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amaginoboruさんのLove Sweetsの長文感想

ユーザー
amaginoboru
ゲーム
Love Sweets
ブランド
MOONSTONE
得点
85
参照数
1171

一言コメント

バイト+学園恋愛モノを、混じりっ気なし純度100%で楽しませてくれるエロゲ。舞台設定・キャラ付け共に平凡なのに、クセも退屈さも感じさせず恋愛過程だけを楽しませてくれます。「知り合い→友達→告白→初々しいカップル→イチャラブの流れを堪能したい!」という方にオススメです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

二年生になり友達が彼女を作り疎遠に。俺も彼女を作るために、喫茶店でバイトを
始めるか!というオープニング。
攻略対象は学園アイドル・幼なじみ・おっとり先輩・元気後輩・妹の5人。
ドタバタもお涙頂戴も特殊な力も平行世界も異能バトルもメタフィクション要素も
ありません。
おにゃのこにアタックし、恋人になり、仲を深めるだけの、ふつ~~の恋愛モノです。

「それって個性がないだけなんじゃ。面白くないんじゃね?」と思われる方も多い
でしょうが、実際は真逆。恋愛過程を楽しむ事だけに全てが注力されているため、
他作品よりも「何気ない日常」が魅力的に書かれています。
中でもドタバタコメディや雑学知識に頼ることのない、会話で読み手を楽しませる
作りが特徴。兎にも角にも言葉のキャッチボールが楽しいんです。

百面するヒロインの差分立ち絵も、作り手がその辺を意識していることを裏付けます。
言葉だけでやり取りするのではなく、投げた言葉を受けたヒロインの表情を見て、次の
会話へと繋いでいます。じゃあ感情が顔に出ないヒロインはというと、声に抑揚を
つける事で次の会話へのルートを作り出している。
「会話」という要素を知識や言葉だけに頼らず、表情・声・個性の全てを使って構築
しているんですね。

日常では割と当たり前の行為ながら、声やグラと連携する手間から十把のエロゲでは
滅多に得る事のできないこのやり取りを、Love Sweetsは存分に堪能させてくれます。
それもピンポイントではなく、大半のセリフにおいてです。
ゆえに本作は、画面下部のテキストだけを追っていると魅力が半減します。主人公の
セリフを読み、ヒロインの声を聞きながら反応を見ることで初めて良さのわかる作りです。


また、不要なものをことごとく切り捨てている点も特徴のひとつです。
開幕からして「彼女ほしいからバイトしよう!」でおしまいですし、そこに至る経緯や
友達との掛け合いなど詳細は全オミット。まともなサブキャラだってバイト先の店長さん
だけですし、それだって立ち絵なし。バイト関係の薀蓄も必要最低限です。

だからこそメインの恋愛模様だけが引き立つし、話もサクサク進みます。
面白くなるから、お約束だからと付加情報をバンバン盛り込むのではなく、ばっさり
カットしてセールスポイントだけを見せるその作りに、非常に好感が持てました。
特に後輩キャラである櫛無は顕著でひたすらに恋愛過程のみ。キャラ特性もあり
非常にテンポの良いヒロインとなっています。


上記2点は特に前半にて顕著で、後半になると会話パートがなりを潜め、代わって
イチャラブが台頭してきます。どのヒロインも甘々っぷりが半端なく、ニヨニヨしたい
人には十分な破壊力です。エッチシーンも序盤は初々しく、回を重ねるに連れて段々と
濃くなっていき、ここでも恋愛過程の妙を見ることができます。
(とはいえ終盤は、普通の学園モノにしては過激すぎじゃ?と思わなくもないですが。)

ただ前述のテンポ良さはやや殺され、ヒロインによっては加えてエンディング用の
イベントが平行描写されるため、もっさり感を覚えて微妙に感じるかも。初エッチ前と
後で、プレイヤー側が楽しみ方をスイッチ出来るか否かは重要だと思います。


その他背景グラフィックやBGMも、数は少なくとも個々の出来栄えは上々。主要素を
邪魔せずに的確なサポートをしており、総じて正直欠点らしい欠点のない作品。
まさにシンプルかつハイクオリティな内容で、昨今のエロゲにありがちな、余計なモノを
ゴテゴテくっつけた作品を苦手とする方にはオススメです。

