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amaginoboruさんのマジカルチェンジゆうきくんの長文感想

ユーザー
amaginoboru
ゲーム
マジカルチェンジゆうきくん
ブランド
Es-pot
得点
20
参照数
931

一言コメント

TSゲーの中でも地雷と呼ばれる本作。シチュやグラが酷かったんだろうなーと勝手に解釈していたのですが・・・そういう意味で地雷だったんですね。いやはや存分に楽しませてもらいましたw

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

下馬評は聞いていたので覚悟完了状態でプレイ。あまりにもつまらなかったら
スキップで、と思っていたのですが、序盤はなかなかどうして悪くありません。

魔法世界からやってきたアルセアがシードという魔力の源をぶちまけ、その一つが
主人公の勇希の体に入り女体化。元に戻るにはシードを集めるしかない、と魔法少女
モノの王道をいく本作。女性服や下着の着せ替えシーンもありますし、女体で
イかされる場面もあったりと、そこそこがんばっている印象でした。ヒロインとエッチ
する時だけ男根が戻るのはいけてませんが。

シナリオはお世辞にも面白くないけど、エロは全く使えないわけではないし、
まぁそこそこかなぁ・・・と思っていた矢先でした。生徒会室で美夏、姫子、勇希が
上半身下着姿シーンのテキストで

――――――――――――――――――――――――――――――――――

SE:カチッと小さな音「こうして体を下に向けて、ホックをつけなおして、
両脇から脂肪を集めていって」

――――――――――――――――――――――――――――――――――


( ;゚д゚) ・・・!?


まさかの指示出しの消し忘れです。(原文ママではありませんが大体あってるはず。)
しかもSEは鳴りません。なんのための指示出しだよと。
こんな初歩ミス、今日び同人ゲーでもやらかしません。商品ゲーにあるまじき失態
ですが、まぁそういうチョンボもあるかと思い、とりあえずスルーしてプレイ続行。
ゲーム進行に影響があるじゃないですし。


しかし駄目っぷりは以降徐々に加速していきます。この辺から徐々に立ち絵指定の
ミスがチラホラ目立ち始めます。教室内の会話なのに姫子がいきなり魔法少女ルックに
なったり、勇希の制服が男子用に変化したり。

シナリオ上のイベントも適当になっていきます。プールでピラニア模型に水着の
股間部分をピンポイントに食い破られたり、ウォータースライダーでヒロインたちと
絡まりあって抜けられなくなったり。
とはいえバカエロゲーなら更に異常なケースも多々あるため、プレイ時は違和感
なかったのですが、この時点で既におかしかったんだと、今となっては思います。


そして文化祭イベント。アルセアの師匠であるローザが、失態を繰り返す弟子に業を
煮やし、試験を出します。合格できなければアルセアは魔法学校を退学。その課題が

――――――――――――――――――――――――――――――――――

ローザ「料理対決よ!」

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魔法関係ないし!? しかも作るのが勇希と姫子かよっ!? ( ゚д゚) 


いや、これはこれで何か伏線があるんだろ、と思ったらガチでローザと料理対決。
しかも勝因が「相手側が塩と砂糖を間違えた」。これでアルセアは退学せずにすみます。
・・・今日びバカゲーでもここまで適当な展開は作らんぞと。

あ、これは姫子ルートです。美夏ルートは早食い対決になります。勝因は「勇希が
おっぱいバカのラトに乳見せし、食べ物を吹き出させ反則負けに追い込む」。
どんな展開だよと・・・。

この間にも立ち絵指定ミスは続いています、というか悪化しています。1シーンに1回は
ミスがあったような気が。勇希が瞬間的に男に戻ったり、普段着になったりとやりたい
放題。どう見てもデバッグしていません。更に改行ミスも多発。地の文とセリフが
同ページに納まっていたりします。
春香とのエッチシーンも勇希が絵だけ何故か男に。「服だけ男モノに着替えました!」
とか強引すぎ。どうみても没った春香ルートCGの再利用です。

ちなみに文化祭の後は、残りのシード回収はオミットされ、お別れシーンまで一足飛び。
まるでグダグダ展開になったマンガを打ち切るための手法みたいです。
まぁ実際ゲームの出来は打ち切られても違和感ないぐらいの酷さでしたしね!



