不条理エロ目的で購入したのにイチャラブやシナリオ方面で満足という妙な結果に。それ目的で購入を推奨できるほどではありませんが、抜きゲーらしからぬクオリティで多角的に満足できる作品です。もちろんエロもテキストにグラにと十分たる出来栄えで期待は裏切らないはず。まさしく埋もれた名作です。
「すごろく世界に取り込まれ、指示には絶対従わなければいけない」という時点で
映画『ジュマンジ』を連想しましたが、実際寺の名前が「呪盤寺」でいきなり吹き出し
ました。お昼によく見るライオンなんかもいたりして実にパロッパロ。エロにも脱力
笑いを誘うネタが仕込まれていて、一見だけならバカ抜きゲーそのものです。
しかし話を進めていくと妙にガチな作りこみ。主人公の回想、すごろく世界「呪盤」
の謎、ヒロインの来歴など様々な要素が織り込まれており、下手なシナリオゲー顔負け
のクオリティに驚かされました。読み物としても十分楽しめる内容です。それでいて
エロの邪魔にならないのも見事。
パロディを始めとしたネタの仕込まれ具合も膨大です。一発でわかるしょーもない
ものからシナリオの細部が読み解けるような仕掛けまで様々。「呪盤」が作られた
本当の理由などは、その道の知識がないとまず類推できません。他も妙に細部が
凝っていて、その辺を読み解く醍醐味もまた見所の1つかと。
とはいえシナリオ特化に作られた名作群には届きませんし、隅をつつけば矛盾点も
見つかります。ですが1ヒロイン10以上のエロがある抜きゲーでこの作り込みなら
十分すぎるというもの。ラストも強引とはいえカタルシスの得られますし、物語と
してもぜひ推したいですね。エロジャンルは異なりますが、精度は同じClockup製の
『euphoria』と同等かそれ以上だと思うので。
本作に不満が出るとすればエロ特化をお求めの方かもしれません。理由は単純で
シナリオが練られているだけにエロまでが長く感じてしまうこと。特に中盤以降は
シリアス要素が混じってなかなか先に進まないので。ルート毎のテキストも細部を
変えただけで終盤までは大差なかったりもするのですよね。
あとカードの指示で自我を乗っ取られるケースが多く、本人が嫌がったり戸惑ったり
などのシチュは少ないです。比率で7:3ぐらいでしょうか。ヒロイン全員が好感度MAXか
エロ（カード指示）に肯定的で、嫌がるヒロインがいないのも残念。和姦系とはいえ
公開羞恥はもうちょい見せてほしかったかなーと。せっかくの異世界ですし。
なので様々な理不尽エロが見られて、かつシナリオも楽しめるぐらいの感覚で臨む
のがベストかもしれません。チンイラ時にはちと使いづらいので、両方を落ち着いて
楽しめる時用といったところでしょうか。グラも秀麗で（特に尻穴）本当に死角の
少ないエロゲでした。