逆にいえば拡張性が全くなく、枝葉のようにサブコンテンツを持つ作品が好きな方は
要回避。いわゆる「お約束ばかりで起伏のない凡ゲー」に相当しますので。
自らのニーズを見極めた上での購入であれば、決して損はしない名エロゲになるかと
思われます。



以下、個人的な所感。ネタバレ上等です。










イチャラブゲーとしての評価が高い本作。ですが私は正直な話イチャラブ特化では
ないかなと思っています。だってその要素って終盤2~3割程度ですし。
知り合いから親密になるまでの遷移を書いた恋愛モノ、ではないかなと。
前7割の過程があってのイチャラブといわれればそれまでですが、にしたって序盤が
あまりにも長すぎると思いますし。

次にヒロイン属性ですが、これも表面上はテンプレート通りだけど中身は意表を突いて
いるなと感じていたり。
例えば奏絵は「学園のアイドル」とされていますが、それっぽい描写はテキストにて
僅かに語られるのみ。結衣にしても幼馴染設定は家が隣、昔から仲が良いの2つのみ。
他の3人もどこかお約束からややピントのずれたヒロイン像ばかりです。

んじゃコンセプトは何なのよって話を、以下のキャラ別感想にて述べたいと思います。



◆双見 伊織
いわゆる駄妹キャラですが、真に見るべきはその致命的なまでのコミュ力。ヒロインの
中で圧倒的な人付き合いの苦手さを見せるキャラです。それは特に奏絵・みなもの両ルート
にて遺憾なく発揮され、周囲の人間をひたすらに困らせます。
唯一近しい趣味を持っている櫛無が持ち前の人懐っこさで入り込み、あれやこれやと
世話を焼いてくれています。

彼女は実にオタクらしい後ろに前向きな性格で、大切なもの以外に目をくれず、必需品は
あるもので妥協します。だからお金が必要だからバイトしても、必要以上に他メンバーと
関わりません。恋愛に至っては刷り込みと生活的な依存から兄一筋になってしまい、
樹以外はそもそも考慮の外です。(趣味で釣れば食いつく可能性はありますが。)

関係を再構築する結衣ルートや好感度0スタートの他3人と異なり、伊織は純粋な
恋愛感情で樹へアプローチしているわけではありません。コミュ力不足と過保護が
重なった結果、間違った方向へ進んでしまっている残念ヒロインです。
この点は作中で結衣も懸念していますし、樹もまたそれを漠然とながら自省しています。

結局エロゲのお約束で、樹の方が伊織を女性として見てしまい結果結ばれるわけですが、
正直このシナリオ、実妹である必要性はまったくないどころか、足枷にしかなっていない
んですよね。ずっと一緒に住んできた他人、で良かったと思う。結衣とはスペックで
属性分けできますし、義妹である必要ですらないなと。

事実本シナリオ一番の見所は「コミュ障ヒロインといかに接するか」です。我侭ばかりで
妥協をしない伊織に対し、包み込むように接し心を開いてからこちらの意見を通す、その
過程が主要因。あるいは我侭に振り回される様を見るシナリオで、妹要素は皆無です。
んじゃなんで妹属性にしたの?っていうと非常に判りやすい理由があって、それは後述。

いずれにせよコミュニケーションが一方的で食い合わず、関係の発展もほとんどない
伊織シナリオは、本作中最も静的な展開。他ルートに見られるような関係の遷移を
楽しめず、特に初エッチまではかなり冗長です。以後はイチャラブで楽しめるのですが。

ただし無表情ヒロインの感情を読む面白さはこのルートでしか楽しめません。
基本的に感情を顔に出さない伊織ですが、作中でも「怒っていると眉毛が二度上がる」
などといわれている通り、表情をよく見るとびみょ~ながら変化があります。
声も同様で、僅かながらの感情を拾い表情と照らし合わせることで、どう感じたかを
ある程度理解できます。

