にメリットと
デメリットのあるバランスいい作り。E-5はE-2と同じ史実艦ルートを用意しながらも
それを使わずとも難易度に大きな差異の出ないバランス(後述します)。難易度も総じて
抑えめで過酷な夏イベ後の後半マップとしては十分な内容です。

結局今回はスタッフのテストプレイが足りていなかったのだと想像します。E-2は
丙作戦なら縛り対象艦を拾ってクリアできる難易度ですし、甲作戦は育てていなかった
プレイヤーの手落ちということでまだ納得できます。最悪ランダム羅針盤と勝負すれば
いいわけで。

でもE-3はこれ完全に「資源を払って突破するイベント」ですよね?第1艦隊用の高速
修復剤と支援砲撃用の資源を捻出すれば誰でもクリアできるようになっている。同じ
資源を消費する海域でも、過去のようにプレイヤーが考えないと資材を無駄に消費する
作りになっていません。関所の通行料でしかない。しかも第1艦隊がボコられるだけの
ストレスフルな仕様。ゲームではなくただの苦痛な作業です。今回の問題点を洗い出し、
次回のイベントに生かしていただきたいところですね。

ここまでけなしておいてアレですが、私的には存外楽しめたイベントでした。
E-2メンバーは全員育っていましたし、神通は主力オブ主力でしたので。E-3も貧弱な
第1艦隊を鈴谷が懸命に応戦、大活躍してくれたりと見所満載でした。E-5も久しぶりの
水雷戦隊で満足。軽1駆5の夜戦3戦ルートで問題なくクリアしました。駆逐レベリングの
マスもありましたしほとんど不満はなかったりして。プレイヤー側のE-5の扱いぐらい
でしょうか。

E-5はE-2と異なり、史実艦とそれ以外で決定的な差の出ないマップです。夜戦3連とは
いえ難所は実質2戦目のみで、そこは史実ルートと同じ場所。他は難易度に大した差は
ありません。なのにE-2での理不尽な差異と「夜戦は難しい」というプレイヤーの思い
込みが夜戦ルートを忌避させています。ここは逆にプレイヤー側、特に熟練提督が食わず
嫌いをしている悪例ですね。良バランスを様々な要素が隠してしまった惜しい海域です。



◆出撃!礼号作戦(2016/2/10 ~ 2016/2/26)
全3海域でお札なしと13冬以来の小規模作戦。運営通達では高難易度との発表でしたが、
ふたを開けてみればバランスの取れた非常に楽しいイベントでした。

最も評価するべきは15夏および秋の反省を生かしている点でしょう。史実艦縛りは
5隻中4隻でOK。持っていなくても別ルートが用意されておりそちらでも難易度抑えめ。
「持ってなかったらフラリカットイン!」な15秋E-2とは大違いです。

連合輸送艦隊も道中およびボス敵が水雷戦隊で戦えるレベルになり、純粋に楽しめる
ように。潜水艦マスが不評ではありますが、私的にあのままでいいと思います。司令部で
退避させれば済む話なので。練度やソナーを充実させればそこまで被弾しませんし。

15夏で不評だった海域間の任務にもひと工夫が。報酬は勿論のこと、最終海域の報酬艦が
チラリと見えるサプライズが。細かいところですが、こういった演出はちょっと嬉しい
ですよね。報酬の中口径砲はアレでしたけどw

こうして過去の不満を反映させてくれた本作戦は、ストレスを貯めることなく楽しむ
ことができました。難易度が抑えられたおかげで掘り作業も楽しめるレベルですし。
ラインナップもかなり豪華で、低難易度をご希望の提督さんには最高のイベントだった
と思います。

また古参提督には敵最強艦隊と全力で戦える最高の舞台が用意されました。ルート固定と
ランダム羅針盤なし、弾薬ペナルティなしで行われる重量部隊同士の殴り合い。
大和型・長門型を一堂に会し戦わせる楽しさはこの上ないものでした。難易度は抑えめで
考える要素は少なかったのですが、それを補って余りある爽快感を味わえました。

同時に甲作戦に初めて挑んだ新任・中堅提督さんにも優しい最終海域でした。低難度
といってもそれは過去最高難易度に比べての話。15春や15秋などよりはよほど厳しい
戦いになりますし、戦術のセオリーを知らなければ無駄に資源を浪費する羽目に陥り
ます。

各艦隊と装備の運用方法。予測ダメージの算出と対策。用途に合わせた艦娘の起用など、
高難度海域では必須となる知識と経験を蓄える絶好の機会です。16夏を突破するのに
足りないものは何か。向こう6か月の課題と対策も浮き彫りになります。ステップアップ
の土台とするにはおあつらえ向きの海域だったのではないでしょうか。



