元々優しい世界観を持った作品ですが、そこから更に優しくない部分を取り除いた外伝・・・というか最終ルート。プレイ時間こそ短めですが、本編6ヒロイン攻略後だからこそ伝わる感動は、本編ファンの方なら必見です。なお長文感想は、ひまチャき本編のネタバレを含みます。
ひまチャきで泣かされるとは思いませんでした。ちくしょう。
舞台は本編と同じく、一ツ坂学園の周辺ですが、いっちゃんが魔王化していません。
なので貴宏と結婚したままですし、戦争も起きていません。2人の子供である向日葵も
バッチリ生存。貴宏とねねねえの恋愛も無かった事になっているため、貴宏は普通に
実家でいっちゃんと暮らしています。これだけでも幸せ空間すぎますね。
加えて魔王が存在しなかった事から、海上軍団の様子も一部異なっています。
もなむーは両親に捨てられず、貴宏の幼なじみとなっていますし、姫もディノラード王国が
滅亡せず、両親・故郷共に健在です。雛梨は登場しませんが、おそらく実家の面々と幸せに
暮らしているのでしょう。こゆ吉、ナノ子は変わらず幼なじみやっています。
本編を知ってると、あまりにも幸せすぎて泣けてくる光景。
誰もが辛い目にあわない、優しい世界を更に優しくした世界がそこにあります。
そしてラストに挿し入れられる、夕刻に学園屋上で幸せそうにしている3人の
一枚絵。不意打ちだっただけに、ついホロ泣きしてしまいました。
元々ひまチャきワールドは温かい空気に包まれていましたが、全キャラ多かれ少なかれ
何か宿命を背負って生きています。ゆえに本編各ヒロインのハッピーエンドも
結ばれなかったキャラの顛末を考えると、どうにも幸せになりきれない節があります。
親に会えない向日葵や、結ばれないと死亡確定の雛梨などは特に不憫です。
対して本作は、本編登場キャラの全てが過去に傷を持たず、また劇中も不幸に
なることなく物語が終わります。更に救う事ができなかった、いっちゃんと向日葵が
貴宏の家族として生きています。
ご都合主義といえばその通りでしょう。しかし暖かい雰囲気を持った本編だからこそ
みんなが幸せになれる物語がなかった事に、軽く落胆を覚えた方は少なくないはず。
VFBのおまけポジで、総プレイ時間1hほどとはいえ、本作はそんなユーザの希望に
応えてくれた、非常に良質なFDだと思います。
本作をプレイして、初めて「ひまチャき」は完結する。そういっても差し支えない物語です。
本編ファンかつ未プレイの方には、是非手にとって貰いたい逸品ですね。
蛇足1
おまけディスクとはいえ、しっかり作りこみされているのも好印象です。
お笑い部分は本編に負けず劣らずですし、いっちゃんの新しい立ち絵や新CGなど、1時間の
内容としては勿体無いレベルのクオリティ。柚太朗逆レ⇒レイプ目には爆笑しましたw
ここまでやるなら、おまけディスクに切り出さなくても良かったんじゃあ。VFBの販促ですかね?