そうやって唯我独尊な妹様に接し楽しむのが、本ルート一番の醍醐味といえるでしょう。
微細なの感情を読み取り配慮し続け、ウルトラレアな笑顔を見て幸せになれたらあなたも
立派な「樹兄さん」ですw



◆音無 奏絵
伊織ほどではないにせよコミュ音痴な女の子。孤高の完璧美人なのかと思いきや、実は
人と接するのが苦手な残念美人というギャップが魅力で、樹から付き合い方を教わって
からの百面相はとにかく可愛らしい。表情差分の使い方も上手いですね。照れの一言を
貰いまずビックリし、次に頬紅で真っ赤になって否定して、語尾が小さくなりながら
最後は目をそらして。あぁ~もう何この娘ナデナデしたいってなります。

後半の彼女が子供っぽく見えるのはその辺が理由で、人と十分に接していないから
感情を素直に表せないだけなんですよね。「実は子供っぽい」のではなく、知らなかった
からコントロールできないだけ、という。

だから勝手知ったるホットショコラで、同僚の面前で「あーん」なんてやられちゃう。
感情音痴に巻き込まれ、とばっちりの樹君。そりゃまぁ爆発しろっていわれます。
嫉妬もダイレクトにされちゃう。ちょっと他の娘と会話してただけですぐ引っ張られます。
樹爆発しろ。他ルートでのクールっぷりが徹底していることもあり、このギャップは
ホント上手く書かれています。

「学園のアイドル」という公式キャラ紹介から、どうしても完璧美人を想像してしまう
のですが、実のところ奏絵は「コミュ音痴な普通の女の子」ポジだと思います。
それが顕著に判るのが前半の会話イベント。どうにも会話が噛み合わないし、言い分も
ストレートすぎて面食らう。はぐらかしても空気を読まず追求してくるしで実にやりづらい。
樹じゃなくても「嫌われてるのかな・・・」とつい間を置きたくなる女の子です。

そこを惚れた弱みで突き崩すため、結衣や櫛無の助力を経て頑張るシナリオで、攻略して
いる感は5人中もっとも得られるのではないでしょうか。で、ご褒美に後半の表情豊かな
奏絵を存分に堪能できる、と。エッチシーンも十分エロエロですし、メリハリの利いた
良シナリオですね。

欠点を挙げるとすれば、会話イベントで奏絵の心情を括弧書きで表現してしまった点。
ユーザー補助なのは理解できるのですが、コミュニケを大事にしているゲームですし、
そこはプレイヤーに委ねて良かったんじゃないかなぁと。作り手の意図も理解できて
しまうだけに、痛し痒しなんですけどね。

あと初エッチ失敗イベントは凄く良かった。私は奏絵がラストだったのですが、
失敗ないのかなーと思ってたところだったので。リベンジに燃える奏絵に萌えるし、
成功した後の朝チュンシーンもまたニヨニヨできて、これだよ欲しかったのは!って
なりましたw



◆円城 みなも
先輩キャラといいつつ、その特性が生かされるのはエロシーンがメインで、実のところ
恋愛過程としては最もセオリーを書いたシナリオ。他4人が様々な特性を持っていることも
あってか、当たり前な仲の進展を見せてくれるのが特徴です。

人によっては物足りなさを感じるかもしれませんが、それでもスマホのおそろい
デコや公園のシーンは雰囲気バッチリですし、クレーンゲームでくるくると表情を
変えるみなもちゃんマジみなもちゃん。初エッチはムード良く、呼び名変えも
照れくさくて良い感じです。

後半のメインはみなもと伊織の関係構築。みなも自身はコミュ力を平均以上に持つ、
いわゆる「優しいお姉さん」キャラですが、それでも櫛無のようにスルスルっとは
いかず難儀するイベント。伊織もひとたび心を開いてしまえば懐いてくれるいい娘
なので、最後の姉妹関係は微笑ましい限り。ラスト1枚絵もグッドです。

先に述べたとおり伊織は完全な兄依存のため、離れてしまわれると完全孤立になって
しまいます。ゆえの必死さなので長期戦によるアプローチは大正解だったといえます。
ですがエロゲとしてはちょっと失敗。樹が完全置いてけぼりですよねコレ。
イチャラブシーンを見られず、ひたすらに我侭な妹様のご機嫌取りに終始するわけで、
伊織の株も下がりますし、みなもシナリオのクオリティも残念になってしまいます。