◆開設!基地航空隊(2016/5/2 ~ 2016/6/1)
全7海域でお札は4つ。難易度こそ高くはないものの資源消費量は過去最大。
新システム『基地航空隊』を始めとして資源削りの要素が多く、備蓄不足に
泣いた提督も多かったのでは。

またバグも大小多数ありこちらも過去最大。ベータテストといわんばかりの
不具合ラッシュで酷いクオリティでした。資源に泣かされバグに泣かされ、
総合的な完成度は歴代最低といわざるを得ません。

個人的にはバグ関連は仕方ない一面もあるかな、とは思います。むしろハード
スケジュールの中、今まで本イベントレベルの不具合・バグをよく起こさなかったなと。
それにやってしまったことは仕方ないですしね。次回で挽回してくれることを期待
します。以降もこのクオリティならちょっと考えますが。

しかしゲーム要素に関しては容認できません。今回本当に面白くなかったです。
「面白い!」と感じたマップは一つもありません。15秋ですらE-4,E-5は良バランス
だったのに、16春は0です。全てが微妙でした。

悪名高い15夏イベですらE-6は自身の腕次第で難易度の変わる良海域でした。E-4も
高難易度ではありますが、ルート変更ギミックや13秋からのエンタメ的な面白さが用意
されていました。しかし今回は皆無。資源を払ってお祈りして、長い長い海域攻略を
淡々と消化する苦痛だけが印象として残りました。見事な駄イベントですね。


失敗した理由としてはまず「プレイヤーが干渉できない部分への攻撃が多すぎる」
ことが挙げられます。敵潜水艦からのワンサイドアタックや防空の効力がない基地空襲、
エリツの対空迎撃などですね。

個々を見れば容認できるものでも複数用意され、かつ全てからペナルティを受けると
あっては面白くありません。なのに打てる対策は備蓄に反復出撃、熟練度付けだけ。
結果備蓄ゲーサイコロゲー反復ゲーを強く印象付けてしまっています。

別に対策を用意しなくても、同一海域に複数要素を配置しないだけでも印象は大きく
変わります。潜水艦マスがあるなら空襲はない、などと集中配備を避けていればここまで
不満も大きくならなかったかと。プランナーの方にはプレイヤーへのストレス負荷を今一度
見積もり直していただきたいです。

次に「テンポの悪さ」が挙げられます。連合艦隊に空襲エフェクト、準備にキラ付けに
熟練度付け。1出撃に通常海域の3~5倍ほどの時間を要しています。プレイヤーの疲労は
攻略海域数が多いことよりも、1戦にかかる準備からのものが多かったのではない
でしょうか。

キラ付けには時短アイテムが用意されているため不問としても、空襲エフェクトや
熟練度に関してはどうすることもできません。エフェクトOFF機能や課金アイテムなど
何がしか対策を講じなければ、いくら無料ゲームでも人は離れていくだけでしょう。

プレイヤーは18歳以上で、お金より時間を求めるプレイヤーも決して少なくありません。
そしてゲーム自体も、13年当時のようなシンプルでテンポのいいゲームではありません。
現行システムにあったプレイヤーへの負担というものを、今一度考え直す時期ではない
でしょうか。

以上の2点がシナジー効果を発揮した結果、多くのプレイヤーが不満を抱えたのかなと。
ゲーム性よりシステム。面白さより快適さに課題を残したイベントでした。今後さらに
煩雑化するであろう「艦これ」に対し、どれだけプレイヤーの負荷を軽減できるのか。
運営が問題点に気づき対応してくれることに期待したいと思います。

ぶっちゃけ稼ぎどころだと思うんですけどね。熟練度やエフェクト機能売れば儲かりますよ?



◆迎撃!第二次マレー沖海戦(2016/8/12 ~ 2016/8/31)
全4海域と13年以来の中規模夏イベントですがお札は3つ。難易度が抑え目な一方で
ボスが揃って水着バカンス仕様。味方の水着姿も相まって実にキャラゲーらしさの
溢れるイベントでした。

新要素はなしで、前回イベントの基地航空隊と陸上攻撃をリチューンした内容。
バグや不具合もなくメンテナンスも30分遅れとはいえほぼ定刻で開始。「反省」が
実行されていたのはお見事でした。(それが当たり前なのはさて置いて)

16春イベの問題点として私が指摘した「プレイヤーが干渉できない部分への攻撃」
にも対応策が取られていました。「防空」が機能するよう調整されたこと、そして
イベント前に先行実装された先制対潜爆雷は、空襲と潜水艦という2つのストレスを
かなり軽減できていました。

ドロップを見ても新規艦のドロップ率は決して低くはなく周回も容易。特にE-1の
伊26・まるゆ・あきつ丸とE-2のプリンツオイゲンは様々な意味で大人気。他にも
A勝利ドロップも多数配置されたりと、多くの方が取得できる環境で提供されたのは
久々ではないでしょうか。