さて残るアルセアルートですが、試験内容は「お化け屋敷をアルセアと抜けてくる」。
相変わらずの脈絡のなさですが、話を聞くとアルセアはお化け屋敷にトラウマが
あるとのこと。トラウマになった理由も大概でしたが、他2ルートに比べれば十分
マシです。このルートだけは真面目に作ったのかなと、ちょっと期待して臨みました。

どうしてもお化け屋敷を嫌がるアルセアを怒鳴りつける勇希。ですが試験の事は
約束をした手前、アルセアに話すことはできません。
そして文化祭当日。勇希は試験を受けずに事態を収拾できる方法がないか掛けあいます。
そしてローザの出した提案が

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ローザ「勇希の生命エネルギーをもらうわ、それでアル坊の試験はチャラ」

ローザ「生命エネルギーをもらえば寿命が縮むわ。軽く70年分ぐらい」

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退学と寿命70年がトレードオフですか!? 魔法学校こわっ!( ゚д゚)


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勇希 「ボクはかまいません。それでアルセアの失敗が補填されるなら」

勇希 「アルセアに退学になってほしくない。退学にならないですむなら
    ボクの寿命でも何でも差し出します」

――――――――――――――――――――――――――――――――


いいのかよ!? お前死ぬよ!? 男に戻りたいんちゃうんかよ!? (;゚д゚)


い、いやこれはローザが勇希の想いを試しているんだ・・・だから押し通せば
「その言葉が聞きたかった!」とか言って試験を合格にしてくれるはz・・・


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言うが早いか、ローザさんは俺の頭へと手を伸ばした。

アルセア「待ってください、ローザ先輩!!」

アルセア「あたし、試験を受けます」

アルセア「だから勇希の生命エネルギーを奪うのはやめてください。
     お願いします!」

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ガチでやる気だった・・・だと・・・?(;;゚д゚)


このシーンは凄まじいインパクトでした。何が凄いって、登場人物全員ガチ。
ツッコんだり止めたりする人いません。素で狂気を演じるようなそのカオスっぷりに
全身脱力。退学かけて寿命70年とか、やるほうも了承する方も・・・何ともアホな
シナリオを作ってくれたものです。


結局アルセアは勇気を出してお化け屋敷へ。無事に抜けて退学を免れるのでした。
その後も真冬の中キャミソール1枚で買い物に出かけたり、ローザが棒読みの
ドイツ語で呪文を唱えたりして、アルセア達は元の世界へ帰ってしまいます。

そして数ヵ月後、夕食の買出しに出た勇希が、不意にアルセアの懐かしい笑い声を
思い出すシーン・・・以下原文ママです。


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★櫻 ただし錯覚の声なのでエフェクトなどお願いします???「にしし、
こんなに肉ばかりご馳走様~っ」

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またかよ!? しかもやっぱエフェクト入ってないのかよ!? なんかもう色々だいなしだよ!( ゚д゚)


感動的(?)なシーンで天丼芸とは・・・最後の最後まで脱力させてくれるw
一見普通そうに見えて、その実魔法世界の常識に合わせたかのような
トンデモ展開炸裂の物語・・・それがアルセアシナリオでした。





ぶっちゃけ本作はクソゲーですね。といっても、決して駄ゲーではありません。
パッチを当てるたびに退化したり、ノーヒント地雷撤去をさせられるような、突拍子もない
理不尽さこそありませんが、製作者のモチベの下がりっぷりとクソゲー要素が上手く
マッチングした、良質なクソゲー。それが本作の評価です。

システム面はそこそこ快適ですし、エロも使えないわけではなく、着替えやアルセア
とのレズシチュ等はよくできています。シナリオも後半のぶっ飛び具合はいちいち
笑わせてくれましたし、何よりバグや不具合の多さに対するツッコミを堪能できました。
総じて楽しめた作品だと思っています。

とはいえ、ゲームとしては体を成していないレベル。本作に普通の点をつけるのは、
真面目にエロゲを作っている人たちに失礼かと思い、この点数です。
まぁクソゲーは低得点であるほど高く評価されますし、これでいいんじゃないでしょうか。


蛇足
序盤の入れ込みっぷりを見る限り、終盤で時間がなくなったか、作品に対する
情熱がなくなってしまったのでしょうね。だからシナリオ後半が超適当になり、
バグも終盤に向けて数を増やしているのかなと。おかげで不快感のないクソゲーを
堪能することができたわけですがw