コミュニケーションを大事にする本作として、みなもシナリオの後半はあって然るべき
内容なのはわかる。足りないイチャラブ成分を過激エロで補っているのも理解できる。
それでも樹が放置される終盤にはちと残念な感じです。人にもよるとは思うのですが。

あるいは展開に困ってああなっちゃったのかもしれません。でもそれなら櫛無シナリオ
よろしく、お話を無視してイチャラブだけ見せてくれてもよかった。
いずれにせよ、もうちょい何とかならなかったのかなーと思った後半でした。

あとラスト2つの変態性溢れるエロは、おそらくそんなプレイヤーへのご褒美を兼ねて
いると取れなくもない。ってか授乳手コキプレイとみにゃもはコンセプトからしたら
過激すぎw
いやまぁエロかったですけどね?満足しちゃいましたけどね?



◆音無 櫛無
常にテンションの高い元気後輩キャラ。これだけ大騒ぎしてウザさを一切感じさせない
のは凄い。これも「人一倍空気に敏感」という特性あってこそでしょう。テキストの通り
人に優しく、思慮深く頭のいいキャラを、絶妙なバランスで丁寧に書き上げています。
真宮ゆずさんの演技も素晴らしいですね。ギリギリな線を突かないといけないでしょうし、
大変だったと思います。

そんな櫛無のコミュ力はいうまでもなく特上。ただ同じく特上の結衣と異なるのが、
自分のフィールド外での接触を苦手とする点。一方で自分に自信があるのか、突発的な
関係の変化に強く、恋愛を意識してからもブレることなく樹にアプローチをしかけて
きます。同じ対人関係を得手とする2人でも得意分野の違うあたりが何ともこのゲーム
らしいといいますか。

ということで、櫛無ルートにおける樹君は常に振り回されっぱなしです。初キスも
告白も初エッチにすら全く動じず、常に楽しく幸せと前向きな櫛無は、樹と読み手に
一切の不安を与えず一緒にいてくれます。元気でワーキャーなのに煩さを感じさせない
センスはホント凄いですね。さりげない気遣いをそこらかしこに見せますし、こんな
娘と一緒だと楽しいだろうなーって心から思わされました。

そして何より会話がとにかく楽しい。どうにも樹と会話の波長が一致するようで、会話の
妙を楽しむ本作でも随一のテンポの良さと面白さを誇ります。っていうか会話とエロを
追っかけているだけで気づけばED迎えますからね。とにかく時間の過ぎるのが早い。
他ルートでも2人のやりとりはひたすらに楽しく、セールスポイントといっても過言
ではないと思います。

一方でエロシーンはいずれも一捻り加えた見せ方をしてくれます。初エッチでは
下半身よりコンプレックスのおっぱいを隠していたり、髪をほどいてのエッチだったり、
しまパンだったりしまニーソ足コキだったり。特徴的なシーンが多かったように
見えます。元気っ娘とはいえ十分アマイチャですし、シーンも十分魅力的です。

本ルートは唯一シナリオらしいシナリオの存在しない展開。会話してデートして
イチャイチャしてエッチしてを繰り返し、そのままエンディングに突入します。
この手法は櫛無に限っていえば大成功ですね。彼女の良さを存分に見られるだけで
満足できますから。そのぐらい音無櫛無というキャラは魅力的です。元気ヒロインが
好きな方は是非プレイを。



◆一ノ瀬 結衣
多分ですが、奏絵のおかげで結衣は色々面倒ごとを回避できていますよね。だって彼女
どう見ても学園アイドルスペックですし。見た目よし、学力よし、料理よし、そして
何より器量よし。欠点皆無の万能ヒロインです。
それでいて幼なじみ設定は本当に設定だけで、それらしいシーンはほとんど出てきません。
むしろ異性の親友ポジといった方がしっくりきます。