とまぁ15春以来の良イベントとも呼べる内容ですが、16春イベもう一つの問題点
である「テンポの悪さ」に関しては一切調整がなされませんでした。空襲は相変わらず
カット不可、熟練度アイテムも用意されず対応策もありませんでした。

加えて今回の最終海域はマップが長丁場でボスまで最大11マス。最短でも8マスで、
とにかく戦闘が多い。基地空襲もあって一周にかかる時間は過去最長です。敵戦力
ゲージも長く、中難易度にもかかわらずクリア時は疲労感でいっぱいでした。

続く秋イベントでは更に新システムが追加されるとのことで、1プレイの長時間化が
想定されます。昔のようにとはいいませんが、よりシンプルかつコンパクトにしないと
ユーザに負荷をかける一方ではないでしょうか。

本イベントは、E-3までの遊びやすさとE-4の微妙ぶりが極端だったように思います。
前回よりははるかに良好ですが、それは前回が酷すぎただけで水準としてはようやく
平均かやや下ぐらいです。その辺りの調整は次回に期待といったところでしょうか。



◆発令!「艦隊作戦第三法」(2016/11/18 ~ 2016/12/7)
全5海域でお札は4つ。見た目は中規模ですが、後半はいずれも長丁場で事実上の
大規模作戦でした。資源消費量だけ見れば確かに中規模ですが、過去イベント海域と
同じ感覚でプレイすると時間がおっつかなくなる可能性も。これを当初は2週間で
攻略しろとのお達しだったわけで運営さんテストプレイしてくださいまじで。

しかし内容に目を向けるとかなりの良バランス。通常艦隊マップが主体でテンポよく、
難易度も過去のイベント海域から一捻りした内容ばかりでした。E-2,4の潜水艦に
よる攻勢やE-5のギミックラッシュ、輸送作戦も輸送量・到達率・ボス撃破率が編成
単位で絶妙に調整されており、過去の同作戦とは一線を画す面白さがありました。

またE-4で久方ぶりに通常艦隊の高難易度マップが用意され、歯応えをお求めの
提督さんにも嬉しいイベントでした。適切な装備と編成が組めれば一気に易化する
調整も絶妙。上質な高難易度マップという点でも久しぶりだったような気がします。
通常海域なら4-5、イベントなら15冬E-5以来でしょうか。

逆にE-5はギミックだらけで時間はかかりますが、パズルを解けばボス戦では無双
状態。強敵相手に俺Tueeeできる、これまたプレイヤーに嬉しい調整でした。その分
解除条件は厳しめでしたが、うちいくつかを解除すれば容易に突破できるよう調整
されていたのも好印象。難易度と面白さを両立した、歴代でもトップクラスの
良イベントでした。


長いスパンで俯瞰してみると評価ポイントが2つ、不安要素が1つあります。

まず評価点から。1つ目は複数ルート・編成による攻略経路が多くのマップで取り
入れられた点。E-1は戦艦や軽空母の有無。E-2なら軽量編成と空母編成。E-3は
史実艦と駆逐多数。E-4は輸送・殲滅の両方で様々な手段が用意され、E-5も燃料と
編成の重さが良バランスで取られていました。

最近のイベントは大体編成が固定されていて、考える余地がなかったのですよね。
大正義の編成が必ずあって、みんなそれを真似すればクリアできました。ですが今回は
出撃制限を厳しくした一方でどの海域も複数の答えが用意されていて、そこから自分の
艦隊に見合ったルートを組めた。大変喜ばしい、歓迎すべき調整でした。

とはいえ大正義編成も、それはそれでアリだと思うのですよね。要はバランスの問題で、
どちらも片方だけでは飽きてしまいますから。16年冬~夏イベントは準備ばかり重視
されて、考える要素を取っ払ったイベントばかりでしたからね。今回でようやく思考の
余地が戻ってきて、以後の展開にも希望を見出すことができました。


2つ目はゲームテンポの調整。3か月ぶりに復帰したら戦闘むっちゃ早くなってて
ビックリしました。戦闘開始からリザルトまでがコンマ秒単位で調整されていました。
航空戦後の開幕雷撃も弾着実装前の速度にやや戻りましたよね。ウェイトがかなり
短くなってました。

そのストレスフリーな仕様変更も然ることながら、運営さんがユーザのストレスを
意識されているのがわかったこと。これが非常に大きな収穫でした。肥大したゲーム
システムに速度が追い付いていない点、ちゃんと見てくれてたんだなぁと。16春イベ
から言い続けていましたが、応えてくれたことが本当に嬉しかったです。


不安点は空母の艦戦キャリア化。せっかく熟練度システムで攻撃機を満載にできた
のに今回のイベでは15春以前のバランスに逆戻りしています。とはいえ今回は防衛戦
です。防空を意識したバランスになるのは必定といえます。

