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alessさんの星空へ架かる橋の長文感想

ユーザー
aless
ゲーム
星空へ架かる橋
ブランド
feng
得点
80
参照数
1280

一言コメント

バイノーラル録音を取り入れたチャレンジは評価したい。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

fengの空3部作の完結編ですが、過去2作はやっていません。
その上での感想。

このゲームの最大の特色はバイノーラル録音。
これによりその場にいるような、実際に耳で聞くような臨場感が味わえるというのが売り。
しかし、まだ完成されていない技術は使いどころが難しいと実感。
聞こえ方のイメージとしては実際に耳で聞くというよりは直接頭に響くような感じ。
他のゲームとの聞こえ方の違いは実感できたが、バイノーラル録音使わなくてもよかったと思う場面もけっこうあった。
また、聞こえ方に違和感を感じることも何度もあった。
加えてHシーンではバイノーラル録音をより体感させるためかBGM無し。無音で声だけ響くのは新鮮だったが、BGMはあったほうがよかったと思う。
ただ、耳元でささやくときの聞こえ方は破壊力有。
バイノーラル録音のポテンシャルは感じたし、使い方次第では化けるかもしれない。
こういうチャレンジは必ずしも作品の魅力を上げるとは限らないが、評価したい。

シナリオはあまり特出するものはなく展開もけっこうベタだが丁寧に書かれておりそこそこ楽しめた。
個別ルートは若干出来に差がある。個人的には円佳ルートが一番よかった。
共通ルートで異性が苦手なはずの円佳が主人公に名前で呼ぶように頼んだことに最初違和感を覚えたが、これも伏線だったのだと個別をやって納得。
星空へ架かる橋のタイトルは円佳のためにあったのだとクリアしてわかった。

ヒロインのキャラもけっこうベタだが魅力的だった。
6人の個性があまり被らず、それぞれキャラがしっかり立っていたのもよかった。
ツンデレの伊吹や、個別で髪型変えて女の子らしくしようとするこよりが個人的にはかなりツボ。
主人公に突っかかっていたヒロインがデレッとするこういう変化は大好き。

サブキャラもけっこう個性的。
主人公の弟である歩がシナリオにかなり絡むのは少し新鮮だった。
大半のゲームではこのポジションは妹なので。
大吾は愛すべきバカ。扱いのあまりの悪さに泣いた。
かさねルートもちょっと見たかった。

バグがあることや台本めくる音が聞こえることとかはちょっと気になる点。
特に初めて台本めくる音を聞いたときは聞き間違いかと思った。
これもバイノーラル録音のせい…なわけないか。

まとめるとシナリオ並、キャラ良、バイノーラル録音といった感じの印象のゲーム。
空3部作の完結編として期待していた人にはあまり評判がよくないようだが、個人的にはけっこう楽しめた。
ベタな要素が多いのでエロゲ初心者には良いゲームかもしれない。
過去2作も気になったので機会があればやりたいと思う。

アニメ4月から始まるが爆死しないといいなあ。

追記
このレビューを書いた直後にバレンタイン特別パッチが公開された。
中身は初ルートと陽菜ルートのバレンタインの話でどちらもHシーンあり。
レビューを書いた日に公開された嬉しいサプライズに巡り合わせの良さを感じずにはいられなかった。
そしてこの作品がけっこう好きだということを改めて実感したので少し点数を上げました。