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amaginoboruさんのひまわりのチャペルできみと外伝 女教師・仁時一紗香(旧姓)の長文感想

ユーザー
amaginoboru
ゲーム
ひまわりのチャペルできみと外伝 女教師・仁時一紗香(旧姓)
ブランド
Marron
得点
75
参照数
250

一言コメント

元々優しい世界観を持った作品ですが、そこから更に優しくない部分を取り除いた外伝・・・というか最終ルート。プレイ時間こそ短めですが、本編6ヒロイン攻略後だからこそ伝わる感動は、本編ファンの方なら必見です。なお長文感想は、ひまチャき本編のネタバレを含みます。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ひまチャきで泣かされるとは思いませんでした。ちくしょう。


舞台は本編と同じく、一ツ坂学園の周辺ですが、いっちゃんが魔王化していません。
なので貴宏と結婚したままですし、戦争も起きていません。2人の子供である向日葵も
バッチリ生存。貴宏とねねねえの恋愛も無かった事になっているため、貴宏は普通に
実家でいっちゃんと暮らしています。これだけでも幸せ空間すぎますね。

加えて魔王が存在しなかった事から、海上軍団の様子も一部異なっています。
もなむーは両親に捨てられず、貴宏の幼なじみとなっていますし、姫もディノラード王国が
滅亡せず、両親・故郷共に健在です。雛梨は登場しませんが、おそらく実家の面々と幸せに
暮らしているのでしょう。こゆ吉、ナノ子は変わらず幼なじみやっています。

本編を知ってると、あまりにも幸せすぎて泣けてくる光景。
誰もが辛い目にあわない、優しい世界を更に優しくした世界がそこにあります。
そしてラストに挿し入れられる、夕刻に学園屋上で幸せそうにしている3人の
一枚絵。不意打ちだっただけに、ついホロ泣きしてしまいました。


元々ひまチャきワールドは温かい空気に包まれていましたが、全キャラ多かれ少なかれ
何か宿命を背負って生きています。ゆえに本編各ヒロインのハッピーエンドも
結ばれなかったキャラの顛末を考えると、どうにも幸せになりきれない節があります。
親に会えない向日葵や、結ばれないと死亡確定の雛梨などは特に不憫です。

対して本作は、本編登場キャラの全てが過去に傷を持たず、また劇中も不幸に
なることなく物語が終わります。更に救う事ができなかった、いっちゃんと向日葵が
貴宏の家族として生きています。

ご都合主義といえばその通りでしょう。しかし暖かい雰囲気を持った本編だからこそ
みんなが幸せになれる物語がなかった事に、軽く落胆を覚えた方は少なくないはず。
VFBのおまけポジで、総プレイ時間1hほどとはいえ、本作はそんなユーザの希望に
応えてくれた、非常に良質なFDだと思います。

本作をプレイして、初めて「ひまチャき」は完結する。そういっても差し支えない物語です。
本編ファンかつ未プレイの方には、是非手にとって貰いたい逸品ですね。


蛇足1
おまけディスクとはいえ、しっかり作りこみされているのも好印象です。
お笑い部分は本編に負けず劣らずですし、いっちゃんの新しい立ち絵や新CGなど、1時間の
内容としては勿体無いレベルのクオリティ。柚太朗逆レ⇒レイプ目には爆笑しましたw
ここまでやるなら、おまけディスクに切り出さなくても良かったんじゃあ。VFBの販促ですかね?