しかし以降のイベントでも同様の制空バランスを取られてしまうと、昔の空母が置物
だった時代に戻ってしまいます。敵の対空システムが向上しているだけに悪化する
可能性すらあります。

たまたま今回が防空意識の高いイベントで、結果そうなっただけならいいのですが。
慣例化して過去の悪習が復活してしまうのだけは避けていただきたいところです。



◆偵察戦力緊急展開!「光」作戦(2017/2/11 ~ 2017/2/28)
全3海域でお札は2つ。偵察機を解体・輸送する特殊作戦があったものの難易度は
抑えめ。というか易しかったですね。規模も予告通りの小規模で、誰しもが手軽に
取り組めるイベントでした。

最終マップの最高難易度でもレア艦レア装備不要。お手軽に倒せるラクチン仕様で、
初めて甲種勲章を取れた方も少なくないのでは。具体的には金剛型4に高速軽空母2、
雷巡2がいれば勝ち確です。道中もここ最近にしては温情配置で、最低限を揃えて
いれば司令部を使うことなく攻略可能でした。

熟練プレイヤーにはE-2が楽しめたのではないでしょうか。輸送部隊と攻略部隊から
選択できる輸送マップで、輸送量・道中突破兵装のバランスを求めるテクニカルマップ
でした。しかし決して高難易度ではなく、煮詰めるほど難易度が下がるタイプの仕様。
「純粋にゲームを楽しみたい方用の海域」という印象を受けました。

どのルートも対潜・対空・火力・輸送と全てのバランスを要求してきますからね。
詰めるほど難易度が下がるのが実感できて大変面白かったです。逆にその辺を意識
しなくても輸送ゴリ押しで突破できる調整もまた秀逸。最悪難易度を落としても
全てのアイテムと勲章は獲得できますし、よく練られた良質なマップでした。

ただそれを楽しめるだけの兵装を揃えるのは正直かなりの労力を要します。特に
対潜は上を見ればLV上限解放の駆逐艦を数隻要求されるレベル。大よそ万人向け
ではありません。繰り返しますが、別にやらなくても突破はできますしね。本当に
ゲームを楽しみたい方だけが楽しめるマップだと思います。


一方で問題点としてはまず、全体的に単調なこと。E-2はごり押しが可能。E-3も
ユニクロ編成が大正義で、E-2をユーザ側が積極的に楽しまなければ単調な作業
だけで終わってしまうのです。

前回はE-4甲乙が複数選択肢の高難易度で、自分なりの最適解を模索することを運営側
から強いられました。結果がんばったプレイヤーは達成感を得られ、最悪失敗しても
低難易度で攻略できる良バランスでした。今回はそれがない、というわけです。易化を
目指した結果なので善し悪しではあるのですけどね。

あと易しくするならしたで、もっと飴を与えても良かった気がします。というのも今回、
大型艦のドロップが一切ないのですよね。レアは国内駆逐・潜水艦・軽巡・水上機母艦
のみで、雲龍型や海外艦が一切皆無の渋ちんっぷり。海域報酬も図鑑用の代物ばかりで、
後続ユーザには旨みの少ないイベントでした。

ベテラン勢はU-511や伊26が出ますし不満も少ないと思うのですが。せめて1年間
ドロップのないグラーフ・ツェッペリンぐらいは用意しても良かったんじゃないです
かね。(16春E-6は論外。あんな場所でS勝利限定とか気狂いにもほどがあります。)

用意しないなら用意しないで、大型建造へ落とすなりの配慮は欲しいところ。
いくらレア艦だからって渋りすぎです。17春の難易度は暴騰するでしょうが、
ドロップも4周年の名にふさわしいラインナップとなることを願うばかりです。
私個人としてはあまり関係のない部分なのですけどね。



◆出撃!北東方面 第五艦隊(2017/5/2 ~ 2017/5/22)
全5海域でお札は4つ。ダブルゲージが3海域もありギミックも2海域。16秋の
ような中規模詐欺かと思いきやゲージ体力が少なく設定されており、総合的
には程よい分量だったかなと。

1海域を1艦隊で使い切るのではなく、複数の艦隊に別の目的地を作ることで1出撃を
短くテンポ良いものに仕上げていました。1工程進めたところで「今日はここまで」と
区切りよく遊べますし、歓迎すべき調整ですね。いい仕事をしています。

それでいて最終海域は撤退リスクの高い調整がなされているのがまた上手い。機動
部隊は会敵回数が多い上にいずれも曲者揃い。水上打撃部隊なら交戦数こそ少ない
ものの、初手に潜水艦隊を配置することで同程度の足止めが。久しぶりに強めの
ラスボス攻略も含め、問題点の洗い出しと対策がしっかり求められる難易度でした。