対人関係も万能で、人当たりのよさに加え多彩な趣味ゆえの引き出しの多さに加え、
相手の感情を見て踏み込むか引くかの判断もできる模様。アウェーのコミュニティでも
即座に合わせる事のできる柔軟さは櫛無にないものです。
一方で突発的な人間関係の変化に弱いのか、あるいは初めて経験する恋愛感情に
戸惑ったのか、個別ルートでは樹との関係にひたすらギクシャクしてしまいます。

そんな中発生する着替えイベント、いわゆるラッキースケベですが、これが見事すぎて
もう・・・あまりにも綺麗な決まり方に笑いすらこみ上げましたw
それまでの関係や樹の考えていること、結衣の状況を考えても何の違和感もないし、
プレイヤーにもわざとらしさを感じさせないイベントで本当に驚いた。これほどまでに
鮮やかなラッキースケベがあっただろうか?いやない、って感じです。

まぁ最後は樹から告白してめでたくカップルとなるわけですが、結衣ルートの面白さは
近しい距離の関係崩壊と再構築でしょう。相手との距離をつかむのが得意な二人が、ふと
異性を意識してしまい間合いが測れなくなってしまう、いわゆる距離感オンチ状態。
特に対人関係のプロである結衣が戸惑い百面する様が可愛いすぎです。

カップル成立後も新たな距離感から様々な「楽しい」をくれる樹にハマり、結衣自身も
更に距離を詰めていく様子がとにかく初々しくイチャラブです。最後のプロポーズとも
とれる締め方も鮮やかでしたし、終始安定して楽しめたシナリオでした。
エッチも自分から勉強した結果、初エッチからパイズリというぶっ飛びプレイになる
あたりが何とも初々しくて面白い。最後の犬耳+アナルビーズはやりすぎだと思いますがw

ただ奏絵シナリオ同様、告白シーンで結衣の心の声が聞こえちゃうのが残念。
理由も奏絵と同じだと思うのですが、こちらは見せ場だっただけに殊更ですね。
それ以外は安定してイチャラブも十分な良シナリオでした。



◆双見 樹
プレイヤーに親近感を持たせる何のとりえもない主人公・・・のようで、実はおしゃべりが
大好きな人付き合いの上手い男の子です。更に誠実で真面目で優しい、ってそれなんてリア充。
まぁ公式にも「彼女ができない理由の8割は結衣のせい」なんて書かれているし、感情移入は
ちょいとしづらいですかね。

第三者視点で見てみると、これほど不快感なく安心して見ていられる主人公も珍しい。
自分の意思でちゃんと問題解決に取り組んでくれますし、ちょっとイジワルですが相手の
娘に合わせて会話してくれるナイスボーイです。友達少ないとかありえない。

さてネタバレ冒頭でも述べたとおり、本作はイチャラブゲーとしての評価が高いのですが、
その実最も注力されているのは「女の子とのコミュニケーション」だと思います。
だから余計な要素をオミットして、会話一本で恋愛模様を書いているのかなと。

ヒロインもまた、テンプレといいつつどこかセオリーとはピントの外れた娘ばかり。
しかし「様々なコミュニケーションスキルを持った女の子達」と区分すると、これが綺麗に
属性分けされるのです。紹介順に

伊織 :コミュ拒否のオタク。
奏絵 :コミュ音痴な普通の子
みなも:そつなく人付き合いができる+伊織との関係構築
櫛無 :人一倍気配りできる。自フィールドで相手を引っ張る
結衣 :コミュ◎だけど、突然の関係変化に戸惑う

といったところ。
平均より上のスキルを持つ樹と各ヒロインが距離を縮める過程を書き、それぞれの
面白さ・良さを表現しているのが本作の魅力だと思っています。イチャラブは関係が
発展した結果、というわけです。
ただそれだとセールスポイントとしては弱いから、それぞれにテンプレートな
属性をつけた。で、結果として「鉄板構成のイチャラブエロゲ」という評価が
下されたのかなと。そんな読後の印象でした。

いずれにせよ、会話の面白い上質な恋愛エロゲでした。SMEEの作品が比較的本作に
近いとの話も聞きましたし、今後もこの手のエロゲもプレイしていきたいですね。