戦闘の演出や能力の凄さを見せるきのこ節は健在のまま、月姫に比べると随分読みやすくなっています。バトルものが大好きな方なら外せない一本です。
といいつつ、今ひとつ熱さにノれなかった自分がいたりするわけで。
確かに戦闘シーンは迫力があり、必殺技のルビやどれだけ凄いかの説明もカッコよく
圧倒されました。ただ、テンションを上げるのをクドい文章が邪魔するんですよね。
例えば1つの戦闘で一気にテンションが上がります。「おおお!」ってなった時点で敵が撤退したり
「約束された勝利の剣」で吹っ飛んだりします。で、そこから奈須きのこ氏独特の文章で、世界観の
説明やら状況説明やら幕間やらが、長々と語られます。
昔より確かに読みやすくはなっています。でも上がったテンションが元に戻っちゃうんですよね。
似たような事を以前「月姫」の遠野家ルートでも感じました。特に秋葉・翡翠シナリオで。
あっちは更に酷く、もう面倒だし投げようか、ってレベルだったのですが、踏ん張ってどうにか最後まで
クリアしました。それに比べれば全然快適に楽しめましたが、やはりFateの良さを十割楽しめたか?と
言われると疑問が残ってしまうのです。
士郎やセイバーの信念など、キャラクターの良さは十分味わえたと思っていますが
やはり本作は、手に汗握るバトルと逆転逆転また逆転の熱い展開が見物なのでしょう。
その意味で十分楽しめなかったと判断し、この点数です。作品の出来自体は素晴らしいのに
自分がついて行けなくて申し訳ないというか、そんな感じです。