基地航空隊も手馴れてきたのか、無理なく楽しく運用できるバランスでこちらも
好感触。護衛の戦闘機をつけるのか、攻撃機のみで押し込むのか、航続距離が足りない
なら先導機を随伴させるのか。自身の戦術との組み合わせで的確な効果が出されるため、
こちらも考えるのがとても楽しい。去年の春が嘘みたいな良バランスでした。

そして何より評価したいのが新艦のドロップ率。S勝利A勝利の両方でチャンスがある
ことに加え、そもそも今回はドロップ率自体がとても高い。4隻もいたので最初はウヘァと
ため息交じりでしたが、ポンポン出てすぐ次に移れるためマンネリや惰性が生まれ
づらいのですよね。もちろん最後は運なので3桁周回された方もいらっしゃるでしょうが、
良調整といって差し支えない配慮だったかと思います。


といった具合でおおよそ好感触だった本イベントですが、点数にしたら75点ぐらい
かと思います。残りの25点はというと、確かにストレスなく楽しめたのですが、
ライトユーザにも歴戦の提督にも十分な満足を与えられない、無難な内容だったとも
思うのです。

まずライトユーザには、既存レア艦のあまりにも少ないドロップ量が挙げられます。
17冬がとにかく渋ドロップで問題点として指摘しましたが、欠点として未だ継続して
います。大型艦が天城・Roma・Littorioだけというのはあまりにも寂しい。Iowaや
Warspite、Saratogaあたりはいいとしても、Grafや他の雲龍型、PrinzにPolaと
いったあたりはドロップしてもよかったのでは。今回は伊26やU-511もいませんし。

駆逐艦に目を向けても欠席艦が多数。全部出せとはいいませんが、これでは継続して
頑張ろうという気にならないのでは。装備はまだしも艦娘は合流の機会を、せめて
半年に1度は用意していただきたいところです。前にも述べたとおり私には関係ない
部分ではありますが。

一方で熟練提督に対しては、攻略海域のマンネリ化が問題です。E-1対潜・E-2輸送
E-3で決戦E-4,5で後段作戦のパターン、16夏・秋も一緒なんですよね(16秋は
輸送の位置が微妙に異なりますが)。17冬だって短いだけで、対潜→輸送→決戦と
同じパターンです。さすがに先が読めてしまいこれでは意外性がありません。

対して例えば15春。水雷戦隊の偵察から始まりE-2でいきなり連合艦隊決戦。E-3で
通商破壊作戦というワンクッションを入れて、E-4で作戦本戦、ただし対陸上です。
んでE-5,6で決戦と、ゲージ種類もないのに作戦が示唆に富んでいるんです。
15夏だって水雷→連合攻略→連合決戦(高難易度)→通常陸上決戦→別働隊→後段作戦と
上手く緩急をつけていましたし。

16夏以降からもう4回目のイベントです。そろそろユーザも「またいつものパターンか」
と飽きも出てくるはず。新システムを使わずとも作戦シチュや部隊編成で色を見せることは
可能ですし、調子を外すボールをいくらか見せていただきたいところです。その点17冬は
潜水艦での攻略が面白かったですよね。彼女達を用いて敵輸送船の妨害なども面白い
のでは?史実になかったとしても、そこはゲームですし適当に盛り込めばいいのです。

そしてラスボスですね。テンポの良さは評価しますが、これでようやく平均ラインで
あることを忘れてはいけません。14夏や15冬、15夏の面白さにはまだまだ及んでいません。
16秋E-4では同質の内容を作れたのですから、最終作戦にもぜひ難しく、そして考える
マップを作っていただきたい。そろそろユーザを苦しめる機会があってもいい頃です。
マンネリ打破の結果が歯応えある作戦であることを切に期待しています。



◆西方再打通!欧州救援作戦(2017/8/10 ~ 2017/9/12)
全7海域でお札は5つ。久方ぶりの大規模作戦で難易度はやや高め。特に最終海域は
歴代でも一二を争う厳しさで、難しいのを好まれる提督さんも満足できたのでは。

傾向としては過去登場した難所をバランスよく投入している印象です。
制空・対潜・PT小鬼群(魚雷艇)・高回避艦・ボスラッシュ・最終編成と、今まで
どこかで味わってきた難しさばかり。敵の対空回りが抑えめで、唯一エリツだけは
大人しかったかも。

今回最も評価したいのは、そんな各種難所の配置バランスです。16春イベの際に
「多くの海域に全ての難所が仕込まれていてストレスフルだ」と評しましたが、その
問題点がほぼ解消されていました。どのマップも甲難易度だと難所3つまでですね。

例えばE-4。敵潜とPT小鬼が厄介なマップですが、代わりに敵制空値は低め。
ボス編成も本体はむっちゃ硬いものの随伴は弱く、その3点を抑えればちゃんと勝てる
バランスです。E-5も敵潜・PT・空襲と難所だらけですが、代わりにボスが非常に
弱く設定されていて、道中さえ対処すれば突破可能なんですよね。

難所が明確で、かつ編成で手が足りなくなることがない。難しいけれど、要点を
抑えれば誰でも突破できる難しさなんです。それが多くのマップで意識されていて、
今回は気合入ってるなぁといい意味で驚かされました。

その組み合わせをさらに面白くしているのが出撃制限、通称お札。一度出したら
最終海域の他には出撃させられないから、手札と難所のマッチングでまた頭を使うの
ですよね。時には駒が足りなくて、あえて難所を受け入れざるを得なかったりして。
難所のバランスが結果として、お札の面白さを引き立てていたように思います。

それだけにゆったり遊ぶ余裕はなくて常に真剣勝負。心休まる暇のない進軍ですが、
そこは17春で見せた細かい区切りが今回もいい仕事をしています。1マップに複数
ゲージが用意されているケースが多く、かつ破壊までの時間が短いから区切りを入れ
安いんです。

例えばE-3だと輸送が終わったら今日はおしまい。戦力ゲージはまた明日、といった
風に一息入れられます。加えて運営サイドも「イベント期間は長めの4週間です」と
事前通達していて、ゆっくり構える余裕がありました。E-6輸送のTP2000はさすがに
笑いましたが、そのぶん道中難易度が抑えめで、急がなければ辛くないバランスです。

そのルールを唯一破るのがE-7甲。難所をこれでもかと詰め込んできて、普通に組むと
必ずどこか一手足りなくなるバランス。課金なしだと二手足りない。どこを切ってどこで
我慢するのか。課金するのか我慢して運に任せるのか。資源消費も尋常でなく出撃回数
にも制限ある、実にシビアな戦いでした。ていうか3ケツは酷すぎるよw

でも、それだけに考えるのが楽しい。そして作戦が上手く通った時の爽快感もひとしお。
理不尽のない、意図あっての高難易度だけがもたらす満足を、味わうことができました。

時間的制約に縛られた13秋、運と理不尽を強いられた15夏、不具合と雑なバランスが
ストレスを溜めた16春。高難易度海域の多くはいずれも不満の残る代物でしたが、
今回の高難易度は欠点が見当たりませんね。文句なしです。私が最も好きな高難易度は
体験できなかった14夏E-6なのですが、それに匹敵するバランス具合でした。

とまぁそんな具合なので「のんびり遊びたい!」勢には不向きなイベントかもですが、
年に一度はこのぐらいの難易度でいいと思います。久々に全力で楽しめた、最高の
イベントでした。ちょっと褒めすぎな気もしますがまぁ、個人の感想ということで。

最後に「長くてダルくてつまんねーよ」という方に。確かに今回長いですが、そのぶん
開催期間は長いのでチマチマ進めるのがいいです。先行して一気に攻略したり、逆に
溜めると苦行になります。一日数出撃でもいいので、夏休みの宿題を終わらせるように
ゆっくりプレイされてはいかがでしょう。

後は上述の「難所」を意識してみてください。そのマップの何が厳しいのかを具体化
して、対策を当てていけば自然と突破できるはずです。特に「最終編成だから高火力」
「潜水艦は祈るもの」といった先入観を捨てて、一つ一つに対策すればスムーズとは
いかないまでも、現実ラインで攻略できるはずです。

そうやって試行錯誤することで楽しめるのが本イベントです。せっかく運営さんが
丁寧なバランスに組み込んでくれたのです。楽しまなければ損というもの。無理繰り
押し通すのではなく、受け入れてそれ自体を楽しむよう取り組むのが、辛さを取り除く
一番の解決法かと思います。



◆捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦(前篇)(2017/11/18 ~ 2017/12/11)
全4海域のお札3つ。「夏イベが大規模&高難度だったし、秋はヌルめでしょ」
→高難度でした。
来るぞ来るぞといわれ続けたレイテ沖海戦がついに到来。史上最大の海戦に相応しく
規模は過去最大。前後編に分割されたにもかかわらず。前編だけでも大規模クラスの
工数と難しさでした。運営告知は中規模発表でしたが、去年同様の規模詐欺ですね。

ゲーム的な特徴はクリア手順の異常なややこしさ。3艦隊&基地航空隊それぞれで
解除する必要があり、手間も難易度も過去トップクラスです。その分ボスはやや
弱めですが、スリガオ海峡ということで道中後半は開幕夜戦の連続。潜水艦や空襲も
凶悪で、ボス本体より到達率に悩まされるイベントでした。

ですが適切な準備を施し欲張らない戦術を取ったなら、難易度は決して最高難度では
ありません。潜水空襲をお祈りポイントにせず、夜戦に新システムの単艦撤退を用いる
ことで運ゲーの大半を回避できました。艦隊決戦のテンプレにこだわる方ほど不要に
苦戦されていそうです。

前段作戦の各マップも納得のいく歯ごたえがあり、新システムを多数導入しながらも
綺麗にまとめられた上質なイベントでした。17夏とはまた違ったベクトルで高難易度と
面白さを両立できていたように思います。


私も史実準拠のシナリオに合わせ色々と遊ばせてもらいました。Z6を加賀の制空補助で
艦隊決戦に持ち込んだり、ボスゲージ削りは潜水艦でフォロー入れつつ最後は西村艦隊で
締めたり。架空戦記的な状況だから、自分の好きなようにシナリオを組めるのが楽しい
のですよね。

史実的にも西村艦隊の面々に「想像で補完できるレベルの(ここ大事)」ドラマが
用意されており、ユーザ想像の余地と誘導の塩梅も絶妙だったように思います。特に
山城の戦闘ボイスは素晴らしい。悲壮感とか裂帛の気迫とか、なんかもう色々と想像
できちゃいます。

色々と想像できる小道具を用意して、しかし筋だったシナリオを組んで十割説明
することはなく、余白を艦隊編成・指揮といったゲーム要素から想像させる。30代
40代のおじさん達が親しんだゲームの形が本イベントにはありました。そんな
オールドライクなデームデザインが何よりも嬉しかったです。

難易度もただ理不尽に難しいだけでなく、苦労はしても必ず突破できるように調整
されていて、西村艦隊の悲願達成を心から祝福できるように調整されていました。
理不尽と難しさのバランスをやや理不尽よりに傾けて、でもだからこそ突破時の
達成感が味わえるように。その塩梅もまた絶妙で、作り手の意気がひしひしと伝わって
きました。

メイクドラマをするための舞台を丁寧に組み上げたイベント。
それが本イベント一番の特徴だったように思います。


それらは作業として処理するだけでは味わえない、作り手の意図を汲み取ることで
初めて受け取れる感情です。イベ前の運営告知で再三再四と西村艦隊へ言及し、改二
から限定グラ、専用ボイスまで用意された経緯から「あ、今回は史実やドラマ重視の
イベントだな」と思いを馳せる必要がありました。

イベント本番にしても、ただただ作業で海域を攻略しては感慨も何もありません。
史実にいなかった艦艇を駆使してIFを作り上げ、万全の体制を持って西村艦隊を
スリガオ海峡へ出撃させる姿勢を意識してこそ、作り手の用意した舞台が堪能できた
わけで。

近年のゲームは他者と共有することが第一義とされ、作品とプレイヤーが1対1で
向き合うゲームはほぼ淘汰されてしまいました。たとえソロプレイヤー向けに作られて
いたとしても、ゲーム側が1から10まで楽しみを用意し一方的に受容するものが多数。
他者を介さず用意されたものから、自分の手でドラマを作り上げることはありません。

そんな中、本イベントのようなゲームデザインがなされたことを大変嬉しく思います。
他者と共同で遊ぶのが面白いことは語るまでもありませんが、1人で遊ぶためのゲーム
にもまた別の面白さが存在します。日本が生み出した、しかし失われつつある文化の
1つを現代で味あわせてくれたこと。それを何よりも評価したいと思います。


が、上記はあくまで能動的なプレイヤーにとっての話。艦これの大多数を占める
「可愛いヒロインだけ手に入れたいライトユーザー」には微妙なイベントだったのかも
しれません。

史実に沿ったギミック解除とかどうでもいいでしょうし、厳しいクリア条件も工数を
増やす余計な行為です。なのに新ヒロインは駆逐艦1・海防艦2・潜水艦1。大型新艦娘も
いないのに難しくて長い。「なんで面倒極まりない作業をやったのに、報酬がこれっ
ぽっちなのか?」これが丙を選んだライトユーザーの感想ではないでしょうか。

艦これは少ない工数で多くの報酬を求める受動型ユーザーがマジョリティです。だのに
本イベントは彼らの需要・意向を全くに無視した正反対のデザイン。作品に想い入れの
ある制作陣や、歴史考証・シビアなゲームバランス・手ずからのドラマを求めるユーザに
向けてリリースされていました。

1人のコアユーザとしては、制作陣の作品への姿勢に対し諸手を上げて賛同したい。
しかし「与えられたものだけで楽しむライトユーザー」への配慮をより丁寧に
施さないと、今回の内容ではユーザに逃げられてしまうのではないでしょうか。

具体的に述べると、丙作戦は手順を更に簡略化すべきだったと思います。
例えばE-1,2なら最初から全マップ解放済みで、いきなりゲージ破壊に取りかかれる
ように。E-4なら1段階目のギミックはスキップ。2段階目もZ6マスなどは到着時点で
終了、条件達成で良いかと。実際史実はあそこで戦闘がなかったわけですし。

防空ギミックがカットされているなど一応の配慮は見られるものの、ライトユーザは
更なる楽を望んでいます。より簡単に、より単純に。エサだけを望む遊び手に対する
フォローを積極的に行わないと、それこそ他ソシャゲーに顧客を取られるばかりです。

幸い高難易度を求めるユーザーの多くが、製作者の職人的ともいえる姿勢に賛同して
いる作品です。やりたいことや思い入れはコアな彼らへ向けるのみに抑え、一方で
サービスを売る商売としてマジョリティの声にしっかり耳を傾けることが肝要かと
考えます。



◆捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦(後篇)(2018/2/17 ~ 2018/3/xx)
FLASH版最後のイベントということで繁忙期にもかかわらず大規模作戦。その分開催
日数は多く取られていますが、過去の難関イベントと同程度の運を求められる最難級の
内容でした。私もE-7ゲージ1本目で運に見放され、今回は攻略にめっちゃ苦労しました。

後編ということで前回同様の史実重視。指定艦も多く、艦隊構築力より戦力の幅を要求
される準備ありきの内容でした。しかし演出面は前回の西村艦隊に比べると大幅減。
専用セリフやグラは用意されていましたが、イベ前から入念に雰囲気を作っていた秋に
比べると弱かった気が。三越・ローソンとのコラボ宣伝ばかりでしたし。

反面1期最後に対する演出が厚めでこちらは好印象。友軍艦隊も含めた全員で難関を
突破する様相、クリア後に流れるエンディングテーマなど、最後な感じがひしひしと。
難易度甲と乙に至っては敵最強艦隊を蹴散らせる爽快感もあり、なるほどそちらを
重視したのだなと得心しました。


その演出はゲーム面においても生かされていました。今回のE-7第1ゲージは過去に類を
見ないレベルの運ゲーで、最適環境を整えてもクリティカル待ちという厳しさ。どんな
最強艦隊でもハマる可能性があり、不運な提督は消耗する資源を気にしつつ、試行と
落胆を繰り返す毎日でした。まぁ私もその一人だったわけですが。

そこへアップデートされた友軍艦隊。従来第1ゲージでは登場しなかったところを
支援に来てくれるように。戦況を覆す決定的な一打にこそなり得ませんが、足りない
最後の一押しとしては十分な存在。予想外の援軍に大盛り上がりしたのが本イベント
一番のハイライトでしょう。

リアル方面の想定外なトラブルも演出に一役買っていました。イベント開始直後に
運営ツイッターがDMCA虚偽報告により凍結。解除されたと思いきや今度は各サーバ
への飽和的なサイバー攻撃が。そんな中でオンラインアップデートが実施されて
友軍艦隊が到着するわけで。

「大本営との連絡が途絶え、目前の敵に絶望する中で登場した援軍」というシチュは、
ゲーム的に上質なフレーバーとして効用したように思います。リアル上の悪意ある
攻撃が、結果としてゲームを盛り上げちゃったわけですね。秋イベ中にレイテ沈没艦が
発見されたニュースといい、妙にリアルラックを引き寄せる運営です。

そんなこんなでガチプレイヤーには総じて上質なイベントだったように思います。
ゲーム的にもE-6が試行錯誤の甲斐ある良海域でしたし、クリア後の掘り周回も過去に
類を見ない豪華なラインナップ。私的には17夏イベのが好みではありますが、今回も
文句なしのイベントでした。


そんな中で懸念しているのが丙丁作戦の難易度。今回新たに「丁作戦」が追加され
よりイベントの敷居が下がったように見えます。ですが緩和されたのはギミックなど
時間がかかる要素に対してだけであり、ボス撃破などゲーム自体の難易度はむしろ
上昇傾向にあるような。史実艦による特効は一応あるようですが。

ライトユーザの多くは見向きもしない「史実」要素をオミットした、といえば聞こえは
いいですが、甲乙作戦の攻略法がほとんど通用しない状態で、プレイヤーの少なさから
ナレッジが構築されにくい低難易度の首を絞めてしまったように見受けられます。

本作戦の突破割合によりけりですが、やはり新規参入者にむけた戦術指南といいますか、
「艦これ」におけるセオリーが学べる場を設ける必要があるように思います。あるいは
通常海域なみに難易度を下げてしまうのもありですね。

STG然り、格闘ゲーム然り、「セオリーは知ってて当たり前」なコンテンツは
ことごとく衰退しています。2期以降も長らく運営を続けるのであれば新規顧客の
獲得は必要不可欠。難易度を下げるにせよ、入りやすいよう工夫するにせよ、何らかの
テコ入れが必要であると考えます。